一瞬の過ち



そんなことがあってからは
今まで通り上手く付き合えなかった


当たり前だけど会っても楽しくない
明らかに彼の口数が減っている
「好き」の愛情表現も無くなって
セックスもしなかった


「考えるって言ってたけど、いつまで待てばいいの?」


あれから1ヶ月が経った頃、私は彼を急かすように問いかけた


彼がわからなかった


(考えるって何を?)
そう思ってたけどずっと聞けなかった
(私のこと好きかどうか試す期間?)
(今天秤にかけられてるの?)

考えれば考えるほど今付き合ってる意味がわからなかった


そんな風に思ってた矢先、彼にしては初めての
長いLINEが入っていた



バイト終わりに急いでLINEの通知を開いた


「待たせてごめん、こんな風になったのは俺のせいだし許して欲しいって思ってない、でも今はもう前みたいに付き合えない、〇〇のこと好きって言える自信がないから別れたい
でも別れたらすごいめちゃくちゃ後悔するかもとも思ってる、本当にごめん」


電話をかけた
明日はふたりの誕生日だった(誕生日同じだったのです汗)


電話越しでもわかるくらい彼は泣いていた


1ヶ月で私は強くなっていた、冷静だった

「わかった、私も急かしてごめんね、別れよう」


ふたりの2年と1ヶ月が終わった

学生ながらに本気で恋愛していた
家族になってもいい、それくらい思ってた



「2年間ずっと楽しかったね」


気付けば2人で思い出話をしていた


初めて学校で私を見かけた時のこと
付き合う前、ほぼ毎回バイト先に迎えにきてくれたこと
廊下ですれ違った時は緊張したこと
公園で日付が変わるまで話したこと
2ケツして家に帰ったこと
先生にまで付き合ってる事をいじられたこと
毎年夏にスカイツリーに行ったこと
お花見でお弁当を作って行ったこと
私の犬の散歩をしたこと
先に免許をとった私が助手席に彼を乗せたこと
お互いの家族、友達に会ったこと
一緒に誕生日をお祝いしたこと


はじめてのことが多かった

それはふたりともそうだった

キラキラした時代に楽しいことをしすぎた
美しい思い出が多すぎる


2人でそんな話をしていると、別れる必要があるのかわからなくなっていた


「、、、明日も学校だからもう寝るね」


「ありがとう、ずっと楽しかった」


「ありがとう、ずっと好きだった」


「本当にごめん」


「もう謝らないで、もういいから」
彼からの好きがない事に悲しかったことを
覚えてる笑


「、、ごめん、本当にありがとう」


「またね、元気でね」


電話を切ると日付が回っていて
ふたりの誕生日だった

ハタチになった私は、ひとりぼっちだった




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