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ギターアンプの使い方 後編

皆さんこんにちは、今回は前回の続きになります。
エフェクトループの使い方や、マルチとの組み合わせ方等を整理していこうかと思います。
参考にできるところがあれば幸いです。



どこを主軸に音作りするのか


読んでくださっている方は、自分の音作りをする時どこをベースにしているでしょうか。
自分の場合だと、自前のアンプを使う時はアンプでの音作りをベースにしています。

クリーンチャンネルにコンプや空間系をかけたり…
クランチチャンネルにブースターを追加で掛けたり…
ソロでディレイを掛けたり…
 
ペダルは付加的な要素で使いつつ、軸はアンプで作ることが多いです。
逆にスタジオに入るときやライブの際、
置いてあるアンプに自前のエフェクターを繋いだり、
マルチエフェクターを繋いで音作りする、
という方も多いです。
ライブハウスやスタジオにアンプを持ち込むのも労力が結構かかりますしね…

今回の内容は、アンプ側のみではなく外からの機材で音作りをする方にも参考になるかもしれません。


エフェクトループについて

モデルによって異なりますが、エフェクトループ(またはセンドリターン)を搭載しているアンプも多くあります。
エフェクトループを端的に説明すると、

プリアンプとパワーアンプの間にエフェクターを繋げられる回路

で大体合ってると思います。
どういう人が使うのか。それはアンプを活かしつつ自分の機材を使いたい、という人です。

例えばマルチエフェクターやアンプシミュレーターを自宅で使っている方が、スタジオやライブハウスで作った音でアンプから音を出したいという時。

エレキギター

マルチエフェクター

ギターアンプのインプット

の流れで繋ぐと、前述のプリアンプ(音色を調整する部分)を通る為、家で作ってきた音から大きく変化してしまいます。

またアンプの歪みは使いたい、でもクリーントーンでコーラスやディレイをきれいにかけたい時。

エレキギター

空間系エフェクター

アンプのインプット

でつなぐと空間系をかけた音がプリアンプを通り、キレイに掛けたいのに濁った音になってしまうこともあります。

そこで使うのがエフェクトループ(センドリターン)です。
前述の通りプリとパワーの間にある回路なので、空間系のエフェクトを綺麗に掛けたい場合や、プリアンプの影響を受けてほしくない機材を入れる場合、

エレキギター

(前段に咬ませたいペダル、ブースター等)

プリアンプ(歪ませたり調整する部分)

エフェクトループ(ここに空間系やマルチエフェクターを繋ぐ)

パワーアンプ(音量の調整をする部分)

この様な流れで繋いでもらうのがいいのかなと思います。
ただ、マルチエフェクターを繋ぐ場合は少し考慮する点があります。

Koch multitone の背面   To fx=send  from fx=return 

マルチエフェクターをメインに据える場合

上の項目でマルチエフェクターはセンドリターンに繋ぐといい、と書きましたが空間系だけではなくアンプシミュレーター部分も使いたい人もいます。
しかし上の流れでは、ギターアンプのプリアンプを通った上で更にマルチのシミュレーターがかかる為、想定していた音と異なる可能性があります。
そこで使われているのが「リターン挿し」というものです。

最初に大まかに説明すると、
ギターアンプのパワーアンプ部(及びキャビ)だけを使う
みたいなことです。

「インプットから挿すとプリアンプを通ってしまうなら、センドリターンのリターンからマルチを挿してプリアンプを通らずにパワーアンプで音量の増幅だけしよう」

エレキギター

マルチエフェクター

ギターアンプのリターン

この流れであれば、マルチ内のアンプシミュレーターを使いつつアンプで音量を稼ぐことができます。
注意する点として、この方式でマルチ内のシミュレーターは使えますがギターアンプ(スピーカー)から音を出す為、キャビネットシミュレーターはオフにした方が狙った音になりやすいかもしれません。
キャビネットシミュレーターは、ギターアンプを鳴らした時の特性を再現した物なので、それをさらにアンプから鳴らす、となるとモコモコしたり意図したサウンドから外れる可能性がある為です。
また、個人的にリターン挿しをする際に注意した方がいいなと思うポイントが次です。


リターン挿ししたけど…

「リターンに挿したはいいけど、音が出ない!」
という経験はありますか?
僕は何回かあります。
プリアンプを通っておらずパワーアンプのみを使う場合、普段のボリューム調整とは別のツマミを触ることで解決することがあります。

それは、エフェクトループのMixです。
エフェクトループがあるアンプの多くは、エフェクトループの掛かり具合を調整する、FxMixみたいなツマミがあります。
ここが0のままだと、音が出ないことが多いのではないかと思います。
(厳密にいえば、エフェクトループが直列(シリーズ)なのか、並列(パラレル)なのかでもまた変わると思うんですが、ちょっと本題から逸れるのでおまけで軽く触れます)

プリアンプを通ってない以上プリ部のゲインやボリューム、及びトーンコントロールは効かない事が多いです。
それに加えてマスターボリュームを上げても音が出ない場合は、Fxmix(もしくはエフェクトループの調整ツマミ)がパネルにないか探してみて下さい。
そこを上げたらうまくいくかもしれません。

ただこれだけ書いた上で気にしておいてほしいのは、使用するアンプによって内部構造は異なる為全てのアンプで上記の事項が通用するわけではない、ということです。
これに関連して次の点にも注意が必要です。

multitoneのfxmix

リターン挿しする時は音量0から!

アンプ毎に回路が異なる、と書きましたが全てのアンプにループのmixツマミがあるわけではありません。
逆に音量調整が挿し込む機材に依存している物もあります

例えば、マーシャルのJCM(うろ覚えで申し訳ない)だとパネルにFxmixがあるのでそこを0から調整することが出来るんですが、ジャズコーラスには無いです(自分がよく通っているスタジオのものには無い)。
本当に一番最初にリターン挿しを試した時急に音が出てびっくりした覚えがあるんですが(そこまで大きい音にはしてなかったんですが)、マルチエフェクターの音量を0にしておかないと設定次第ではアンプに甚大な負荷をかけてしまいます

ジャズコーラスの場合ボリュームを調整できるツマミが無い為、繋ぐ機器側でボリュームを調整する事になります。
言ってみればパワーアンプとしてのレベル(アンプとして出せる音量)は固定、スピーカーから出すだけ、となります。

アンプ毎に異なるというか、同じアンプでも仕様が違えば回路やハードウェア周りも異なる可能性はあるので、ここは本当に気をつけて音を出したい所です。
破損してしまって修理代がかかるなんてそんな悲しい事ないですからね…

(因みにですが背面パネルの「-20dbu」「+4dbu」のスイッチは、
「-20dbu」→ペダルのエフェクターを接続する時のレベル
「+4dbu」→ラックのエフェクターを接続する時のレベル
の様です、ここは理解が足りておらず何故この数値なのか説明できず申し訳ありません…)


組み合わせられるのはマルチだけではない

ここまで長々と色々エフェクトループやリターン挿しについて説明してきましたが、ギターアンプと組み合わせられるのはマルチエフェクターだけではありません。

センドリターンの別の呼び方として、
「センド」→「プリアンプ アウト」
「リターン」→「パワーアンプ イン」
と書いているモデルもあります。
例えば自分が気に入っているラックプリアンプがある、またはペダルタイプのプリアンプがある場合、リターンに挿せばパワーアンプとスピーカーのみ使えます。

ラックプリアンプは今より少し前が恐らく全盛期(恐らく1980付近~2000付近か?)で、プロアーティストのステージ上やバックステージに何Uか分からないケースにギチギチにラック機材がマウントされている写真等を見たことある人もみえると思いますし、憧れた人も多いと思います。

またラックだけでなく、ペダルタイプのプリアンプも今は出ています(ちょっと前だとmooerからよく出ていた気がします)。
ペダルプリアンプ主体で組むとシステムが小型化できると思うので、機材をコンパクトにしたい人には向いているかもしれません。

ただマルチのリターン挿しやプリアンプを挿し込む時共に言えることですが、パワーアンプやスピーカーを使う都合上、どうしてもパワーアンプの影響は受けます。
プリアンプやマルチのみの音だけというのは難しいです。

もしパワーアンプやスピーカーの影響を受けずに音を出したい場合は、マルチのキャビネットシミュレーターをオンにし、スタジオのミキサー等に繋ぎましょう。
ある意味これが一番家で作ってきた音そのままに近い音で出せるかもしれません。
ただモニターから出すこともあり、全くそのまま同じというのは難しいです。
モニターから出す前提でスタジオでセッティングしに入る、というのも全然ありだと思います。

おまけ

エフェクトループには2種類あり、
シリーズ(直列)
パラレル(並列)
があります。これら切り替えられるモデルもあれば、シリーズとパラレルでそもそもジャックが異なるモデルもあります。

シリーズは直列の名前の通り、順番に繋いでいる状態です。

原音(プリアンプからの入力)

エフェクト音(エフェクトループ)

原音+エフェクト(プリアンプ+エフェクトループを合わせた入力)

パワーアンプへ

分かりにくいと思いますがこのような流れです。
あまり細かい事を考えずに使えるので、普段僕はこちらしか使ってません…

ではパラレルはどうなのか。

これも並列の名前通りなんですが、
「原音」と「エフェクトループ」が並列になり、エフェクトループを原音に対してどれくらいかけるのかをFxmixで調整する事が出来ます。

原音
↓ → 
     ↓
原音  エフェクトループ
     ↓
↓  ←
原音&エフェクト(エフェクトの掛かりをmixで調整)    

僕はミックスする量とかペダル側でドライ音をカットしてエフェクトだけにして…とか考えるのがとても面倒なのでシリーズしかほとんど使わないんですが、突き詰めるとパラレルの方が表現は多彩なんだと思います。

僕のイメージだと
シリーズは割合調整(ミックス)ができないけど繋ぐだけでいいから楽
パラレルはキルドライとか掛け具合調整しなきゃいけない変わりに使えれば綺麗に響かせる事ができる
という印象です。
ここはあくまで僕のイメージなので、あまりあてにしない方がいいかもしれません…
この部分はちょっと自分でも理解不足なのでうまく説明しきれず申し訳ありません。


終わりに

僕が考えるギターアンプについての大まかな知識は以上になります。

今は様々な機材があり、アンプシミュレーターやマルチエフェクター、もうマルチというよりギターの総合装置みたいな物が多数あります。
KemperやHelix、Quad CortexやAxeなどもある反面、使いこなすのが難しいという一面もあります。
それは多機能故にやれることが多すぎて決めるのが難しいということもあれば、せっかく高い金額払ったのに、音が思った通りに出せない、想像と違ったという声もよく聞きます。

そんな方が少しでも前よりいい音で出せる、機材のことを見直せるようなきっかけにでもなれば幸いです。

では今回はこの辺りで。
読んでくださった方、ありがとうございました。


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