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オッドタクシー

この名前とポスターをどこかで何回か見かけてたので存在は知っていた。ただ子供向けなビースターズという第一印象を持っていて見る気はなかった。

なかったのに、偶然アマプラで見かけたのと、時間があったのもあり1話を視聴してしまった。

結論、めちゃくちゃ面白かったです。
思いがけずOPから好印象。スカートとパンピーのコラボやOPの絵柄が、既にありきたりな動物系、という枠から外れてる気がした。
更に、冒頭のシーン、ぐるぐる巻きにされた何かが海の底に沈められるカットから物語が始まって、一層興味を惹かれた。なんだこれは。1話を見て、終始そんな感情を持った。

キャラクターは全員動物、絵柄はどこか優しく、印象としては子供向けな感じがする。そんな印象を悉く裏切るかのような、エッジの効いたブラックユーモアが散りばめられている。時折シュールでコミカルな笑いの要素もあるから、ミステリーな雰囲気の重さも出ない。序盤の方でミスチルの歌詞パロディの「白か黒かという 難題をつけつけられ」のくだりは思わず笑った。 

3話辺りから不穏な感じが露になる。1,2話で現代社会への皮肉はよく伝わるが、ここらへんから何か直接的寄りな表現が出てくる。依然、変化球ではあるんですがね。 

人気の海外ドラマでも定番の、次回予告手前で続きが気になる、えっ!?!?といった展開が、このオッドタクシーにも幾つかある。これもこのアニメの魅力だ。続きが気になる。でも毎回そうじゃなくて、テイストの違う回もある。

曖昧な言葉でしか説明出来ないが、そういう「温度感」とか「バランス感」というのが絶妙なんです。ファンが評論家気取りでこんな俗っぽいこと言うと、作品の評価が下がる気もする。でも作品はほんとに面白いので安心して欲しい。

ミステリーでは定番の伏線回収、それが主に終盤の数話で行われる。ただこれも完全にスッキリする「分かりやすい」類いではなく、「答えは詰め込みましたよ」と言って、ためらいなく立ち去ってくようなかんじ。だから再度見返したくなったりネットの考察を一通りみたくなってしまう。憎めない。。

最終話、最後の展開等、ネットでは賛否がある模様。確かに否定的な意見の気持ちもよく分かる。ただその否定的な意見の大多数は、勝手に好きになって勝手に期待して、勝手にフラれた、そんな身勝手さと似たようなものを感じる。よい解釈をすると、この作品は私達を期待させてしまうほど面白かったし、議論したくなるほどエッジが効いていた。

正直、私もどこかでモヤモヤしているし、もっと欲を言うと続きが見たいと思ってしまった。野暮なものです。スパッと終わってしまったことを嘆き、考察や評価を繰り返し検索し、ありもしない続編に期待してしまう。こんな野暮な私(達)を作ったのが、近頃の分かりやすくて優しいコンテンツだとするならば、こんな私(達)や世間も、オッドタクシーが皮肉してるモノの一部なのだろう。

つらつら物申しましたが、結局言いたいのはオッドタクシーまじで面白いよ!ってこと。特にアニメとか苦手な人とか、普段見ない人ほどハマると思うから薦めたい。アマプラとかでしか見れないのは残念だが、もし入ってるなら1話をチラ見して欲しい。わずか20分弱で手頃な沼にハマるかもしれません。

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p.s.
ホモサピエンスめっちゃ好きでした。お笑いにアツい柴垣も現代人的やさお馬場も良いキャラでしたね。あと歌舞伎町でボーイしてる今井くんも悪気のない底抜けたアホって感じ好みでした。