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ハンコで絵を描く

優美堂で描いたハンコアートについては、既にEdge Rankのマガジンの方でも書いたけど。あらためて。

ハンコアートとは、ゴム印を使って絵を描くことです。

■きっかけは「会社ごっこ」

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ハンコアートのきっかけは、2009年の夏にやった「会社ごっこ」のアートプロジェクト。日本橋で小さなオフィスを借りて、そこを拠点にして夏の間ひたすら創作活動をしていました。

「会社」の風体で、ロゴや看板をつくり、コーポレートサイトや名刺、封筒、パンフレットなど、片っ端からデザインしてつくっていきました。クリアフォルダを業者に発注したり、会社ロゴで切手をデザインしたりなどしていくなかで、業務用ハンコもいくつかつくりました。

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真面目な書類の文章に押すとなんだか面白くなる「(笑)」のハンコや、ヤンキー漢字熟語の「夜露死苦」、「国家機密」ハンコや、「偽造文書」のハンコなどいろいろ。専門の業者さんに発注して、こういったふざけたハンコをつくってもらったのがはじまり。

この「会社ごっこ」プロジェクトは、売り上げ目標が「0円」なので、ひたすらいろいろ片っ端からつくっただけで、まったく販売等は行わなかったのですが、このプロジェクトが終わった後、アートフリマやグループ展などでぼちぼち販売するようになり。ギャラリーショップにも一時期置かせてもらってました。金額設定を低くしすぎて、原価が値上がりになったタイミングで売れば売るほど赤字状態になってしまいましたが。楽しい企画でした。

■富士山の壁画を描く

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2013年のデザインフェスタで、富士山の壁画を描くことになりました。4人集まって、それぞれが異なる画風でひとつの富士山を描くという企画。そこではじめて、僕はハンコを使って壁画を描きました。

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「富士山」という文字をゴム印にして、それを使ってペタペタと壁に押して絵を描いていきます。高さが3.6メートル、横幅が8メートルもある壁面スペースなので、かなりハンコのおしがいがありましたよ。

デザインフェスタの会期中、2日間ずっとハンコを押し続けました。

■優美堂の「千の窓展」

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そして、「優美堂再生プロジェクト」に参加し、オープン後にギャラリースペースに絵を置かせてもらえることに。というわけで、この時もハンコで絵を描くことにしました。「富士山」と「優美堂」のハンコをイラストレーターでデザインして、大阪の業者さんに発注。準備をはじめたのが結構ギリギリだったので、絵を描くのに使った時間は1日間だけ。一晩で、3枚の絵を描きました。

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まずは、ハンコの押し具合を確認するために、スケッチブックにちょっと下書き。2種類のサイズが異なる「富士山」のハンコを使って描いています。

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ハンコだけで描いた絵がこちら。富士山のハンコで描いた富士山です。

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額装をして完成。この額縁は、優美堂で販売されていたものです。

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「優美堂」のハンコを使って、施工中の優美堂の内部の光景も描きました。

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富士山の絵は、富士山の標高と同じ3,667円で販売。そして、優美堂の絵は、優美堂の電話番号の下4桁である「8341(ヤサシイ)」にちなんで8,341円で販売することにしました。そうすると、この金額が倍くらい違うのがちょっと気になったので、優美堂の絵の方には額装の裏側にもう一枚絵を入れておくことに。つまり、2枚でこの値段なら、ちょうどぴったり釣り合いがとれるかな、と。「優しい」というテーマにもぴったりだし。

というわけで、この絵は、優美堂のギャラリースペースに展示販売されています。

もし売り切れていたら、追加で描きますので、いつでも言ってください。

■優美堂の壁にハンコで描いた壁画

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東京ビエンナーレが閉幕するタイミングに合わせ、9月4日と5日に優美堂再生プロジェクトに参加した有志たちで「yu-bido- art Relation」という作品展を優美堂で開催することにしました。僕もそこに参加し、3階の壁面スペースにハンコで壁画を描くことに。デザインフェスタ以来の大きなハンコ絵なので、ワクワクします。

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壁面に、二種類のハンコを使って、二つの絵を描きました。

ひとつは、「富士山」のハンコで描いた富士山の絵。そしてもうひとつは、「優美堂」のハンコで描いた優美堂のロゴです。このロゴは、部屋のある一点から眺めると、まっすぐなロゴに見えるという、ちょっとしたトリックアートの要素も加えました。

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展覧会直前の二日間、有休を取って会社を休んで、ひたすらペタペタとハンコで壁画制作。楽しかったー。だいたい、1時間に1万回くらいハンコを押していきます。この壁画を制作するのにかかった時間は2日日間で合計10時間程度なので、10万回くらいペタペタとハンコを押した計算になります。幸せな時間でした。

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壁画制作は、これだけでは終わらない。展覧会に来てくれた方々に、追加でどんどんハンコを押してもらって、完成します。この展示スペースの鑑賞には東京ビエンナーレのパスポートチケットが必要だったにもかかわらず、2日間で60名以上の方に参加いただき、みんなでハンコを使って富士山を描きました。

展覧会が終了し、現在このスペースは中村さんの仕事場に。つい先日覗かさせてもらった時は、まだ壁画がそのまま残っていて、嬉しかったです。

■優美堂から東リ町へ

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そんなわけで、東京ビエンナーレも無事に終了し、優美堂もコミュニティ アート スペースとして次のフェーズへ。これでひと段落、と思いきや、新たなプロジェクトが!

優美堂再生プロジェクトに参加している「ユウビスト」の方のひとりが、神奈川県の藤沢市で「東リ町アートフェス」という芸術祭を開催するということで、その応援のために作品を提供することに。もちろん、今回もハンコアートです。

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町内に11か所ある展示・イベント会場のすべてをハンコで描くことにしました。それぞれの店名・施設名のハンコを作成し、それを持参して現地へ。11か所すべての写真を撮り、ハンコ絵を制作しました。

今回嬉しかったのは、日帰りでしたがちょっとした「アーティスト・イン・レジデンス」での制作を体験できたこと。その場所に滞在しながら、作品を制作するというのが昔からの夢だったので。11枚中、現地滞在で描いたのは2枚。残り9枚は自宅に持ち帰って描きました。

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翌週、会場のひとつであるお寺に作品を持って行って、そこでも展示をしてもらいました。こちらの作品も、お客さんが参加できるように、インクパッドと実際に使ったハンコを作品にくっつけてあります。マジックテープでつけてあるハンコを取って、誰でも作品にハンコを押せるようになっています。

■まとめ

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そんなわけで、「優美堂再生プロジェクト」に参加したおかげで、久しぶりに思いっきりハンコアートを楽しむことができました。自分だけでなく、そこに来てくれた人も参加してもらい。とても幸せな時間を過ごすことができました。さらに、芸術祭にも参加させてもらって、こちらも良い経験になりました。

というわけで今後は。ハンコアートのワークショップを開催しても面白いと思いますし、あるいはまたどこか地方に滞在してハンコ絵を描くのも良いな、と。地元で描いても良いよなー、などとも考えています。

というわけで、「日曜アーティスト」として、今後もハンコアートっていうツールを使いながら、面白そうなところに飛び込んでいったり、みんなで遊びる企画をつくっていきたいと思っています。

「日曜アーティスト」を名乗って、くだらないことに本気で取り組みつつ、趣味の創作活動をしています。みんなで遊ぶと楽しいですよね。