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赤い公園 LAST LIVE 「THE PARK」 を見て消化不良になった話


先日赤い公園の解散ライブが行われた。
抽選に当たることもなく配信でライブを見たが,3日たった今でも僕はこのライブから生まれた感情を引きずっている。

タイトルを見ると,赤い公園に対する思いがライブを観ても消化されなかったと思うかもしれないが,そうではない。

このライブを観たことで消化不良になったのだ。

そして,この行き場のない気持ちを,ネットの海に流して少し気を紛らわそうと思った次第である。


恥ずかしながら僕が赤い公園を好きになったのは,津野さんの訃報がきっかけだった。ニュースを見てからの流れで,アルバム「THE PARK」の素晴らしさに魅了された。

それまでも赤い公園に触れるチャンスはあったのだが,前任のボーカル佐藤さんの歌声がその時の気分ではなかったこともあり,聴いてこなかった。
今では佐藤さん時代の曲も好きで,なんとも適当でもったいない理由ではあるが,趣味で聴く音楽とは得てしてそういうものだろう。

訃報を聴いてもちろん,驚きも悲しさもあった。
ただ,あくまで名前を知っているバンドのメンバーが亡くなってしまった悲しみであってそれ以上でもそれ以下でもなかったというのが正直なところだ。

このタイミングもあり,今回のライブを観るまで僕の中での赤い公園はCDの中の存在だった。あくまで完成された音源を楽しんでいる状態。

ある意味,僕は赤い公園をもう解散したバンドのような気持ちで聴いていたのかもしれない。
こんなに素晴らしいバンドをもう少し早く知っておけばという気持ちはもちろんあったが,その頃にはその頃好きな曲を聴いていたと思うし,過去に対する後悔は限定的なものであった。

ビートルズが解散してもう結成されることも永遠にないのだが,それに対してがっかりするということはあまりないのではないかと思う。そのくらいの感覚だった。


しかし,今回のライブを観て僕のこの想いは完全に覆されてしまった。

それはなぜか。

可能性を感じてしまったからだ。

未来への。


フロントマン石野理子は大きな魅力を持っていた。

まず,ボーカルが素晴らしかった。

これは僕が石野さん推しであるからかもしれないが,ライブで聴く良さは格別であった。

旧体制での曲も素晴らしかった。
曲を完全に自分の色に染め上げていたように感じる。

Youtubeで見た熱唱まつりの佐藤さんのパフォーマンスも素晴らしいが,
石野さんには石野さんの良さがあると言わんばかりの完成度。
KOIKIからのNOW ON AIRは鳥肌ものだった。

そう,僕はこの石野さんの歌に魅了されて赤い公園が好きになったのだ

また,歌だけでなく,ステージでの振る舞いも魅力的であった。
アイドル時代の影が見える自分の見せ方。

ステージ上の彼女はとてつもなく輝いていた。


そして,もう一つ感じたことは,津野さんのプロデュース力の高さだ。

旧体制の楽曲も素晴らしかったが,新体制になった後の楽曲はやはり格別であったし,石野さんの色と本当によく馴染んでいるように感じた。

津野さんはそれぞれのボーカルの良さを最大限に活かした曲を作っていたことを痛感した。

僕がこのライブで感じた可能性は石野さん加入によるものであった。

旧体制の曲をより磨いていく可能性。
新たに,石野カラー全開の曲を生み出していく可能性。

赤い公園は,石野さんの加入により新時代に突入し,さらに飛躍していく可能性に満ちていたのだ。

今回のライブでその可能性の素晴らしさと,そうはならない現実を突きつけられてしまった。

これが僕の消化不良の原因であろう。

どうしたって解決することのできないからこその消化不良。

石野さんには赤い公園が,赤い公園には石野さんが必要だったのである。

そして,赤い公園とは津野さんそのものであった。

石野さん,藤本さん,歌川さんの今後は応援していきたいし,
僕の消化不良が紛れるような活躍が見れたらとても嬉しい。


ただ,今回のライブで僕は,自分が気付いていなかった「可能性がなくなる」という事実を重く突きつけられることとなった。

そして,その受け止め方が僕にはまだわからない。


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