【TOLOPANの真髄に迫るvol.36】パンとクリームの食感を考慮したミルクフランス

ミルクフランスとは、
本当に美味しそうなキャッチフレーズである。
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分解するとミルクは牛乳、
フランスはフランスパンのこと。
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実際には牛乳からできるバターがメインで、
フランスパンはフランスで行われる全てのパンのこと。
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日本ではバゲットをフランスパンと呼ぶことがある。それはバゲット＝フランスを象徴することから、昔の日本人に伝えわかりやすくするための呼び名だったように思う。
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そう考えるとミルクフランスは、「ニュアンス」であると思う。フランス部分がバゲットである必要はきっとないのであろう。
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つまりは、パン屋として背景にある歴史を伝える責務はない。そう判断し、自分が思う「ニュアンス」で、美味しい味と食感を考えることが大事なパンだと思うのだ。
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まず僕の思う美味しいクリームパンの条件。
美味しいクリーム菓子の条件。
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クリームと生地の硬さを同じに近づけること。
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クリームがメインであると考えると、包餡したタイプは外れる。というのも、包餡して焼いたものはパンの温度的に「ス」が入り、硫黄臭が立ち、食感も味も崩れてしまうからだ。
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クリーム菓子は、同じ食感が続くと飽きがくる。例えばシュー生地のように内層が少ない条件であれば、一枚の薄皮に食感を持ち、滑らかなクリームを味わうのが美味しい。
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ムースなどもクリームと重なっていることが多い。なめらかという大きなものの中に、細分化された強度の演出がある。ベースにタルトやフィユタージュを使用した場合も、薄さと脆さとその上に置くものの微々たる食感の違いがある。滑らかな口溶けの中に濃厚さを出して、上にいくにつれなめらかな軽さ、乗せるものからくる抜けの香りを意識していく。
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トロパンでのメインになるバタークリームは、同量の卵黄とグラニュー糖をしっかり白くなるまでまぜ、温度が上がった時にゲル防止と臭み消しを行う。その後湯煎で白く混ぜたものに牛乳を注ぎ、ホイッパーで７０°C〜７５°Cのタンパク質が凝固するギリギリで気泡を安定させる。湯煎から外し、ハンドミキサーに切り替えて少し柔らかくなったバターを少しずつ加えて温度を３５°C以下に落とし最後にバニラエッセンスをいれて、ゴムヘラで軽く混ぜ合わせて出来上がる。空気を含んだバタークリームの、細かい気泡が安定した滑らかな軽さはどこかパンのスポンジ状の内層に似ている。
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このクリームに対して、パンはクラストの歯切れの良さ、クラムの軽くてしっとりとした滑らかさが必要になる。その生地にぴったりなのが、パンチュータしかないと思った。これはペルーの代表的なパンであり、簡単に言うと砂糖の入らないブリオッシュのようなものだ。
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見た目よりも柔らかく、しかも内層にしっとりとした滑らかさがあり、３５gと思えない窯伸びをする。UNOXのコンベクションは、スチームと無風とダンパーという機能がスムーズに行えるため、９分で理想の焼成ができる。
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クリームを挟んでみると、バニラの香りが鼻にきて、まず上の歯切れの軽さがくる。その後に少し温度差のあるクリームが、ミルクの甘味のように重くなく舌に滑らかさと味を伝え、生地の下の方のほどけるような内層のしっとり感とのバランスが取れる。クリームだけがぎゅっと飛び出さない、脇役の生地の重要性を感じる。
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製パンにとって大切なことは、
製パン技術と製パン理論。
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そして、「製パン考慮」
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全てのことにいつも３つのプロセスを用意し、それぞれを思い行動することが大切なのだ。