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【徹底解説】いまNFTに注目している人に伝えたい10のこと

Tokyo Otaku Modeの安宅です。先日、2021年最新のNFTのプロジェクトを実際に体験してみて、3年前にチャレンジしたときとはえらい違いと驚嘆しています。いろいろな専門家の方とお話をする中で、いま世界的にもホットなNFTについて、さらに詳しくなってきたので、今日はそんな『生』の知見を、この記事で書いていきたいと思います。

今回も、なるべくわかりやすい言葉で話していくようにしますが、もしかしたら、これまでにくらべて、やや専門的な話が多く出てしまうかも知れません。

この記事はブロックチェーンやNFT、DeFiや暗号資産などについて話をしていきますが、いま世界ではどんなことが行われていて、最前線でチャレンジしている人たちはどんな考えを持っているのかなど、ブロックチェーンの「実体」を共有することが主目的なので、投資判断の材料になるようなものではありません。もし投資なさる場合でも自己責任でお願いします。

今回は、とても長くなりそうですので、さきに伝えたい10個のテーマを目次にしました。時間があまりない方は、気になるパートからご覧になってください。


#01 NFTでデータが売れるパラダイムシフト

NFTが来る前と来たあとでは、パラダイムシフトが起こり、世界が大きく変わってしまいます。どういうことか詳しく解説していきます。

約3年前にNFTが登場して、急にあらゆるデータに価値をつけることができる時代に変わりました。

かつて「電気」が発明された時に匹敵するような、NFTによって、大きなパラダイムシフトが起こっています。おおげさでなく、数百年に一度の画期的なイベントなので、特に「ものづくり」をしている人たちは、このトレンドをしっかりとおさえておくと、きっと近い将来に役立つことになる思います。

物理的なモノをつくる会社をメーカーといいますね。世間一般で、メーカーといえば、パソコンやスマホなどの電子機器メーカーや、車やトラックなどの自動車メーカー、洗濯機や冷蔵庫などの家電メーカーなど、物理的な製品をつくっている企業が思い浮かぶと思います。これらの企業は社会にとって必要不可欠な存在です。

ところが、これからは、物理的な商品だけでなく、デジタルな商品が、世の中にもっと流通していくようになります。

物理的な電子機器が「電気」なしで成立しなかったように、デジタルな商品はNFTなしでは成立しません。ブロックチェーン技術によって発明され、急に成立してしまった、という感じです。

ちなみに、このNFTは、まだ荒削りのテクノロジーです。

どれくらい荒削りかを「電気」で例えてみましょう。例えば、NFTという「電気」を使うと、1回スイッチをオンにするだけで、3,000円くらい金額を請求されたりします。さすがに高すぎですよね。でも、これがいまのNFTの実体です。

さらに、電球に電気を通すための配線がごく一部の専門家じゃないとうまく接続できなかったりします。しかも、実は、電球をつけるための操作は、電気のスイッチをオン・オフするようなワンボタンでかんたんというわけではなく、けっこう複雑な操作が必要だったりします。

さらに、電気をつけるために、スマホの専用アプリを開いて、接続する先を慎重に選んで操作しないと、なぜか自分の財布に入っているお金が盗まれてしまったりします。

現代人からすると、たかが電気を使うのに、謎のリスクやトラップが多すぎる感じですよね。NFTという発明はまだ始まったばかりで、使いこなすには、まだ大変な時期なのです。

それでも、NFTで、リアルな商品だけでなく、デジタルな商品も売れる時代になると予測されているので、物理的な商品を作っていたメーカーもデジタル商品を売ったり、デジタル商品に特化した、新しいメーカーが次々と生まれて来ます。すでに、パリス・ヒルトンGUCCIなど、世界的に有名なタレントや企業が、NFTを活用したデジタル商品を作り出して販売しようとしています。

日本にもたくさんいる、個人クリエイターも、イラストデータを「クリプトアート」として、世界中に向けて販売することが、気軽にできるようになっています。しかも、「イラストデータ」以外のデータでも、ありとあらゆるデジタルなデータに価値がつきだしたのです。

ざっくりいえば、インターネット上のものはすべてモノとして販売できるようになる、といい換えても良いでしょう。

例えば、Twitterで「いいね」をもらうとハートが赤くなりますが、そのハートもひとつのデータです。一種の投げ銭のように、ハート1個が1円くらいの価値を持ち出したら、有名人はTwitterにツイートするだけでお金を稼ぐことができます。無名の人でも、社会に役立つツイートをしていたら、「いいね」を集めて生活が成り立つ世界が来るかもしれません。

オンラインゲーム内の土地がNFT化して売買されたり、リアルの高層ビルの所有権をNFT化して、売買したりもできます。しかも、NFTもデータ上の存在なので、ネットを通じて世界中にリアルタイムに販売ができます。手で触れられないという短所はありつつ、データは場所もとらないですし、劣化もしないので、物理的な商品よりも実はかんたんに販売ができるのです。

昔は個人がなにか物理的なモノをつくって、人に売るには、人通りの多い商店街に店舗を構えて、通り掛かる人に、自分の商品を売るような形しかありませんでした。インターネットが出てくると、eコマースが出てきて、Webで商品を販売をして、あとで物理的な物を届けるということができるようになりました。

いまNFTで起こっていることは、さらにこの先の、物理的な商品だけでなく、デジタルな商品でも、ネットを通じて個人も企業もだれでも、世界中に販売できる時代に突入した、ということです。物理に加えてデジタルの世界がもうひとつ増えた感じがしませんか?これがとてつもないことだということが、みなさんにも伝わるといいなと思います。

この記事をご覧のあなたも、今すぐにでも、なにかしらのデジタルデータを世界に向けて販売することができるのです。

いまは、みんなが知らないようなNFTを活用したデジタル商品の新しいメーカーも、あと10年もしたら、Appleやテスラのような、デジタルの世界の立派なブランドとなることでしょう。

もちろん、車のように、物理的な商品でないと、移動手段としては意味がないといった、デジタルだけでは価値を提供できない商品もたくさんあります。また、不動産の権利書のように、物理的に劣化しやすい紙媒体よりは、デジタルにしたほうが便利なモノもあります。

逆にデジタルでないと体験できないような、デジタルならではの商品もたくさん生まれてくると、物理的な世界に加えて、デジタル上の2つ目の大きな世界ができてくるはずです。


#02 NFTになぜ価値がつくのか

時代が大きく変わってきていることは、なんとなく分かったけど、そもそも、「なぜ、NFTに価値がつくのか」、というところがいまいちわからない、という方はたくさんいると思います。

私も最初は直感的によくわからなかったのですが、分かってしまえば意外と単純です。NFTのことはいったん考えずに、まずは、モノの価値=価格がどうやって決まるかを考えてみましょう。

モノの価格は、需要と供給によって成り立つことは、学校でも習ったことがあると思います。多くの人が欲しがるモノは、需要が高く、適切に供給量をしぼることで、価値が保たれます。人気の音楽アーティストのライブコンサートのチケットは、会場に入れる人数に限りがあるため、供給が制限されていますよね。

でも、それを上回る人気があれば、需要が供給を上回り、二次流通で、チケットの価格が高騰します。人気に対して数に限りがあると、価格があがるのです。

ここに、1ヶ月くらい手間暇をかけて描いたデジタルデータのアート作品があったとします。このアート作品を物理的なキャンバスボードや紙のポスターにして販売することは、これまでも当たり前のように行われてきてました。ただ、デジタルデータのまま、いざ、インターネットで販売しようとすると、困ったことが起こります。

販売する場所に、このイラストデータを登録すると、そのデータを、コストもかからず、誰でも劣化なしでコピーできてしまうからです。コピーがし放題だと、供給が「無限」にできてしまいます。しかも、誰がそのイラストデータを描いたかも、あいまいになってしまいます。

すると、その「イラストデータ」が欲しいと思う人たくさんがいたとしても、供給が無限なので、インターネットにデータを出しても、ほとんど価値がつくことがなかったのです。せいぜい壁紙ダウンロードで数百円くらいの価格でしか販売できなかったのですね。

1ヶ月もかけてつくった作品が数百円の価格にしかならないなら、作品をつくっても生活ができないので、そもそもデジタルデータでの販売を諦めざるを得ません。

でも、考えてみると、このアート作品は、もともとはパソコンのソフトでデジタルデータとして作られたので、作品の本体は、デジタルデータのはずです。ただ、デジタルなままだと価値がつかずに、わざわざ供給がしづらい形の物理的な印刷を行う必要があるという、なんだか商品として苦しい売り方になってしまっています。

インターネットは、無料でコピーし放題だから、情報を伝えるのにはとても便利に使えました。ただ、こうした需要と供給のバランスを取るには、コピーし放題ということが仇になっているのです。インターネットが登場してからかなり長い間、本来価値があるはずの手間暇かけた「イラストデータ」のようなデジタル上のモノに、本当の価値をつけて販売することができなくなっていたのです。

そこに、さっそうと登場したのが、NFTというブロックチェーン技術を用いた、新しいテクノロジーです。NFTを活用すると、デジタルなのに世界で1個だけというように、供給をしぼることができるので、需要に対して適切に供給をバランスさせることができるのです。すると、デジタルデータでも、価値がある状態を保てます。

NFTという技術は、もともとデジタルデータにあった価値をもとに戻してくれるような効果があります。

それと同時に、NFTを使うと、こうしたデジタルデータでも、このアーティストが描いたオリジナルのモノとして、購入者に届けることができます。データの中身はまったく同じだとしても、モナ・リザの絵の本物と、本物と見分けがつかない贋作のように、本物には価値がついて、贋作には価値が少ないことを、インターネット上でも表現して区別できるようになったのです。

なぜ、区別できるようになったのかを、すごくざっくりいえば、インターネットとパソコンソフトをフル活用することで、世界中にいる人々が、そのデジタルデータを描いた人はこのアーティストで、それを持つ人はあなたです、という情報をオープンな場所で監視し続けていて、そのデータが改ざんされないようになっているからです。

もし誰かがいたずらをして情報を書き換えようとしても、世界中にいる数百万人の人たちから、「その情報は正しくない」と訂正されてしまうので、改ざんができないのです。この監視することを、マイニングといったりします。マイニングは人の目で行っているわけではなく、専用のソフトが自動的に行なってくれ、すでに、世界に何百万、何千万台もソフトが24時間365日動き続けているのです。

オープンな場所に、「私がこのデジタルデータをつくった」「あなたがこのデジタルデータをいくらで買った」という情報が登録され、その情報をブロックのようにして複数まとめて、ブロックとブロックの情報をまた鎖のようにチェーンで数珠つなぎにすると、1箇所でも情報が変わるとすぐに不正がわかり、正しく書き換えることができます。

これ以上はブロックチェーンのもっと技術的な話になるのやめますが、いったんは、誰がつくって誰がいくらで買ったかの情報がオープンになり、世界中の人たちから監視され続けているので、デジタルデータが本物である、誰が描いて誰が所有しているかが、はっきり区別できるようになった、ということを理解できればバッチリです。

たったこれだけのことなのですが、同じデジタルデータでも、本物とそれ以外と区別がつくことで、本物のデジタルデータにも価値がつきだす、ということが起こったのです。


#03 NFTは価値を高めるためのものではない

最近では、NFTが何千万円や何億円で売れたなどと、売れた金額を煽るようなニュースが毎日たくさん流れています。

NFTを活用すると、たしかにこうした、いままでデジタルデータにはつかなかったような金額でモノが売れる場合もあるのですが、これは一部の分かりやすい事例を示しているだけで、NFTの本質はデジタルデータを高く売ることではありません。

さきほども説明したように、これまで労力をかけてつくった、本来価値があるデジタルデータが、インターネット上に乗った瞬間に、なぜか価値がゼロに近づいてしまっていたことを、もともと持っていた価値に戻してあげることができる、それがNFTなのです。

NFTの価値も、需要と供給によって決まるので、いまは、世界中の人々が、NFTという未知のテクノロジーに興味をもって、そのNFTのデータの中身の価値よりも、テクノロジーの最初の歴史的な瞬間の体験したいというような、時代の先取りをしたい欲求が需要となって、本来よりも価値が高すぎる状態で売れてしまっているのが実体だと思います。

世の中に電球が出てきたときに、物珍しさから、電球を自宅に導入したいといって、当時のお金持ちが我先にと殺到して、価格が高騰してしまったようなイメージです。新しいテクノロジーの商品をいち早く手に入れて、みんなに自慢したいという欲が過度な需要を生み出すのです。NFTの場合、注目のデジタルデータを先に手に入れることで、将来的にも価値が高まりやすくなる、といった計算も働いていると思います。

ちなみに、いまや、電球はメーカーであれば誰でも作れ、物珍しい商品ではなくなっているので、「暗いところを明るく照らす」という、本来、電球の持つ機能に対して、適切な価値づけがなされているでしょう。

NFTは、デジタルデータにもともとあったはずの価値を、インターネット上でも再現することができる、という風に考えると、もっとも理解しやすいと思います。

家に飾るアート作品を物理的なモノとして100万円で購入する時、NFTでその作品が本物であり、所有者があなたであることを証明できるなら、同じデジタルなアート作品も100万円と同等の金額になりえるということです。

ただ、デジタルデータの場合、そのままでは家の中に飾ることができないため、そのアート作品がもつ機能が少し足りない、という物理とデジタルの超えられない機能面の差は考えておく必要があります。

ただし、逆に、物理的なアート作品の場合、インターネット上の「バーチャル美術館」などで、アート作品を飾るということができないというデメリットも出てきます。

今後、VR/ARが当たり前の世の中になったときに、物理的なアート作品だと、デジタルな世界に入り込めず、「リアルな作品はバーチャル美術館に飾れないので不便」、なんてことも、今後は起こって来ると思われます。

そして、ここからが大事なのですが、実は、NFTがDeFiやDAppsと呼ばれるブロックチェーンの本質的価値とつながることで、NFTの需要がより高まり、デジタルデータに、もともとあった価値を超えやすくなることが期待されています。これは次の話で詳しく紹介しましょう。


#04 NFTがDeFiやDAppsとつながると起こる革命

さきほど、DeFiやDAppsという耳慣れない言葉が出てきました。NFTと同じく、DeFiもDAppsも、オープンな場所に情報が集まって、みんなで監視しているから改ざんできないという、ブロックチェーン技術を使った使いみちのひとつです。

さきにDAppsを紹介すると、ブロックチェーンを活用したサービス全般をさす総称で、さきほどの「バーチャル美術館」なども、DAppsの一例です。ウォレットさえ持っていれば、ID・パスワードなして、自分が持っているNFTを呼び出して、バーチャル美術館に飾ることができます。もちろん、作品は、自分のウォレットに入れたまま作品を掲示できるのです。

3D空間で、ビジュアルでNFTが確認できるようになると、そのデジタルデータを持っている所有感が一気に増します。また、NFTを持っている人が、そのNFTをカード化して遊べるブロックチェーンゲームや、作品としてポスター印刷ができるようなサービスもDAppsで実現されています。

DAppsは世界各国で個人から大企業まで、さまざまなサービスが出てきていて、ひとつのNFTを持つだけで、あらゆるDAppsにかんたんにつなぐことができるので、いま誰も考えもつかないような相乗効果で、NFTの価値が高まっていく可能性があるのです。

DeFiをひとことでいえば、「インターネット上に人がいない無人の銀行や金融の仕組みを再現したサービス」です。詳しくは私が書いたこちらの記事も参考になさってください。

2021年4月現在、このDeFiに預けられているお金は5兆円を超えています。これらは、ここ数年で急に現れた仕組みで、世界中の資産家やブロックチェーンに詳しい人たちが、未来の銀行・金融の仕組みだということで、NFTが流行る前からブームとなっていました。

NFTもDeFiも、同じブロックチェーン技術から生まれているので、2つをつなぐことはそこまで難しくありません。

インターネット上でもデジタルデータの価値をちゃんと保つNFTと、インターネット上に5兆円もの規模の銀行や金融の仕組み=DeFiが組み合わさると、どんなことが起こるでしょうか。

シンプルにいえば、NFTで作られたモノの売り買いをするときの経済活動が、とても活発になり、NFTのデータの需要が高まり、価値がより高まりやすくなります。

銀行や金融というといかにも難しそうで、すこし身構えてしまう人もいるかもしれませんが、やさしくいえば、「お金」という仕組みがうまく機能するように作られているシステム、というだけです。銀行や金融がなければ「お金」がない世界となってしまうので、現代社会とって、大事な存在であることがわかりますよね。

ここで賢い人は気づいたかも知れませんが、実は、DeFiが生まれてからは、まだ数年しか経っていないので、裏を返せば、これまでのインターネットには、本当の意味での「お金」という仕組みが存在してなかったということです。

DeFi以前は、インターネットは物々交換の時代で、DeFiが出てきて、ようやくインターネット上に「お金」が使える時代になったのです。

現代社会で、もし「お金」がなかったとしたらと想像してみてください。あなたが買おうとするコンビニのジュースも、「お金」がないので、なにかあなたが提供できるモノと交換する必要があります。身につけているアクセサリーとジュースを交換する?なんだか価値が釣り合っていないような気がして、交換する気がわきませんよね。じゃあ、別のジュースもセットでなどと交渉して時間がかかってしまうと、別の予定に間に合わなくなりそうで、そのお買い物は成立しませんでした。

みんなが便利に使える「お金」があると、こうしたお買い物がとてもなめらかになります。つまり、「お金」があったほうが物々交換よりも取引が成立しやすくなって、経済活動が活性化するのですね。

これまでは、インターネットだけで成立している「お金」がなかったので、モノの経済活動が非常にやりづらい状況でした。ところが、DeFiとNFTが、ほぼ同時期にブロックチェーンによって成立してしまったので、デジタル上の「価値がついたデータ」を売るときに、ちょうどタイミングよく、インターネットでも物々交換から進化して、ちゃんと「お金」がやりとりされるようになって、より経済活動が活発になるということです。

これまでインターネットになかった「電気」と「お金」がここ数年で急に生まれたのです。インターネット上で、人類史にも残るとてつもない革命が起こってくることが確定的なのです。これを革命といわずして、なんというのでしょうか。私も大興奮です。

NFTにDeFiが加わると、デジタルデータを販売するときの経済活動がとてもなめらかになります。

それは、たんにお買い物をするときに、「インターネット上のお金」が使えるというだけではありません。金融機能のひとつである、「投資」や「資産運用」といった、お金があることで成立するサービスとも組み合わせることができるのです。

例えば、お金持ちの人たちは、不動産投資をしている人が多いですよね。都心にたくさんたつ高層ビル群は、ほとんどすべて「不動産投資」というサービスがあったからこそ、あれだけの数のビルは建てられています。

なぜなら、ビルを一棟建てるのに数十億円から数百億円もの大金がかかるからです。そんな大金はリスクが大きすぎて、もし建設に失敗したら大きな会社も倒産してしまう可能性もあるので、なかなか1社だけでは怖くて手がつけられません。

ただ、ビルをちゃんと建てることができたら、そこに企業が入ったり、住民が住んだりして、長い間、経済的に潤うことが期待されます。そんなとき、そうした失敗のリスクも理解しながら、うまくいったときの投資のリターンを得たい人たちを集められれば、大きな投資金額を集めることができます。

健全にビルを建てきることは、現代ではそれほどリスクがある話ではなくなってきているので、不動産投資は他の投資と比べては手堅いほうですが、まさに、こうした金融の機能がなかったら、こうした資金を集めることもできず、ビルがあれだけの数を建てられることはなかったのです。

NFTの世界でも、こうした金融の機能を組みあせた、最先端の取り組みが行われています。

NFTのクリプトアートと呼ばれる領域で、CryptoPunksHashmasksなどのデジタルデータの作品を、数百から数万種類のアート作品群を販売するときに、資産運用の視点からこうしたアート作品を購入する動きがあります。

リアルな世界でもワインや牛なども投資対象になっていることを考えると、アート作品のデジタル版に投資することも、なんら不思議なことではないのですね。

そして、それらのクリプトアートは、すべての作品が注目度が高いわけではありません。そこで、目をつけたのが、そうした注目度が低い作品たちをまとめて投資できるように、投資の世界ではインデックスと呼ばれたりしますが、アート作品というよりはアート銘柄として投資しやすい形に変換するサービスが生まれました。NFTXNFT20がその筆頭です。

数万もあるアート作品をひとつひとつ調べて、それぞれどんな特徴があり、どれが価値があるかは、そのアーティストやアート作品が好きな人は調べることも楽しみがあるかもしれませんが、単純に資産運用の観点からすると、ちょっと手間がかかりすぎて、「購入」しづらい投資商品だったりしますよね。

ただ、もしクリプトアートごとの銘柄に、まるっと投資できるなら、作品ひとつひとつはわからないけど、このプロジェクトはすごくいい、と思う人を呼び込み、結果として、需要を増やすのです。需要が増えれば、NFTによって供給は絞られているので、価値があがります。

これらのことから、NFTにDeFiを繋ぐことで、デジタル商品が金融資産のような性質を持ちだし、価値のやりとりがよりなめらかになっていきます。

例えば、最近大学生は、電子書籍と物理的な本があったときに、わざわざ物理的な本を買うことで、あとでメルカリなどで販売することで、電子書籍だったら1冊分の代金で5冊分くらいの本を読むことができています。これは、物理的な本に資産性があることの証明です。NFTの場合は、劣化もしないので、あらゆるNFTにDeFiがつながることで、より資産性が帯びてくることになります。1万円で買ったものでも、8,000円で売れるような資産性があるなら、実質の消費分は1万円ではなく、2,000円となるので、より購入がしやすくなり、経済が活性化するのです。

このような、NFTをDeFiに接続する方法は、もっとたくさんあるのですが、今回は分かりやすいひとつの事例だけをあげてみました。NFTがDeFiに繋がることは、つまり、これまでのデジタルデータを生み出すアーティストやその作品のファンを超えて、プロジェクトに興味を持つファンや投資家など、世界中の幅広い購入者を獲得することに繋がるので、これまでよりも市場が増える、ということなのです。

資本主義的に、市場が増えることはとても歓迎されることですが、ただ、作品に愛がない投資家が増えすぎると、もともとの純粋に作品を愛しているファンにとって、属性の違う人たちが来てコミュニティが変化してしまうリスクもあります。

DeFiとNFTをつなぐ経済的メリットはとても大きいのですが、既存のファンと投資家のバランスをどう保つかが、とても大切になってきます。

そして、ここまでの話で、ひとつ重要なことは、本当の意味でDeFiとNFTを活用できるブロックチェーンは、2021年4月現在では、イーサリアムが中心であることです。次に詳しく紹介していきます。


#05 NFTの真価はイーサリアムで発揮される

この話は、色々意見がわかれると思いますが、2021年4月の現時点では、NFTの真価を発揮させるには、イーサリアムのDeFiやDAppsとつながる必要があることは、NFTに取り組むときに、さきに知っておいたほうがいいことだと思います。

イーサリアムは、DeFiの概念を生み出した、定番かつ主流のパブリックチェーンで、もっとも分散化され、非中央集権的に運営されているブロックチェーンであり、エンジニアのコミュニティも世界最大規模となっています。ブロックチェーンとの連携サービスの総称・DAppsの数も他のチェーンとは比較にならないほど、無数に存在しています。

いまは、そうしたDeFiやDAppsが増えすぎて、人気が高まってしまったことで、トランザクションにかかる手数料=通称・GAS代が高騰するなどの問題が続出していますが、対策はいろいろと打たれており、数年かけて解決したあかつきには、ほかのブロックチェーンを大きく引き離す可能性が高いでしょう。

個人や企業がNFTを活用するときには、いろいろな目的があるので、すべての人がイーサリアムをつかうべきだ、と伝えるつもりはありません。私自身も、プライベートチェーンのプロジェクトも行っているので、どちらか良い・悪いという話ではないのです。

例えば、エンタープライズ向けに行う場合や、ITリテラシーの高くない一般の人たちに、よりスムーズなUI&UXを提供しようとした場合に、プライベートチェーンやコンソーシアムチェーンを選択することも、現時点では、ベストチョイスになりえます。いまから話すことは、一概になんでもイーサリアムにすべきという話ではないことを前提にご覧ください。

いま世界中でNFTがすごいといわれている、理由の半分は、イーサリアムが生み出したDeFiや世界中で開発されているDAppsとつながることで、サービス同士の相乗効果で、市場をもっと広げていけるからであることも理解した上で、NFTのプロジェクトを進めるべきと考えます。

NFTを活用すると、大きく分けて

1. 物理的な市場をDXしてデジタル市場へ置き換える
2. DeFiやDAppsと繋げてデジタル市場をより広げる

という2つの効果が期待されますが、市場を広げることができるのは、現時点では2のDeFiやDAppsとつながったイーサリアムが中心になる、ということです。

1のDXは、イーサリアム以外のブロックチェーンでも、擬似的に実現できます。

デジタル化は、最近流行りのDX=デジタルトランスフォーメーションともいわれることで、例えば、紙やプラスチックでつくられていたトレーディングカード市場をDXして、デジタルでもトレーディングカードが売れてしまう成功例が出ていることは、とても画期的なことです。

ただ、それは、紙の市場をデジタルな市場に置き換えることにとどまるので、市場そのものが大きく広がったわけではない点には注意が必要でしょう。

また、トレーディングカードの例で、紙をデジタルに置き換えるときに、NFTのデータが置かれている場所が、もし中央集権的なブロックチェーンだった場合は、将来的に、手数料が高くつく可能性があることも考慮にいれておくべきでしょう。

「非中央集権」の場合は、どこか1社のための収益を目指す必要がないので、インフラとして、NFT化の手数料は、コミュニティからの要請で、最小化されていくように力学が働きます。

一方で、「中央集権」の場合は、いまはコストが安くても、将来的に1社のプラットフォームにビジネスがロックされてしまうと、当初は安かった手数料も、1社の利益最大化のために、逆に、コストが高くなってしまう可能性があります。

あくまで可能性なので、この通りになるかは、フタを開けてみないとわかりませんが、NFTの真価を発揮=市場を広げ、新しいファンを獲得するには、現時点でも5兆円規模の金融資産が預けられているイーサリアムのDeFiや、メタバースなどの無数のサービスと連携できるDAppsは、とても魅力的な存在です。


#06 NFTが非中央集権的であることの意義

私は、これまでいくつかの会社を経営してきていますが、あらゆるビジネスは、自分たちの会社の利益よりも、人々に役に立つ存在、社会貢献が優先されるべきという信念をもって活動を続けています。

さきほども出てきましたが、ブロックチェーンを少し勉強しだすと、「非中央集権」という言葉によく出会うと思います。この「非中央集権」というのが、ブロックチェーンの根底に流れる思想で、私を含めて、ブロックチェーンが世の中を良くしてくれると信じている人たちが期待する、理想的な社会の方向性を示しているのです。

非中央集権は、「中央集権ではない社会」ということなので、「人々が本当の意味で平等な社会」の実現を目指すということです。

ブロックチェーンは実は、社会を根底から覆すような可能性を秘めているテクノロジーでもあるのです。私も、この記事で、こうした知見を解説をする活動を行う動機は、ブロックチェーンが世界を良くしてくれる可能性を感じているからにほかなりません。

NFTもブロックチェーン技術のひとつなのですが、どのチェーンでどのようにNFTをつくるかによって、実は、「中央集権的」にも「非中央集権的」にも作れてしまう点は、知っておいて欲しいと思います。せっかく、ブロックチェーンでNFTを活用するのならば、社会によりよい未来をもたらすような選択をしたいものです。

分かりやすいところでいうと、NFT化するときに、どの場所に、デジタルデータをアップロードするかは、とても重要な意思決定になります。仮に、「中央集権的な場所」にアップロードしてしまうと、もしその中央集権の企業や団体が、なんらかの事情でサービスを閉じることになったときに、本来期待されたような永続的にデータが保たれることができなくなって、NFTそのものが機能しなくなるからです。

一方で、「IPFS」のように、非中央集権的な場所にデジタルデータがアップロードされていれば、どこか1社の事情でサービスが停止されることもないので、永続的にデータが保たれることが、購入者やコミュニティにもわかりやすく伝えることができます。ただ、非中央集権的な場所だからといって、未来永劫、絶対になくならないという保障はできない点にも注意です。ただ、永続する意思がある人が1人でもいれば、万が一の事態が起こってもNFTを再生成・再送付することなどで、対処はできます。

ちなみに、現時点では、あらゆる社会的ニーズに対して、完ぺきに非中央集権的にすることだけでは成立しないことも多くあるので、必ずしもNFTが非中央集権的にだけ行われなければならない、というものでありません。ただ、そういった前提の理解がないまま、気づいたらどこか1社の利益や市場独占のための、「中央集権的」な方向に、社会を戻すことになっていた、ということになるのは避けたいものです。

人類の歴史をたどると、かつては各国には王様がいて、家来や奴隷がいた、というように、同じ人として生まれながら、平等とはほどとおい社会がありました。日本でも江戸時代には士農工商などで、生まれた家系によって、その人の身分が決まり、一生がほぼ決まってしまいました。現代も、その時代からは、だいぶ人々が平等に近づいてきているものの、まだまだいろいろな格差が存在しています。

現代の課題の1つが、資本主義を追求していくと、社会構造上、特定の人たちだけが強い権限を持ち続けることになることです。国や大企業や銀行のような中央集権的な強い権限が、人の上に人をつくるような構造を作ってしまいます。

例えば、国は、これまで唯一「通貨」を発行できる強い権限を持っていました。国以外が勝手に「偽造して通貨」をつくると、国家反逆罪などで重罪になるくらい、重大な権限だったのです。

これがブロックチェーンによって、インターネット上に偽造できない通貨のようなものを作れるようになりました。2020年にFacebookがリブラという世界共通通貨を作ろうとして、将来への影響が未知数なのこともあり、各国から猛反発を受ける事態にも発展したことは記憶に新しいことでしょう。

インターネットが発達して、AmazonやGoogleを筆頭にしたGAFAように、ひとつの企業が世界中の人々の生活を支えるようなサービスを提供しだすと、ある種、ひとつの国よりも大きな権限を持つにいたるグローバルな超企業が生まれます。これらの1社や、ひとりのCEOの考えで、多くの人々の生活に影響を与えることになるとき、特定の誰かや企業が強い権限を持つことが、世界にとって本当に良いかは判断が難しいところです。

そこで登場したのが、ブロックチェーンを活用して、あらゆるサービスが、「非中央集権的に運営される」という、民主主義的なプロセスを経て、いろいろな意思決定を行うという仕組みです。

ざっくりいえば、世界やコミュニティにはいろいろな人がいるのだから、大勢に影響があることは、1人や1企業が何かを決めるのではなく、民主主義的に、コミュニティのみんなが意思決定に参加できるようにしよう、という思想です。

インターネットは、個人の力を強くして、企業だけでなく、個人でも活躍できる時代にしてくれました。ただ、逆に、企業もインターネットを使うことで、国をも超える巨大企業を生み出しすことにもつながりました。そこに待ったをかけるのが、ブロックチェーンを活用した「非中央集権的」なプロジェクトなのです。

ブロックチェーンの中で、パブリックチェーンの定番であるイーサリアムは、世界中のみんながオープンに登録された情報を監視しあう場所を提供し合うことで、どこかの企業だけのものではないという作りになっています。世界中のだれもがそのオープンな場所に参加できて、コミュニティを支える役割を担うことができるのです。したがって、イーサリアムを使うことが、どこか特定の1企業を大儲けさせるような方向には、ならないのです。

いまのインターネットのあらゆるグローバルサービス全般を考えると、このような発想とは真逆であることがわかります。みんなで使うサービスは、みんなで料金を決めて、みんなで納得する形で運営すればいい、それはインターネットとブロックチェーンを使えばできるようになったのだから。

ブロックチェーンのサービスを見ていて面白いのは、そのサービスがどれくらい流行っているか、どれくらい売上をあげているかなどのデータは、すべてオープンになっていることです。この事実は、これまでサービスを行ってきた企業からすると、ちょっと怖いくらいな透明性を保っています。仮に偽って、「人気がある」風に振る舞っていたとしても、だれでもかんたんに、そのサービスの実体を調べることができるのです。

ブロックチェーンを、単にビジネスの道具と捉える場合には、こうした売上がオープンなことや改ざんできないことや、社会的な平等を求めることまで含めると、すこしめんどくさい存在になってしまうかもしれません。

ただ、ブロックチェーンを活用することで、真の意味で人々がより平等になってよりよい社会が実現するとしたら、私も含め、目先のビジネスよりも優先されることがあるはず、とピュアに考えている人たちが、こうした「非中央集権的」な思想を持って、ブロックチェーンを広めようとしています。

そして、いくつか存在している、ブロックチェーンの中で、その「非中央集権的」な思想を体現しているブロックチェーンは、イーサリアムなどのパブリックチェーンで、かつ、自律分散的に運営されているコミュニティです。

イーサリアムを生み出したヴィタリック・ブテリンや、開発を推進しているイーサリアム財団であっても、イーサリアムの重要な決定への影響度は1%以下であり、世界中でイーサリアムを社会に浸透させていきたいという、人々の民主主義的なプロセスを経て、イーサリアムは徐々にアップデートされていっているのです。

これまで、どこかの企業がつくりだしたサービスであれば、その企業の社長の鶴の一声で、サービスの方向性やデータの書き換えなどが、かんたんにできることも多かったのです。

イーサリアムは真逆です。非中央集権的に運用されているイーサリアムの場合は、誰かひとりの「考え」だけで、決めることができない状態に、あえて分散化されていて、ガバナンスが効くようになっています。

そのベースとなるブロックチェーンの上で行われる、あらゆるサービスも、イーサリアムが示しているように、非中央集権的に運用されていくことが望まれています。

YouTubeのような動画配信サービスも、非中央集権的に運用することを目指すサービスも出てきています。世界中のみんなが使うAmazonのようなeコマースも、1社が市場を独占するのではなく、コミュニティ全体で運用されるようなサービスも、ブロックチェーンを活用して生まれてきています。

これはいわば、独裁国家と民主主義国家の思想的な戦いです。ただ、歴史を振り返れば、独裁国家と民主主義国家がどちらのほうが、国家として長期的に成功を収めてきたかは火を見るより明らかです。短期的には独裁国家がリードを取る瞬間もありますが、中・長期的には、参加している国民の声が届く民主主義が継続的に発展をし続けているのです。


#07 NFTを売るキモは熱狂的ファンと特別体験

NFTという新しいテクノロジーを使うと、魔法のようにどんなデータも価値を持ち出し、高値で売れる。いまニュースとして流れている成功事例だけを見ていると、なんでもうまくいく、『銀の弾丸』かのようなイメージでいる方も多く見受けられます。

私の実体験をもとにすると、「『NFT』を出せば売れる」は、もうすでに通用しなくなっています。

こういった新しい技術は、先行者は、まずはやってみた、で大きな結果を残すことがあるのですが、その二番煎じを行っても、かんばしくない結果に終わるだけです。実際に、売れなかったニュースはあまり話題にもならないので、どうしても世の中の人たちに伝わるニュースは、開始3分で完売!、こんなシンプルなイラストデータが1,000万円超えで売れた!、あのアーティストは数十億円相当のNFTが売れた、など、派手で話題性のあるものばかりになります。実体がよくわからなくなってしまうのも無理がないのです。

ですが、よく考えてみてください。モノの価値は、人がそれを欲しいという需要に基づくということを。NFTによって、たしかに供給を制限することができるようになりましたが、需要がないものはいくら供給を絞っても、価値はつかないのです。

ですから、デジタルなモノをなぜ人々が欲しいか、という需要の部分をよくよく考えてみる必要があります。さきほどの例の、なんでもいいから、世の中に先行してNFTを持ちたい、という需要はすでに失いつつあります。

そうなると、いまからNFTに取り組むなら、何を売るのがいいかが気になりますよね。でも答えはかんたんです。NFTを使ったデジタルデータだとしても、物理的な商品と考え方はまったく同じだからです。人がモノを欲しいと思う感情に違いはないのですから。

リアルのモノを考えてみると、実は、いまの世の中でモノを作るメーカーは、ほとんどが中国など海外の工場で作られるため、機能や品質の差はなかなか出しづらかったりします。製品の一般化が進むと、どんな製品もなかなか機能面や品質では差別化できなくなってきます。

では、製品の差はどこで差がつくのでしょうか。

その例として、AppleのiPhoneは分かりやすいでしょう。Appleは信者と呼ばれる熱狂的ファンを世界中に抱えていて、使いやすくてクールな商品を必ずつくってくれる「約束」を果たし続けています。また、iPhoneを持っていると社会的にオシャレである、スマートであるという特別な体験が得られるからこそ、実は、機能や品質でいうと、ほかのスマホより劣っている部分も多いiPhoneでも、ほかよりも高い金額で、世界中で飛ぶように売れるわけです。

NFTで販売するデータも同じです。そのデータ自体で差別化ができないとき、大切になってくるのが、熱狂的ファンと特別な体験なのです。

そして、そうした熱狂的ファンを生み出すためには、継続的なファンの期待に応える、コミュニティの醸成が重要となってきます。コミュニティでの活動を通じて、ファンのエンゲージを徐々に高めていければ、熱狂的ファンになってもらえます。人の気持を動かすことなので、一朝一夕ではできません。ただ、逆にいえば、熱狂的ファンが醸成できているコミュニティならば、NFTのデジタルデータに限らず、あらゆる商品が売れるようになるのです。

そして、そうしたファンに、特別な体験をどのようにファンに伝えるか、そのアプローチをマーケティングすることが、とても大切になってきています。

私もいくつかNFTを販売してみて、そのNFTを持つと、どんな体験が得られるかが設計されているかどうかが、とても大事だと気づきました。

音楽アーティストは、新曲のアルバムを売り出すときに、ライブコンサートチケットの応募券をセットで販売しますよね。

いまや音楽はインターネットのサブスクリプションで聴き放題の中、わざわざアルバムで同じような音楽データを買う需要は実はそんなに強くありません。ただ、本人が生で熱唱するライブコンサートで、間近に聞く歌声やパフォーマンスは唯一無二な体験です。

ライブコンサートに参加するための「抽選券」は、需要に対して供給が極端にしぼられたモノなのです。だから、アルバム化した音楽データとセットで販売することで、アルバムの売上をあげることに成功しているのです。

私は、NFTを使うと、こうした仕組みをもっとスムーズに行うことができると考えました。なぜなら、NFTの所有者は確実に判別することができるので、そのNFTを持っている人だけが参加できる、インターネット上のライブコンサートはかんたんにできるからです。やろうと思えば、転売によって購入した人は参加権利がなくなる抽選券、という仕掛けも行えます。

最近ではメタバースという表現を使いますが、インターネット上のライブコンサートをイメージしたバーチャルな会場に、特定のNFTを購入した人だけが参加できるという仕組みも実現できます。

インターネットなので、世界中どこでも、誰でもオンラインで参加できる汎用性の高い仕組みとなるでしょう。

そして、ちょっと宣伝になってしまいますが、私が経営しているTokyo Otaku ModeとConataというサービスの運営をおこなっているBeyondConcept社の2社で、特定のNFTを持っている人だけが「メタバース劇場」へ入場できるサービスを作ってみました。

ちょっと動画をご覧ください。

©東北ずん子

いかがですか。これらはすべてブラウザ上で見られ、VRゴーグルなども不要です。

私がいるアニメ・漫画・ゲーム・VTuberなどのコンテンツの領域では、『メタバース劇場』のような仕組みがあることで、特定のNFTを購入すると、この劇場の中でだけ体験できることで、ファンにNFTを持つメリットを、分かりやすく伝えることができると考えました。

この劇場の中に流す特典映像は、先行試写会、その作品の続編・外伝、監督/声優インタビュー、作品作りの舞台裏の映像特典、音楽イベント/ライブ配信など、映像コンテンツは無数に考えられます。「メタバース劇場」を通じて、NFTに視聴特典をつけることで、あらゆるコンテンツで汎用的に利用できると思います。

もし、この仕組みを使いたいというクリエイターや企業の方がいらっしゃいましたら、Tokyo Otaku Modeのお問い合わせフォームなどから連絡をいただければと思います。

こうしたメタバース上でリッチな体験をNFTに備えることで、デジタル上での付加価値をつけることが、今後のNFTには、とても大切になってくると思うのです。


#08 NFT版・未来のAmazonはもう存在している

私が大学生の頃にインターネットが爆発的に普及して、このインターネットが世界を変えるという直感はあったものの、当時はビジネスのことをよくわかっていなかったので、実際に起業してビジネスをはじめたのは、インターネットバブルがはじけただいぶあとになってしまいました。

いま、NFTやブロックチェーンに関連するサービスを俯瞰してみてみると、その当時からビジネスをしている会社やチームが、とてつもないスピードとクオリティで、二周目の超人的な戦い方をしていると感じます。

私が考える、インターネット領域における、ビジネスの成功のための鉄則がいくつかあるのですが、

1. 大きなトレンドが来る前に準備を整えておく
2. デジタル完結するようにサービスを設計する
3. 必要不可欠なインフラをおさえる
4. 競合に打ち勝つための資本力と集中投下
5. バブルが弾けても未来を信じて張り続ける

この中でも、2の「デジタル完結」については、インターネットのときもそうでしたが、世界中でもっとも賢いひとたちによる競争が激しい領域です。いまではインターネット上では、もうデジタル完結で行えるサービスの隙間がほとんどなくなってしまいました。

デジタル完結がなぜみんなが狙うかというと、物理的なやりとりを行わないので、グローバルな成長を狙うときに、ボトルネックが極小になって、一気にビジネスがスケールするからです。実際の「モノ」がからむと、国を移動するときに、1週間以上待ったりすることもざらなので、サービスが浸透するスピードが変わってくるのです。

Twitterにしても、Instagramにしても、YouTubeにしても、運営元はすべてインターネット上のデジタルで完結しているサービスです。これだけの短期間で世界的規模まで成長できるのは、デジタル完結のサービスでしかありえず、世界の賢い人たちは、そのことをめちゃくちゃ意識しながら、インターネットサービスを作ってきて、もうやり尽くされてしまいました。

ところが、ブロックチェーンが出てくることで、このデジタル完結のサービスは、いまある既存のあらゆるインターネットのサービスを上書きする勢いで、すべてのインターネットサービスでもう1周戦えることになったのです。

さらに、NFTやDeFiの領域では、既存のサービスではできなかった、インターネット上で「本来の価値でデータを販売する」「インターネット上のお金を使った金融サービスをつくる」といった、まったく新しいサービスが次々と生まれていっています。すでに、世界ではこの領域だけでも、1,000を超えるスタートアップが存在しています。

日本ではブロックチェーンは、あまりメジャーじゃない領域ですが、世界にはこんなにスタートアップがあったのか、と驚く人も多いと思います。グローバルな市場が前提になるからか、日本だとブロックチェーンに関連するスタートアップの数がそこまで多くないのですが、もし、いま私がなにもない状態で事業を興すなら、間違いなく、ブロックチェーン領域で起業すると思います。

それは、まだ無数にデジタル完結のサービスを作れる余地があって、従来の資金調達に加えて、トークンを使ったあたらしい資金調達が選択でき、世界を平等にする、非中央集権的なあたらしいサービス運営が行なえ、しかも、最初から世界につながっている仕組みなので、自然とグローバル・サービスを作れるからです。

ただ、すでに、いまもっともホットなNFTの領域で、グローバルでもっとも大きなインフラとなりうるサービスが、海外ではすでに数多く存在していて、すでに大きくリードをとっていて、日本が遅れを取っていることは、日本人はもっと危惧しないといけないかもしれません。しかも、サービスによっては、かなり先行して、非中央集権的な理想的な方向を目指して進んでいることなども考慮すると、手遅れになる前に、日本の強みを活かしたサービスをつくっていかないともったいないと思うのです。

NFTはデジタルデータの商品をつくる、メーカー的な機能を持ちますが、その商品を売る、小売的なポジションは、リアル商品でいえば、Amazonや楽天のような販売のためのプラットフォームです。

NFTでは、OpenSeaRaribleがデジタル商品に特化した小売の先行者です。次の時代のAmazonや楽天になりうるポテンシャルを秘めています。さらにいえば、この2つのサービスは、メルカリのようなマーケットプレイス、つまり二次流通でのユーザー間の取引の機能もついています。

規模的には、まだ月間で100億円ほどの流通総額なので、Amazonなどと比べると、まだまだこれからですが、NFTを購入したい人がたくさん集まる場として、OpenSeaやRaribleは、すでにこの業界では、強固なブランドを築き始めています。

さらに、Raribleは$RARIというガバナンストークンと呼ばれる、スタートアップでいうストックオプションのような仕組みをいち早く取り入れたこともあり、今後ますます目が離せない存在となっています。

ガバナンストークンというのは、もしRaribleのサービスが成功したら、$RARIの価値があがり、金銭的リターンを返す「株」や「宝くじ」のようなものです。この「株」や「宝くじ」を、Raribleの購入者や販売者に無償付与することで、また利用者はRaribleをまた使いたくなってくるという、ブロックチェーンサービスならではのマーケティングを展開しています。

これは、いってみれば、Amazonで買い物をしたらAmazonの「株」が手に入るようなものです。たくさん買い物をしている人ほどAmazonの「株」が手に入るので、ほかのサイトよりもAmazonで購入しよう、というようになりますよね。

利用者も何度もリピートしてしまうように設計されている上に、このトークンを持っていると、Raribleがよりよいサービスに発展するための、サービスの方針を決める意思決定に参加できる投票に参加できたりもします。

RaribleがNFTをやりとり場所として、ふさわしい場所になるための大事な意思決定に参加でき、そうした方向性の意思決定がうまくいくと、サービスがより発展し、ひいては「株」のようにガバナンストークン=$RARIの価値があがり、金銭的なリターンがあるような、サービスの方向とコミュニティの意思が同じ方向を向くようになっているのです。

ちなみに、私が手掛けているNFTのプロジェクトでは、最近、Rarible上で数百万円の売上をあげることができたのですが、そこで得られたガバナンストークンの$RARIは、いまの時価にして20万円分ほど無償配布されました。このおかげで、ちょうどいま高騰しているGAS代の大半をまかなうことができました。

こうしたガバナンストークンがあるサービスと、ないサービスでは、どちらがサービスの成長が早いかは明白でしょう。NFTのRaribleに限らず、DeFiではUniswapというサービスでも大きな成功例があります。ガバナンストークンは、これからのインターネットサービスを成功させるための、もっとも強力な武器となるのです。

ただ、残念なことに日本でこのようなサービスを設計すると、暗号資産の交換業免許が必要という判断になり、資金力がないスタートアップだと免許が取れるチーム体制を作れず、こうしたサービスを作りづらい状況でもあります。そうこうしていると、海外のこうした、ネクストAmazonや楽天が、どんどん先行してしまって、GAFAのように日本発のスタートアップが出る幕がなくなるよな展開になってきているのも実情なのです。

その上、最近では、トラベルルールといったNFTそのものの取引をより規制するような当局の動きもあり、このままいくと、ブロックチェーンの活用で自然とグローバル・サービスが成り立つところに、こうした規制は日本国内だけに閉じたビジネスにしか活用できないことになりそうで、不安でいっぱいです。

各業界のいろいろな事情があり、一概には答えが出せないものだと思いますが、NFTは、日本のコンテンツが海賊版サイトに経済的被害を被っている状況に一矢報いることができる可能性を秘めていることも、考慮してもいいかも知れません。

NFTをうまく活用していくことで、正規流通の加速につながるのです。例えば、私たちが本業で販売しているアニメグッズ、特に高額のフィギュアなどは、偽物のフィギュアが出回って、正規品とあまり区別のないまま、ファンの方が間違って買われてしまうケースが多くあります。

例えば、ここに公式が発行した「NFTの証明書」をフィギュアに同梱したり、フィギュア自体にICチップを埋め込んだりすることをすれば、それが偽物でないかを、誰でもかんたんに調べることができるようになります。

ファン同士がやりとりする、二次流通でも、そうした公式が出している本物か、偽物かの確認のときに、NFTの証明書があれば、正規品であることを証明できるのです。すると、ファンは偽物をつかまされることなく、正規品だけを購入することができるので、偽物を作っても売れなくなり、作っても売れないなら、つくるメリットがなくなって、次第に偽物が駆逐されるようになるでしょう。

こうした、NFTの正しい使い方がもっと広く知れ渡っていくことで、本来は自由な経済のもとでの活動を推し進めることが、経済を活性化の促進につながるところを、逆に、既得権益を生み出す「免許制」などの制度になると、ますます世界における日本が遅れを取ることにならないか、危惧しています。


#09 NFTがマスに浸透する時期とSF世界の実現

中・長期的にはパブリックチェーンかつ非中央集権的なプラットフォームの上で、さらに非中央集権なサービス=DAppsが、さまざまなコミュニティで作られていき、幅広く浸透していくことでしょう。

そうなると、本格的にパブリックチェーンが浸透するタイミングはいつなのか、気になってきますが、その定番のイーサリアムには、いま2つの大きな課題があります。

1. GAS代高騰問題
2. UI&UX難しすぎる問題

この2つの大きな課題は、いまから2-3年はイーサリアムをまともに使えないと判断してしまうのに、十分な理由になってしまっています。逆にいえば、2-3年後にこれらの問題が解決されている可能性は十分にあります。

それぞれに、解決策があり、時間をかけてですが、解決に向けて着実に進んできています。

1のGAS代問題は、ETH2.0のPoSという新しいブロックチェーンの仕組みになったときに、いまの高騰している手数料価格が、大きく減る可能性が高いといわれています。また、トランザクションを分割するシャーディングなどの導入で、いまのデータベースと同じく、トランザクション手数料をほとんど気にせずに利用できるようになる可能性もあります。もしくはレイヤー2と呼ばれる、サイドチェーンの発達でも解消する可能性があります。とはいえ、サイドチェーンにはUI&UXがさらに難しいという問題もつきまう点も考慮したほうがいいと思います。

2のUI&UX難しすぎる問題は、かんたんにいえば、NFTやDeFiなどブロックチェーンを扱うためには、利用者がメタマスクなどのウォレットという新しい概念になれてもらう必要があることです。

私は、ウォレットは将来的にブラウザにデフォルトに組み込まれると予想しています。普段つかうブラウザに最初から入っていれば、わざわざわかりづらいウォレットというソフトを入れる必要がなくなり、ボトルネックが解消されていくでしょう。

ただ、ChromeのGoogleもSafariのAppleも、ブロックチェーンが本格的に流行したときには、非中央集権的なコンセプトと逆行するような超企業でもあるので、その導入時期はかなり遅くなる可能性があります。

ブラウザ領域でひとり気をはいているのは、Braveという最初からウォレットを想定している新世代のブラウザです。Braveを使えば、あらゆるブロックチェーン系サービス=DAppsを利用でき、NFTをかんたんに取り扱え、暗号資産も管理できるようになるといわれています。

ただ、Braveが、いまブラウザ界の先頭を走っているChromeブラウザの規模にまで本当にスケールするのかというと、客観的にいえば、かなり厳しい戦いでもあります。

ここ最近の2年で、「Wallet Connect」というスマホでウォレットとDAppsが連携し合うような仕組みで、これまでよりもかなりかんたんにサービスにログインできるような仕組みも開発されてきました。ウォレットのUI&UXがもっと進化してく可能性もあるでしょう。

ブラウザ組み込み、新興ブラウザの台頭、ウォレットのUI&UX改善の3方向から、徐々に問題は解決されていくことと思います。

ちなみに、私は、もうひとつの解決方法で、もっとも有力だと思うのは、一般の利用者のリテラシー向上だと考えています。

過去を振り返れば、一般の利用者であっても、使うメリットがはっきりしていれば、わりとあっさり高いハードルを乗り越えることは歴史が証明しています。かつてインターネット黎明期には、手間のかかるプロバイダーと契約し、難解なモデムに接続して、使いづらいパソコンの設定をして、新しい概念のブラウザを使うという、当時としてはかなり難易度が高かったはずですが、インターネットが便利すぎるがゆえにメリットが知れ渡り、ほとんどの家で導入がじわじわと広がっていきました。身近にいるパソコンに詳しい人が、実家や親戚や友だちのサポートをして、日本中にインターネットが普及していきました。

いまは、1人1台スマホがある時代。クレジットカードをインターネットに登録することも、かつてはかなり慎重派が多かったですが、Amazonや楽天を使いたいときに、欠かせないものとして、いまやクレジットカードを登録しない人のほうが少数派となりました。

これらと比べたら、無料のウォレットアプリをいれて、概念を理解するだけなので、意外と、いまのウォレットアプリのままで、時間とともに解決されるのかもしれません。DeFiをうまく活用することによって、利用者へ金銭的なインセンティブを容易にあたえることもできます。

また、熱狂的なファンがいるアーティストやクリエイターが、パブリックチェーンでNFTを販売することは、そういった高いハードルを乗り越える、わかりやすいメリットになりえます。

さらに、このような動画による解説や、アニメや漫画などを通じて、やさしく丁寧に導入方法を提示してあげたら、十分に乗り越えられるのではと思っています。

これらがすべて解決した時、その頃にはちょうど、メタバースの世界が、ブラウザなりVR/AR上で、よりインターネット上、デジタル上での社会生活がリッチな体験となっていて、より、そちらの世界での生活時間が長くなって、いよいよ、SFの世界で語られていたような生活になっていくのだと思います。

考えてみると、スマホを観ている時間をデジタル生活だとしたら、現代人のほとんどは、リアルな生活時間よりもデジタルな生活時間のほうが長くなっている人も多いのです。ただ、いまのWebやアプリの体験というのは、いってみれば、平面でのぺっとしていて、現実世界とビジュアルだけを比べても、とてもチープな体験です。

最先端のVRでは、視覚・聴覚については、もうほとんど現実と違いがわからないような段階まで解像度があがって、一昔前までのVR体験とは変わってきています。デバイスとして視界を隠すVRゴーグルが本当に流行るかはちょっと私はわからないのですが、VR酔いなども解決され、ゲームやイベントやバーチャル旅行のときにだけつけるような使い方が流行ってくる可能性があり、そうなったときに、その世界の中で使われているひとつひとつのアイテムが、NFTによって実際に価値を持ち出すことは、これまでの要素を組み合わせていくだけで、間違いないでしょう。

そして、バーチャルでしか体験できないようなサービスもたくさん出てくるはずです。たとえば、2021年時点では、火星への旅行はバーチャル体験でしか難しいので、火星探査機の映像を利用して、バーチャル火星旅行は実現してくると思います。そのときに乗り込む宇宙船、宇宙服、記念写真、火星の土などは、すべてNFTによって、デジタルアイテムとして販売できるでしょう。

ちなみに、eSportsの世界でも、例えば、オンラインサッカーゲームがあって、そのサッカーゲームの中でのワールドカップが開催され、決勝戦で使われたサッカーボールやスタープレイヤーのデジタルなシューズが、バーチャルな世界でのチャリティーオークションにかけられる、なんてこともふつうに起こってくるのでしょう。それは現実の体験とほぼ変わらないとしたら、人々は、デジタルやインターネットであっても、そこに価値を感じだす、というのはごく自然なことだと考えます。


#10 NFTが今後世界を狙う大きな武器に

私は日本人として日本に生まれています。海外にも滞在していたこともあるので、外から見た日本もよく知っています。衛生的で、犯罪も少なく、水や食事も美味しいと、いいことづくめのとてもいい国だけど、内需が世界3位で、日本語圏という高い壁に守られてしまっているため、経済合理的に考えると、グローバルでの競争するよりも、国内でビジネスをしたほうが、リスク・リターンが見合ってしまう、という絶妙な時代にいます。

すると、賢い人ほど、そういった事情を察知して、海外よりもまずは国内市場を選択するという流れが定番化してしまっています。また、そういった若い才能に投資するエンジェルやベンチャーキャピタルも、リスク・リターンを考えると、スタートアップがグローバルで戦うよりも、国内でのシェアをとって上場してExitしてもらったほうが、経済合理的に投資しやすい、という流れとなってしまいます。

そういった国内市場を向いたスタートアップも、時価総額が高くなって、創業者利益を得たりすると、また若い人のロールモデルになっていくという、優秀な才能ほど、より国内市場に目が向いてしまうというように、国内市場に最適化されたエコシステムが回転してしまっています。

これは経済合理的には妥当で、短期的には個別には最適化されてはいるのですが、将来に向かってじわじわと真綿が締まるような感じで、日本がグローバルで通用する領域が、年々狭まってきてしまっています。

そんな中、ブロックチェーンは、いやがおうにも、海外にオープンにつながってしまうテクノロジーであり、インターネットやデジタルの領域での、日本発のDAppsがポジションを築くことができる、唯一にして最後のチャンスかもしれない、と思うのです。

よくいわれているように、日本が誇る、アニメ・漫画などのオタク文化は、そのひとつでしょうし、高品質で独特のビジュアル表現をもつメタバースもそのひとつとなりましょう。

日本的なNFTの販売を、デジタルな領域で海外に売っていくというのは、浮世絵がヨーロッパでアートとして人気になった江戸時代と似たようなブームを、今後、デジタルでシームレスな領域で行うことができます。言語の壁を超えやすい、非言語でもあります。

NFTは、世界に向けて市場を広げていくときに、信長における鉄砲のような武器になりえます。

ただ、すでに世界では成功事例がたくさん生まれているのに、日本では反対に規制が進むという逆境でもありますが、今年もしくは来年くらいまでが、日本が真の意味で海外に市場を切り拓けるかの、またとない機会と考えます。この記事をご覧になったみなさんも、内向きに衰退していく日本ではなく、外向きに発展を続ける希望を照らす日本になるように、リスクを恐れず一緒に前に進められたらと思います。

長文お付き合いいただきありがとうございます。記事が役に立ったら、SNSなどでシェアいただけるとありがたいです。また、今後もブログ記事を定期的に書いていきますので、よろしければフォローなどよろしくお願いいたします。


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