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【エピソードZERO】果たして覚者と対話できるのか?

覚者は言語化を試みてみた。自分が悟ったことを如何にして伝えるか。それができればどんなに自分は救われるだろうか。
「キミはしきりに次元の違いを解説しているが、壁を越えるのは確率の問題ではないのだよ。概念を捨てれば壁は越えられる。エントロピーから解放されるには次元を下げなければいけない。概念が増えると自由はなくなる。個と呼ばれる次元はエントロピーの増大から解放される。それは時間の概念を失うのと引き換えに得られる自由だ。全体の次元ではエントロピーの法則に合わせて時間の概念を得る」
覚者は気付いたんだ。悟ったからこそ閉ざされる道もあるということを。

「概念を捨てると、自由にふるまえるってこと?」と私は訊ねた。

おそらく覚者の試みた言語化は失敗に終わったのだ。その事実だけは覚者は理解した。だから次に煙に巻くような言葉を並べた。
「そうだな。壁を越えるのは確率の問題じゃない。自分を取り巻く概念をいかに捨てるかだ。全ては主体と客体の問題だ」
言語というメタファがどれだけ正確に真の世界を言い表せるかは非常に疑わしい。だとすると我々にはどのような術があるのか。

◇◇例題:『個』と『全体』ではきっと次元が違うんだ◇◇
『個』の世界、極小の世界と言ってもいい。そこではエントロピーも増大しないので時間もない。簡単な確率しかない世界。それはシステム化した立場からは認識できない個が主体の世界。
例えば想像してほしい。4枚のオセロを投げて全部黒が出る確率は結構起こりうる。つまり極小の世界ではエントロピーが減少するということがよくある。エントロピーは常に増大するわけではなく、減少もする世界。よって時間の概念がないため、極小の世界では時間の逆転現象がしばしば起きる。
『全体』の世界、システム化した世界と言ってもいい。ここでは時間とエントロピーが出てくる。
64枚のオセロを投げて全部黒が出る確率はほぼゼロである。大体白も黒も半々に分かれる。全体としては起こりそうなことしか起こらない。こうなるとエントロピーは増大する方向にしか起こらないため、時間が一方通行のように感じてしまう。ここで初めて時間という概念が誕生する。時間が幻想として脳内に誕生する。

なぜ『人がいないと家は朽ち果てる』のだろうか?
これはただの偶然ではないし、思い込みでもないし、幻想でもない。ここには皆が思っているよりもっと別の意味がある。その答えを覚者に訊いてみたいもんだ。最近、そんなことを考えている。

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