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うつ病の特効薬が開発されたら

とても面白い思考実験だと思いましたので、ちょっと乗っかってみます。

うつ病の特効薬が開発されたとして、それがどういうタイプの薬剤かによってシナリオは変わってくると思います。

シナリオ1 ネガティブな思考を強制的にシャットダウンする薬剤

シナリオ2 どんなにネガティブな思考を続けても心身の機能が落ちなくなる薬剤

シナリオ1の場合は、要するに人々が皆楽天的になるだけですから、ラテン系の民族みたいになるんじゃないですかね。辛気臭いお説教は誰も聞かなくなり、仕事はいい加減になり、パーティーやセックスが大盛況になるでしょう。過労がエスカレートするという小山さんの予想とは逆向きですね。また、このタイプの薬剤なら、すでにある程度実用化されているとも思います。

シナリオ2のほうが興味深いです。人間の精神がどんなにネガティブな思考にも耐えられるようになったら、一体どうなるのか。きっと人間社会のレベルが格段に上がると思うんですよね。極めて合理的に物事を考え抜く人が増えるでしょう。もう人間は悩むことから逃避しません。だから人間の成熟が進みます。庶民が賢明な判断をするようになります。依存性のある商売は消えます。民主主義の理想に近づきます。市民の多くが哲学に関心を持ち、その分野が一気に発展します。

ただし、シナリオ2には大きなリスクがあります。ネガティブな思考を植え付けられても身体が拒絶反応を起こさなくなってしまうので、いくらでも吸収してしまうことです。人格が歪んでも、歪んだままで機能不全を起こすこともなく生きていけてしまいます。無敵のストレス耐性を持つサイコパスが誕生します。これを悪用して兵士教育や従業員訓練が行われることも考えられます。

どうやらシナリオ2はパンドラの箱のようです。人間が非人間的な存在でいられるような薬剤は危険ですね。


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