インターネットは、精神貧困者たちに汚染され続けている
とある本を読んでいました。それは若者文化論のような本でもあり、階級論のような本でもありました。
それによると、昔、六本木、青山あたりは金持ちだけが訪れる遊び場で、貧乏人は立ち寄ることすらできなかったらしいのです。1980年くらいまでのことだそうです。
ところで、グーグルの検索結果がまるで使えなくなったのは2000年代のことだったでしょうか、それとも2010年代のことだったでしょうか。
なんの役にも立たない情報を雑多に並べ立てただけのまとめサイトや、名前だけは響きがいいキュレーションサイトといったものが、グーグル検索の1ページ目を席巻するようになりました。中には、医療情報のサイトだと謳っておきながら荒唐無稽の話をたくさん書いている、害悪そのものでしかないサイトもありました。
かつて、ごちゃんねるがまだ、にちゃんねるだったころ、安易に人にものをたずねる書き込みに対して、「ググれカス」というアンサーがよく見かけられましたが、それは、グーグルで検索すれば、まっとうな情報をすぐに調べられるからでした。グーグルは、まさに「先生」でした。
しかし、いつのころからか、グーグルの検索結果で、ページを上の方に表示にさせる特殊なテクニック(SEO対策と言います)が広まってきて、その特殊なテクニックでページを上の方に表示させ、PV数(ページビュー数)を稼いで、広告でお金稼ぎをするサイトが、増えてきました。
グーグルは、とても使いづらくなりました。検索しても出てくるのはなんの役にも立たない脱ぎっぱなしの靴下みたいなサイトばかりで、本当に欲しい情報を探すには、検索結果のページを、ずっと下っていかなければいけなくなりました。
そして今、長らく平和だったツイッターの世界にも、甘い言葉をまき散らす金の亡者どもがうようよ湧いてきて、ぼくはとても哀しい気持ちです。
ぼくは、人々が日常の中で感じている思いや、好きな趣味の話など、人生の悲喜こもごもを眺めるのが、好きでした。
「ツイッターこそが、新しい時代の、文学だ」
そう思ったことも、ありました。
しかしいつの間にか、いわゆる情報商材を売っていると思われるアカウントが、タイムラインに目立つようになりました。
「ITエンジニアになって年収1500万円!」
「副業で1億!」
「世界を自由に旅して生きよう!」
「まだ東京で消耗してるの?」
「まだ仮想通貨もってないの?」
といった、童貞の口説き文句にも劣るつぶやきが、やたらと目に入るようになったのです。
おそらくですがこれらのアカウントは、フォロワーを買ったり、同じような商材を売っているお仲間同士でリツイートしあったり、オンラインサロンのメンバー同士で互いにコメントで褒め合ったりして、自分たちのツイートが広がるようにし、自分たちの商品に価値があるように見せかけ、頭が優れていない人々に、道端に吐き捨てられたタンのような商品を、売りつけようとしているのです。
ネズミ講という言葉があります。
まさにぼくらの泉は、薄汚いドブネズミたちに、汚されているのです。
精神的遊戯に満ち満ちていたぼくらのオアシスに、金の亡者どもが、襲撃してきた。
かつてお金持ちの遊び場だった六本木や青山に貧乏人が大挙して押し寄せてきたように、精神の貧困層、拝金主義の奴隷どもが、豊かな精神のアゴラだったツイッターを、醜い人狩場に、してしまった。
ぼくらの青い鳥は、黒死病にかかり、息も、絶え絶えのようです。
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