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おげれつたなか先生「ハッピー・オブ・ジ・エンド」

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「ハッピー・オブ・ジ・エンド」の感想です。 こんなにも素晴らしいBLに出会えて幸せです。
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#マンガ感想文

「ハッピー・オブ・ジ・エンド」 ep.16&17(最終話)感想

愛する物語の終わり  大好きだった 「ハッピー・オブ・ジ・エンド」が最終話を迎えた。  2巻読了時に私が想像していたのとは、まったく違った形で。(3巻予想) 「ハピエンにする」とおげれつ先生がおっしゃっていた通り、優しく暖かく、希望の持てるハッピー・エンドだった。  何があっても揺らがない千紘と浩然の愛情が、切なくて美しかった。  でも、なんだか胸の中にモヤモヤしたものが残り、1、2巻を読んだ時のように純粋に「感動した~!!」と思えなかった。  私はおげれつ先生の絵

「ハッピー・オブ・ジ・エンド」 ep.15 感想

ep.15  新宿の路地裏で浩然がマヤを包丁で刺すという衝撃の14話から9か月。  待ちに待った15話は予想を遥かに超えた展開で、驚きとショックの連続だった。  15話では浩然の瞳が闇のように黒いままで、時折わずかに光が灯るのみだ。    マヤの腹部に突き刺した包丁を両手でしっかりと掴みなおし、頭上から勢いよく振り下ろそうとする浩然は、千紘と自分の未来のためにマヤを本気で殺そうとしているように見える。  泣きながら「たすけて…」と命乞いをするマヤ。  その時、突然鳴り出し

「ハッピー・オブ・ジ・エンド」 ep.14 感想

ep.14  引き続き、物語は重く暗い空気に包まれている。  マヤが千紘を拉致して暴力をふるうこと、そのために浩然が苦しむことは予想していたが、14話の最後のページを目にした時、私は驚いて息を飲んだ。  まさか、こんなことになるなんて…。  ここからはネタバレを含みます。コミックス派の方は閲覧にご注意ください。  13話以降、表紙の記載がep.13、14ではなく、No.13、14となっていますが、この記事では2巻までと同様にep.を使用しています。  千紘の退院後、二人

「ハッピー・オブ・ジ・エンド」 ep.13 感想

ep.13  13話は概ね2巻の終わりで予想した通りの展開だった。  とはいえ、千紘の涙と浩然が苦しむ姿を目の当たりにすると、胸を抉られる。  しばらくはこの苦しい流れが続くのだろう。  でも、おげれつ先生確約済みのハッピーエンドが待っていると信じているから、私はどんなつらい展開にも耐えられる。 ここからはネタバレを含みます。コミックス派の方は閲覧にご注意ください。  マヤに脅されて千紘は車に乗り込む。  この状況だと小森さんを庇うためにもそうするだろうなと予想していた。

「ハッピー・オブ・ジ・エンド 2」 3巻予想 約束されたハッピーエンドに向かって

2巻感想まとめ 「ハッピー・オブ・ジ・エンド 2」の感想を一言で言うと、「本当に面白かった」と小学生みたいになってしまうので、何がどうよかったのか1話ずつ書いた。  私はすっかりこの物語の虜で、2022年4月15日の発売以来3週間、「ハッピー・オブ・ジ・エンド」を読まない日はなかった。  2巻は1話ごとに盛り上がる場面があり、かつep.09以外は各話にセックスシーンも入っていた。  まずこの構成が凄い。  1巻から感じていたが、読んでいて「ずっと面白い」のだ。  2巻

「ハッピー・オブ・ジ・エンド 2」 感想 その6

ep.12   冒頭はマヤのモノローグ。  マヤは自分が「不幸だ」と感じている。  マヤは浩然に語りかける。 「殺したくならねえ?」  マヤの期待に反して、浩然は同意しない。 「俺がほしいもの、殺しても奪えないから」(ep.10)  マヤは自分と「一緒」だと思っていた浩然に、本当は「違う」ところを見せられて納得できない。  浩然が千紘と暮らし始めたアパートの階段に、マヤはカエルの写真を撮ったインスタントカメラを置いていく。  そのカメラを見つけた浩然は、千紘に「プ

「ハッピー・オブ・ジ・エンド 2」 感想 その5 二人のクリスマス

ep.11   カラオケでバイトを始めた千紘から、バイト仲間の女子高生に惚れられていることを聞いて浩然は驚く。 「きもっ!!」と笑いながらも、「相手したら殺す……」というのは浩然の本音だろう。  千紘は「俺にはお前というお姫様がいるから~」と浩然に抱きつき、ほっぺにキスをする。  美人でお姫様の浩然の方が攻というところがたまらない。  千紘は植木鉢を買って帰ってきた。これから何かを植えようとしている。  今は冬。でも、何かを植えれば春には花が咲く。  引っ越したばかり

「ハッピー・オブ・ジ・エンド2」 感想 その4 I can’t live without you

ep.10  千紘は東京の空にオリオン座を探す。 「教科書で読んだ冬の星座」と千紘は言うけれど、浩然は知らないだろうなと思った。  私は目が悪いのもあるが、確かに東京では冬の澄んだ空でもほとんど星が見えない。  季節は冬。浩然と千紘にとって試練の時がやって来る。  マヤに居場所を見つけられた浩然は、また引っ越しを決意し、マツキに不動産の斡旋を頼む。 「どんな物件でもいい。なんなら都内じゃなくても…」と言い出す浩然に対して、マツキは「だったら仕事はどうするのよ」と現実的なこ

「ハッピー・オブ・ジ・エンド」についておげれつ先生がスペース(2022年4月26日)で教えてくれたこと

はじめに  先ほどまでTwitterでおげれつたなか先生のスペースを聞いていた。  私はファン歴が浅いので、今回初めておげれつ先生のお声を拝聴した。  とても可愛らしいお声で、感情豊かに我々ファンの質問に答えて下さった。  「こんなこと言っちゃっていいのかな~」と言いながらも、ご自身の作品だけでなく、好きなBLや二次創作のカップリングなど多岐にわたって話してくださり、先生のお話が面白すぎて私は爆笑し続けた。  特に「ハッピー・オブ・ジ・エンド」については、「ここまで教えて下

おげれつたなか先生「ハッピー・オブ・ジ・エンド2」 感想 その3 浩然の漆黒の瞳に光が射す時

ep.09  冒頭の「傍から見たら同じ絵…」で始まるモノローグは一体誰のものなのだろう。 「絵なんか描いたことない」と言う浩然ではないと思った。  では、千紘?  でも、千紘が目指していたのはカメラマンで、画家ではない。  このモノローグは、「画家を志す人」にこそ相応しいように思えるのだが…。  スタバで買った飲み物を片手に、道を歩く千紘と浩然。  千紘は視界に入ったカメラ屋が気になる様子だ。  千紘はカメラマンを目指していたものの、ブラックな職場だったアシスタント時

おげれつたなか先生「ハッピー・オブ・ジ・エンド」 こんなにも素晴らしいBLがある世界に生きることの喜び

はじめに    何から書き始めていいのかわからないほど、感動している。  心は激しく揺さぶられ、胸の中に溢れる言葉をどう綴っていいかわからない。  おげれつたなか先生の「ハッピー・オブ・ジ・エンド」を読んだ。  この作品はBL AWARD 2022 ディープ部門で第1位に輝いている傑作なので、すでにご存知の方も多いだろう。  私はBL AWARDが発表される少し前に、ちるちるのツイッターで「人生で1番泣いたBL」の一つとして紹介されていたことをきっかけに、この作品と出

おげれつたなか先生「ハッピー・オブ・ジ・エンド2」 感想 その1 ありのままの相手を受け入れ、愛することの尊さ

第2巻感想  第2巻は期待通りに面白く、想像以上に二人がイチャイチャしていた。  エロとイチャイチャは1巻の3倍増くらいになっている。  1巻を読んだ時、おげれつ先生にしてはセックスシーンが少ないなと感じていた。  私は1巻くらいのエロで十分満足できるタイプなのだが、2巻では何度も愛に溢れるセックスシーンが出てきて、「ああ、BLだな」と思った。  おげれつ先生自身が、楽しんでエロとイチャイチャを描かれているのがよくわかった。 「ハッピー・オブ・ジ・エンド」は色々な意味でB

おげれつたなか先生「ハッピー・オブ・ジ・エンド2」 感想 その2

ep.08  千紘と浩然は映画を見に出かける。  千紘がデートに選んだ映画は意外にも「ママえもん」(ドラ〇もん)だった。  映画が始まる前に、浩然は千紘をGUCCIのお店に連れて行く。 「お前、冬服持ってないだろ」と言って、千紘に服を買ってくれようとする。  風俗のスカウトをしている浩然には、ブランドの服を買えるだけの収入がある。 「クズの仕事だけどね」と浩然は嫌味を言う。  ep.01で無職の千紘が浩然の仕事を非難したこと、私も忘れていない。  浩然が千紘に買って