誕生日

一月二十四日、木村ひっそりと29歳になりました。皆様の愛に支えられ、気がつけば30も目前に近づき最近はと言えばなんと禁煙、ラジオ体操にランニング、お湯割り飲んでハイドン聴いてとめっきり冬のジジイなので笑ってしまう、笑われちゃうかしら。しかし俺は至って真剣なのであって、実際大変だしこれは生きるため、アホほど強く生きるための謂わば臨戦体制もとい籠城戦なのである。敵はもちろん老いと死、生きてんだから当たり前だ、ちょうど当たり前くらいの力加減はいつも思ったより強いくらいでちょうどいい、油や胡椒が思ったより多くていいのと同じ容量で大目に生きると大体ちょうどいい。生きる加減の弱い痩せっぽさは粉っぽさであってヘタのチャーハンみたいなもんで犬も食わない、破滅だ酔狂だってのはもう少し洒脱でもっと悲劇、それはもうシンプルに古典的悲劇でなくちゃいかんのだよ、そこんとこ頼むよ若い衆。冬ジジイより。

身体がね、変わりますね。ガタがきたと言う気はありませんが、世の若向けじゃないあれこれの意味が合理性が少しずつですが分かります。ジジイが燗酒ばかり飲むのはジジイが冷えやすいからなんですね。ジジイが冷えやすいのは何故でしょう?それは代謝が悪いからです。かわいそうなジジイ。じきに僕もそんなヘヴンズドアをノックするのである。もちろん趣味も変わりますね。真っ当に生きてますので。しかし趣味が変わると言う言葉はやや適切じゃなく、基本的には増える、増えるだけなんですね。そして好きじゃなくなる、ということもない。その場合これはもうハッキリと嫌いになる。嫌いなものも増える。増えるだけなんです。変化変質するのではない。あのころ少年の僕らの前には何も訳がわからないものがゴロゴロと転がっていて道は方々に果てしなくというか道は無く、勿論ロックだってジャズだってそうだったし全部が憧れだし全部が恐かった。そういうのがネットとかサブスクで今時どうなったかとかは知らん、あんま変わらんだろう。そこから選ぶ、考える、好きなものも嫌いなものも、増えていくだけで然程減らない。それをまあ知識とか経験と呼んでみるのもいいのかもしれませんが書いてて今キモいなと思ったので呼ばない方がいいです。

そう、それでハイドン。ハイドンだけあれ?って思ったでしょうさっき。そうなのよ。三、四日前に俺は急にクラシックというものが好きになったのです。ふむ?というのもフルトヴェングラーという、これは大そう有名なドイツの大指揮者らしいのだけど知らず、俺は先月あたり神保町で彼の書いた本をワゴンから買ってリュックに入れっぱなしであったのを読んだら抜群で、しかし、彼の言うことがどうにも俺の思うクラシックと違うわけです。ものすごくアツいことを言ってる。そしてすごくシビア。俺の知ってるワーグナーはもっとくだらないぞ。もし、こいつの言ってることが本当なら…そこでApple Musicにフルトヴェングラーと書いたら19世紀半ばの生まれの大故人ですが録音が山ほどあるんですね。驚きました。鮮烈。はげしい。すげえや。なんだよ。今まで聴かされてたのはなんだったんだ。激しい激しい。ワルキューレなんかポストパンクみたいで爆笑しちゃったよ。今まで聴かされてたのはなんだったんだろう。カラヤンが悪いのか。たぶんカラヤンが悪いんだろう。俺が嫌いなのはチャイコフスキーじゃなくてカラヤンだったんだごめんよチャイコフスキー。カラヤンきいとけば間違いないよ!って言ってたやつらはマジで何だったんだよ。カラヤンのせいで。カラヤンのせいで俺は…

ジャガジャーンはクラシックにもあるんですね。音がぶつかるんですね。音がぶつからないのがクラシックなんだと思っていましたカラヤンのせいで。まあおそらくそれはクラシックをクラシックと呼んだ時に失われたアークなのでしょう、お察ししますが僕の立場ではそこまで付き合うあれでもないのでひとまずこの辺でやめときます。史上稀なひどいクラシック評だし結局ハイドンの話をしていない。ハイドンも聴きました。良かったです。誕生日の晩なのでふと思い立ち久々にブログを沢山書きました。以前書いたときはもう少し考えを練り色々と気遣いをもって書いてたんですがそのへんは今年はもういいかとなりました。僕は気遣いしてるときの僕のことを結構きらいじゃないんですけどね、それで喜ばれること、あんまりないんですよねマジで。
もっとやれビビるなやれ、お前は気を遣うな面倒だから、お前は免許取るな迷惑だなどと罵られつつ、あるいはそんな目で苦笑いされつつ。僕はそんな僕の友達たちに感謝しています伝わるでしょうか?しかし気遣いという字は書いててあれですね、やばい言葉と空目しますね。気遣い。気遣い野郎。気遣い野郎いいですね、気に入りました。俺の誕生日は毎年本当に寒いんだけど今年はあったかかったからこうやって物を考える余裕もあるというもので何よりです。では、気が向いたらまた。今年もよろしく。

木村

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