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ライティングコンテスト(東京報道新聞主催)

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東京報道新聞が開催しているライティングコンテストの募集要項や結果発表、過去の受賞記事をまとめています。 過去の受賞記事は、ライティングコンテストで「優秀賞」「特別賞」「東京報道新… もっと読む
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#第1回ライティングコンテスト

史上最も最強で単純な敵との奮闘記

A型の長女でも、未だに不安なことが頭をつきまとう。それはアパートを出ても、電車に乗っても、友だちに会っても仕事をしていても、いつもいつも頭にこべりついて離れない不安。そう、「鍵、かけたっけ」である。 コンロの火消しや窓の施錠に関してはまったく不安にならない。いつもいつも玄関の鍵の施錠だけ。なぜこんな単純なことがいつも不安なのかと言うと、それは私の生まれ育った実家に起因している。 私の故郷はかなり田舎で、家は山の奥の奥。コンビニまで車で20分かかるような奥地で、隣近所には祖

ふるさとを探す

22年も生きていれば、新生活の節目も何度か訪れる。その度に育った地からは離れるもので、新しい場所では今までいた地域の話が盛んだ。「どこの出身ですか?」「地元は?」と聞かれるといつも答える場所には、実際数年しか住んでいなかったりする。 大学の英語の授業では「ホームタウン」についての発表がたびたび行われた。「ふるさと」についてである。自身が出身地としている場所も、事実上ホームタウンではあるが、心からのふるさとかと聞かれれば答えるのは少し躊躇われる。 自身にとってのふるさととは

都会で電車に乗る 三カ条

私は「都会で電車に乗る」ということを甘くみていた。 自宅から2分で通学できた高校時代、バスにさえ乗らなかったにもかかわらず、大学に上京して、自宅から2時間かけて大学のキャンパスに通うことになった。東京といえども共通言語は日本語。わからないことがあれば聞けばいいし、もう18才という成人間近なんだからそれほど難しいはずがないと鷹をくくっていたが、「都会で電車に乗る」ことには特殊な能力が備えられていなければ、易々とできることではないという現実に私はまだ気が付いていなかった。 ま