A教授からのハラスメントまでの経緯(1)

2016年11月、当時在学していた大学のA准教授(現在は同大学教授)に誘われて同行した食事中に足を絡ませられ、卑猥な言葉をかけられて手で顔や首を撫でられ、私の歯に挟まった食べカスを手で取るなどされた後、自宅前まで送られ、そこでもハグ、勃起した局部を押し付ける、耳や首にキスをするなどのハラスメントを受けました。その件について大学のキャンパス・ハラスメント相談室に提起したものの「恋愛感情のもつれ」として事実を否定され、今に至ります。上記のような行為に至るまでの経緯を、ここにまとめ直しておくことにします。

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私は2014年4月に大学に入学しました。

新入生歓迎会の場で、思想に関心がある旨を一人の教授に伝えると、当時、私が所属するコースの准教授だったA(現在は同大学教授)を紹介してくれ、その時は「将来有望ですね」ぐらいの挨拶で終わりました。

2年生に進級した2015年に、私は大学が主催していた夏季休暇中のドイツ短期語学留学(2015年8月〜9月の3週間ほど)に応募し、面接を経て参加しました。その時の面接官がAと女性教授の二人で、そのうちA一人が私が参加したグループの現地での引率も担当していました(滞在中及び渡航前の準備合宿にはAの妻子を同伴していました)。
渡航前の時期に私はAから学外で行われる小規模な学会の合宿に参加してみないかというメールを受け取っており、ドイツに向かう飛行機の中でAはそのことについて私に話しかけてきました。そのメールは留学メンバーの中では私だけに送られていたもののようでした。そうした個人的なメールの内容について妻子や他の参加者のいる前で話しかけられたので、私が特別に「目をかけられている」かのような印象を周囲に与えているように感じ、少し居心地が悪かったことを覚えています。
滞在中、Aは基本的に妻子と行動を共にしており、学生とはたまに会話を交わす程度で、私を含め特定の学生とのみ深く関わるような振る舞いはありませんでした。

帰国直後の9月14日・15日に、私はメールで誘われていた学会の合宿に参加しました。私の他にもう一人、当時Aが担当していた一年生向けの基礎ゼミの男子学生(以下、B)も彼に誘われて参加していました。そこでも特に不安を与えるような言動はなかったと思います。

夏季休暇後の秋学期に開講されていた、私が所属するコース共通の必修授業をAが担当することになりました。その授業では学生の提出したコメントペーパーのうちのいくつか冒頭で紹介していたのですが、80人くらいの受講者がいた中で、Aは当初から毎回必ず私の提出したコメントペーパーをその一つに選んでいました。
そのうちAは授業後に私を個人的にお茶に誘うようになりました。学生の多くが授業中にコメントペーパーを書き授業終了後はすぐに提出して退室していたのに対し、私を含む数人はいつもしばらく教室に残ってコメントペーパーを書いていました。その数人のうちには、私が一緒に授業を受けていた友人もいましたが、Aはなぜか私だけをお茶に誘ってきました。自分だけに声が掛けられるのは周囲に対して居心地の悪さを感じていましたが、私は哲学分野(そのコースではAがほぼ唯一の哲学の専門家でした)で大学院への進学も志望していたこともあり、評価されているのだと感じることは純粋に嬉しく、また議論の内容も充実したものと感じていました。
議論の内容は主に授業について私の感想を尋ねられ、それに対してAがより踏み込んだ解説をするかたちで、意見交換を行うものでした。その中でAは、私のコメントペーパーを紹介する意図について「同じ授業を聞いてこれだけ考えて感じる人がいるんだということを他の学生に知ってほしいからだ」と説明していました。また、大学院進学についての具体的なアドバイスや、研究室の紹介などもしてくれました。

またこの頃から授業や研究と関係のない内容の個人的なメールや電話が時々くるようにもなりました。授業のない日に唐突に食事(昼夜を問わず)に誘われることもありましたが、家にいるなどで私が断ると、非常に素気なく不機嫌そうな対応をされ不安になることもありました。

同じく2015年の秋学期には大学のゼミと並行して、Aが当時別の大学で受け持っていた隔週開催の購読授業に、A本人から、私とBが参加の誘いを受け、出席し、私もレジュメ発表などを行いました。
その授業には私たち以外にも、いくつかの大学から院生の方々が参加していたのですが、その歓迎会などでAが特定の院生(女性)に対し、特別親密な態度で「いじる」ような接し方をしていたのが印象に残っています。
授業後にはAと参加者とで食事をすることが多かったのですが、ある時いつものように参加者で食事をした後、私一人だけがAにスナックのような店に誘われました。そこで「コメントペーパーが抜群にいい」「よくこの大学にきてくれた」「あなたのような学生に出会えたことは教員としては最上の喜びだ」などと私を褒めるようなことを言って、頭を撫でられました。
また「国立大学の大学院のいい先生を紹介してあげる」などとも言われました。その時はAを信頼しきっていたので、院進学を志望する私としても嬉しい言葉として受け取っていました。
そうしたことがあった後、購読授業の最終回後の打ち上げでは、その女性の院生に対し二次会への参加を執拗に求め、その際に「**さん(=私)はいつも付き合ってくれるのに」と、私が引き合いに出されていたことを覚えています。

また、同じ年の11月29日にAから、彼の研究室に来るよう誘われました(学園祭期間中で授業もなく、研究室のある建物には教員も学生も少なく、閑散とした状態でした)。研究室を訪ねると、お土産といって和菓子が出され、ディナーに行こうと誘われました。それ以前から食事の誘いを受けることが次第に増えてきており、不安も感じ始めていたのですが、密室状況で受けた誘いを断ることもできず、ディナーに同行しました。
誘われた際は「イタリアンだけど、大したところじゃないよ」と聞いていたので、あくまでも軽く食事をするだけだと思っていたのですが、実際には学生にとってかなり大人びた雰囲気の店で「大丈夫かな……」と不安になった記憶があります。
そこではAが編者をした本をプレゼントされ、初めのうちは研究に関する話をしていたと思いますが、お酒が進むにつれ、先生が妻と「家庭内別居状態」であることを聞いたり、私が当時交際していた男性について話すと「別れたほうがいい」という旨のことを言われました。その男性は同じ大学の理系大学院生だったのですが、「理系は合わないよ」などと言われ、でもその当時の私は交際相手に対する不信感もあった時期だったので、やはりそうなのかなと思っていました。
今改めて確認すると、午前二時ごろに帰宅したという交際相手宛のラインが残っていため、かなり深夜までAと飲んでいたようです。店を出た際にAはタクシーを呼んでくれ、私の家とAの家は逆方向だったため、タクシーに乗り込む私を見送ってくれる形で終わりました。

その後、2015年12月24日の(ちょうどクリスマス・イヴだったので日付を記憶しています)授業後に繁華街の割烹料理屋に誘われ、タクシーで同行しました。店を出た後、近くの蕎麦屋に寄った後、2キロくらいの間をしばらく連れ立って歩き帰りました。私の家の前まで送られそうになったため、手前の大通りで、「では」と無理やり挨拶をして家が特定されないようにしました。

続く

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