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国歌 national anthem を聴き比べるのが楽しい(随時更新)

最近、YouTubeでいろんな国の国歌を聴き比べている。なんでかって?

  • 普通の歌よりも短いから気軽に聞きやすい

  • 曲の雰囲気も多種多様で新鮮

  • 言語も異なるため、さまざまな発音が出てきて面白い

あと、YouTubeで検索するとお国柄が出るんですよね。国歌はスポーツの試合前に演奏されるから、その国で人気のスポーツがなんとなく見えてきたりして。ちなみに日本は野球(高校、プロ)とサッカーがよく出てきます。

国歌が流れる時のアナウンス「皆様ご起立ください」は、英語で「Ladies and gentlemen, please rise for~」、中国語で「女士们、先生们,请起立~」と言うのも覚えました。standじゃなくてriseなのね。

(と思ったら、ニュージーランドvs.サモアの動画では「Please upstanding」と言っていた。表現の仕方は地域によるのかな)

実は私め、中国、台湾、フィンランドの国歌が歌えます(うろ覚えの部分もあるけど)。最近はフィリピン、スウェーデンの国歌を覚えようとしてて苦戦している状況です。発音わからん! どっちも完全に知らん言語だし!

今回は、そんな私が面白いと思った国歌の動画を紹介するnoteです。

フィンランド:Maamme / Vårt land

フィンランドの公用語はフィンランド語とスウェーデン語。ゆえに国歌も両方ある。フィンランド語「Maamme」、スウェーデン語「Vårt land」それぞれ2番まで。全部やると長くなるから、普段はフィンランド語の1番 or 1〜2番で済ませることが多い印象。

フィンランド語の曲名は「Maamme」なのだが、アナウンスでは「Maamme laulu」と呼ばれたりしてる。lauluは「歌」という意味らしい。

歌詞自体は短いものの、3分の2をリピートして歌うため、どこが1番の終わりなのか、慣れるまではわかりにくいと思う。なんせ終わりに向けて盛り上がったと思ったら、すかさずくり返してまた盛り上がるのだ。

Tarja Turunen - Maamme (Finnish national anthem)

独立記念日の演奏会で歌われたもの。歌詞はフィンランド語の1番→スウェーデン語の1番→フィンランド語の2番の順に歌われる。フィンランド語話者が多数を占めるためか、スウェーデン語の歌詞に入ると歌詞カードを見る人が増える。私もスウェーデン語の歌詞は覚えてない。

独立記念日ですらこの調子なので、スウェーデン語の2番の出番は非常に少ない気がする。探したら一応、スウェーデン語のみでフィンランド国歌を合唱している動画があった。こっちは2番も歌ってますね。

National anthem of Finland: "Maamme" (Our Land)

パイプオルガンで伴奏する国歌って、めちゃくちゃヨーロッパっぽい!と感じる。歌詞はフィンランド語の1番と2番。男声合唱。さすがパイプオルガン、音の圧がすごくて歌詞を聞き取りづらいのが難点。よく見えないけど、一緒に鳴ってる打楽器はティンパニ?

Maamme-laulu | Clubhouse Quartet

フィンランド国歌を検索すると、アイスホッケーの試合の動画がたくさん出てくる。これもアイスホッケーの試合前に歌われたもの。歌詞はフィンランド語の1番のみ。合唱でパートを分けたり輪唱が入ったりと、いろいろアレンジされてるのを聞くのも楽しい。

なお、フィンランドとエストニアの国歌はほぼ同じ曲を使っている。

中国:义勇军进行曲(Yìyǒngjūn Jìnxíngqǔ)

中国の国歌「義勇軍進行曲」は軍歌である(行進曲ではなく進行曲)。歌詞は口語体。YouTubeが中国国内で禁じられているためか、中国側の動画があまりヒットしないんだよなぁ。

Opening ceremony of 7th Military World Games held in Wuhan

2019年に武漢で開催された世界軍人競技大会の開会式。冒頭は第二国歌「歌唱祖国(Gēchàng Zǔguó)」、国歌は3分30秒あたりから。中国語はいろんな方言を聞くのも面白いが、こういうクリアな標準語の発音もクセになるんだわ。

まれに独唱してる動画もあったけど、コメント欄で「中国の国歌は大勢(group)で歌うほうが似合うね」って言われてた。私もそう思う。

台湾:中華民國國歌(Zhōnghuá mínguó guógē) / 三民主義(Sānmín zhǔyì)

(※私は台湾の発音表記が使えないため、上記カッコ内はピンイン表記)

台湾の国歌はそのものずばりで「中華民国国歌」。でも別名の「三民主義」が有名なんじゃなかろうか。歌詞は文語体。

中国語の文語体の国歌は台湾だけっぽい。探してみたらシンガポールの国歌(マレー語)には公式の中国語訳詞があったけど、口語体なのよね。

104年四海同心聯歡大會 華人之光白嘉莉 領唱國歌 國旗歌

これは前半が国歌、後半は国旗歌(国旗を上げ下げする時の歌)。国旗歌はなんとなく中国の国歌に近いノリを感じますね。国旗歌も文語体。

20240101 總統、副總統出席「中華民國113年元旦總統府升旗典禮」

元旦の式典では国歌を歌ったのち、国旗歌の曲を流しながら国旗掲揚。台湾の国歌の動画をいくつも見たけど、前奏が短いのかわかりにくいのか、いきなり歌が始まることが多い印象を受けた。

アメリカ:The Star-Spangled Banner

野球やアメフトを見る人はアメリカの国歌を聞く機会が多いと思う。実は曲を覚えてなくて、これを機に動画を見まくった。アメリカの国歌、けっこう長いな! 道理で覚えられないはずだよ。

Whitney Houston - National Anthem (Star Spangled Banner) 4K Remaster

アメリカ人YouTuberがおすすめしていたWhitney Houstonの国歌。40秒あたりから本編が始まる。演奏も楽器がたくさんあって壮大なバージョン。

Lady Gaga - Star-Spangled Banner (Live at Super Bowl 50)

こちらはLady Gagaの歌をピアノ伴奏でしっとり聞かせる感じ。

#MaleaEmma singing National Anthem at UCLA Men Basketball

当時7歳にしてサッカーの試合で国歌独唱をやり遂げた(あのZlatan選手が拍手してるぜ!とか書かれてた)Malea Emma Tjandrawidjajaが、約半年後にバスケの試合で別のアレンジを加えて歌ってみせたもの。

なお、アメリカ国歌は音域が広くて難しい歌なんだよ!というコメントをあちこちで見かけた。国歌を歌いやすい歌にするという発想はなかったのか?と思ったが、どうなんだろう。国の特徴を出しつつ、盛り上げる要素も入れて……って考えると難しいのかもしれない。

フィリピン:Lupang Hinirang

フィリピンの国歌は、わりと弾む感じのメロディである。歌いたいけど発音がわからない。とにかく聞きまくって慣れるしかなさそう。

Toni Gonzaga sings Lupang Hinirang at Marcos inaugural | ABS-CBN News

大統領就任式にて。男性は麻っぽいシャツ、女性は肩が特徴的な形のドレスを着ている。フィリピンの学校で国歌を歌う時のテンポがこれと同じらしく、コメント欄では学生時代を懐かしむ投稿がちらほら見られる。他の人が歌ってる国歌はもうちょいテンポ速かったりしますね。

発音を聞いていると南の言語っぽいなぁと感じるわ。なんでそう感じるのか、うまく言葉にできないけども。

Charice sings the Philippine National Anthem for Pacquiao vs Mosley

フィリピンはボクシングが人気のスポーツらしく、国歌を検索するとボクシングの動画がよく出てくる。リングの上で歌手が独唱するのだ。この動画は前半がフィリピン、後半がアメリカの国歌である。

LUPANG HINIRANG - D'Voice of Lanao

合唱バージョンもいいですねぇ。フィリピンの自然を背景に歌ってるところもポイント高い。サッカーの試合とかで流れる国歌はこれよりもさらに速いテンポだった。

歌詞:https://www.philembassy.org.au/the-philippines/national-anthem

どうでもいい話だけど、歌詞を見たら「ng」という単語が出てきて思わず2度見した。典型的日本人であるわたくしめ、「n」と「ng」の聞き分けが難しくて中国語でも英語でも毎回ミスりまくっているので……。

フランス:La Marseillaise

フランスも中国同様に軍歌というか、もとは義勇兵の歌である。

Noria Letts sings La Marseillaise

この人の声や歌い方が好きで何度も聞いている。あれ? ということはフランス国歌というより、単にこの人の歌が好きなだけでは?

スコットランド:Flower of Scotland

スコットランドはUK(イギリス)を構成する4ヶ国のひとつ。というわけでラグビーやサッカーの試合前に歌われる非公式の国歌がある。

Flower of Scotland | Singalong At Home!

スコットランドといえばバグパイプ。後半は演奏なしで歌っている。歌詞に出てくるエドワードは、敵方のイングランド王エドワード2世のことらしい(スコットランド独立戦争とかそのへん。Battle of Bannockburnが1314年)

Flower of Scotland and hen wlad fy nhadau( land of my fathers) Scotland v wales 11th feb 2023

実際にスコットランドvs.ウェールズの試合で歌われている様子。冒頭はウェールズ国歌「Hen Wlad Fy Nhadau」、1分35秒あたりからスコットランド国歌。スタジアム全体が演奏なしで歌うと迫力あるな。

スウェーデン:Du gamla, du fria

歌詞は2番まで。短いから試合前も普通にフルで歌うみたい。英訳を見るとThouとか出てくるから、古風な表現を用いた歌詞なのだろう。

歌詞にhimmel(空)が出てくるので、『葬送のフリーレン』を連想して「ヒンメルってドイツ語だけじゃないんやなぁ」と思うなどした。

Du gamla, du fria (The Swedish National Anthem)

ゆったりした曲調の中に、そこはかとなく北の冷たい空気を感じる。とあるスウェーデン人YouTuberの動画を見ていた時も思ったけど、北欧の自然の風景は東アジアと全然ちがってて、なんだか絵本の世界みたい。

Swedish national anthem at Friends Arena 8 September 2019

試合前に歌う観客の皆さん。国旗に混じってヴァイキングのアイコンの旗もある。ちなみに2番の歌詞の最後は「北欧で生きて北欧で死にたい」である。郷土愛が直球ストレート!

Loa Falkman Ishockey VM 2013

アイスホッケーにて。この時のテレビ配信の映像もある(無断転載らしいけど歌ってる様子がわかりやすい)。Loa Falkmanは他にもあちこちで国歌を歌っており、探すと動画がいろいろ出てくる。

なお、ヴィクトリア皇太子の前でオーケストラやらなんやらが演奏している動画は下記のとおり。

番外編:その他の国々

それぞれの曲名に動画をリンクしています。

  • イタリア(Inno di Mameli)…テンション高め。前奏が長くて、君が代を同時に歌ってみたらイタリアの前奏のあいだに終わりそうになった。サッカーの試合ではファンが前奏から歌ってる。

  • トルコ(İstiklâl Marşı)…どことなく東欧っぽさを感じる。個人的にはこの動画のように伝統的な楽器で演奏したバージョンが好み。

  • イギリス(God Save the Queen / God Save the King)…トランペットで高らかに始まる前奏を聞くと、アイーダの凱旋行進曲を思い出す。

  • グリーンランド(Nunarput utoqqarsuanngoravit / Nuna asiilasooq)…自治政府はあるもののデンマークの一部であり、人口が6万人を切るためか、動画は非常に少ない。

  • スペイン(La Marcha Real)…現在は歌詞がないため、試合などでは歌詞のかわりに「ローロー♪」と歌うのだとスペイン人YouTuberが言っていた。動画は国王フェリペ6世の前での演奏+国旗掲揚での演奏。試合で流れるバージョンより少し遅め。

  • モンゴル(Монгол Улсын Төрийн Дуулал)…ゆったりした曲で演歌を思わせる。一方、軍の演奏を聞くと中国の国歌を連想する部分も。

余談:日本との比較

YouTubeで出てくる他国の国歌って、ニュースやスポーツのチャンネル、試合で実際に歌った歌手本人のチャンネルにUPされている動画も多いんですよ。いわゆる公式動画。Lady Gagaの国歌もそう。

一方、日本では放送権の問題があるのか、君が代を検索して出てくるのは、試合の国歌の録画を視聴者がUPしたもの(いわゆる無断転載)が多い。公式動画はほとんどUPされてないみたいで、ちょっと残念です。布施明とか、すごくよかったんだけどなぁ。

平原綾香はアジアラグビーフットボール協会による公式動画があった。この人も「さざれ石の」を切らずに歌ってるぜ!(肺活量がないと難しいやつ。日本やアメリカに限らず、どこの国も国歌は歌いやすさを重視してない印象を受けた)

前半が中国、1分30秒あたりから平原綾香の「君が代」。いろいろ聞いてみて、自分は彼女のように低いキーで歌ってるのが好みだなと気づいた。なお、コメント欄で「龍や古代の精霊を召喚してるみたい」「私の葬式に流してくれ」とか言われてて面白かったです。

あと、試合前に国歌を曲で流す場合、前奏あり・なしの2種類あるんですよね。「君が代」の前奏は最初の5文字分のメロディそのまんまなので、前奏なしだった場合、前奏ありだと思って待ってたら冒頭まるまる乗り遅れた、なんてことが起きてしまう。

野球は前奏なし、サッカーやラグビーは前奏ありだった気がします。ややこしいから統一すればいいのになぁ。