【6月の本よみ】 雑踏の過ごし方
都会的な印象の男性である。人通りの多い場所にあるコーヒーショップ、その店内には空席があるように見えたが、男性は外の椅子に座って本を読んでいた。その人が店に来た時には席が空いていなかったのかもしれないが、外の喧騒を心地よく感じながら本を読んでいるようにも見えた。
エリアス・カネッティ著「マラケシュの声」の中で、旅でモロッコに訪れた著者が、その街の持つざわめきや、異国の言語で交わされる会話、その中にいることに心地良さを感じる、という部分がある。その時の気分にそぐわない音楽がそこ