見出し画像

深夜の電話

2011年3月11日、東京の電車が全て止まった。深夜になり動き出す路線もあったが、自宅方面の電車は復旧しない見込みだった。

自宅に帰れないので、大学時代の友達を頼って泊めてもらうことにした。横になって寝れるだけでもすごく安心した。

安堵の気持ちで熟睡していたら携帯電話がなった。

午前3時、母からの電話だった。
なんかあったのかと思って、友達を起こさないように電話に出る。

母「あんた、何してるの。電話もよこさないで」
私「みんな、無事ですか?」
母「無事なわけないでしょう。大変だったんだから」
私「被害があった?お父さん大丈夫?」

母「〇〇で買い物していたら、地震がきて。電車が止まっちゃって帰れなくなって大変だったのよ・・・2時間歩いて帰ってきた。〇〇さん(私の妻)に連絡して車で迎えにきてもらおうと思ったんだけど、電話がつながらなくて・・・」

私「今度、話聞くから今日はもういいですか。みんな無事で、被害はないんですよね?うちの家族も全員無事です。私は東京に足止めされて、家に帰れてません。ということで、この辺で切りますよ。おやすみなさい。」

母「あなたに言いたいの。電話ぐらいできないの?」

私「・・・」

電話を切って、再び眠りについた。

あれから10年。
今思えば、母は私を心配して夜中まで電話をかけ続けたのだろうな。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?