見出し画像

安いギターと高いギターのお話。

こちら東京メタルシティ。今はちょっと所用で南国メタルアイランドからの
お届けです。今、夜の23時半を回ったところ。

そっちは今何時ですか?今日はどんな1日だった?
温かいお茶でも飲みながら、少しお話しましょう。

先日、ボクのツイッターで税込3,300円で買ったギターの音をアップしてみました。

Photogenic、という入門用のギターで知られているメーカーのギターです。
普通は1万円前後で売られているギターのようですので3,300円はお得に買えたのだと思います。

音、ぜひ聴いてみて欲しいのですがどうでしょう?

こういう音の話ってすごく難しくて、如何に我々が主観的に物事を聴いているか、
ということを示してくれるような気がします。

安い割に良い、とかそういう部分ですよね。いつも何かしらのバイアスや主観が働きながら音を聴いています。

よくyoutubeなんかで3万円のギターVS100万円のギター、とかそういう比較動画がありますが、「思ったより3万円も良いな」とか思ったりもするかもしれません。事前に情報を入れているとなおのこと、だと思います。

それくらい情報と音を我々は同時に耳に入れているわけです。

お正月なんかでもTV番組の格付けチェックみたいなので入門用(といってもまともな楽器です)と骨董的価値も含めて非常に高価な楽器の比較、というのもやっていますが、
ああいったものも高い=良い、と漠然と思うとややこしくなります。

若い楽器の方が元気な低音(人間の耳に聞こえやすい低音)が出たりするので、
パッと聴き太い音=良い楽器=高い楽器みたいな感じ方をしてしまう、というか。

まぁ、ほんとそれで良いんですけどね。
でも一度でも骨董的価値のある楽器の音を直接聴いたことがあればまた違う印象を持ったりするわけです。

それくらい音って主観で聴いているわけです。良い音、なんてのも聴く人の属する文化で随分と方向が変わりますし。

で、エレキギターの話に戻るとエレキギターは一般的な形が出来上がって60年ほどが経っていますが、それ以来基本的な構造や集音の原理は変わっていません。
電気的、という名前を謳っているので60年近くそのままというのは奇跡的なことじゃないでしょうか。

ある意味では黎明期において既に完成された、と言えるし一方では進歩をやめた、
という見方もできるかもしれません。

でも60年間本当に何もやってきてないわけじゃなくて、色々とそれぞれメーカーの工夫や現場でのノウハウを盛り込んで進化をしてきている訳ですが、
安いものも高いものも発音の原理は変わらない、というのはミソなんですよね。

原理が同じ、ということはそれぞれ違っても近いところを狙える、ということでもあります。寄せれる、といえば良いのかな。
安いギターでも高いギターの音に「寄せれる」んですね。違いを把握していれば。

出ないところを出るように弾く、出過ぎるところを抑えるように弾く、
そういう作業をすれば案外、イケるんです。

EQ、というのがありますが、一番のEQは人間の耳と腕が来ると思います。
自分のイメージに対して出過ぎるところを抑える、出ない部分を強く弾く、
我々の耳や腕は無意識にそういったことを物凄くやっています。

少し仕様の違うギターですが、こちらのギターはボクが普段使っているギターで、一般的には「高い」ギターの部類に入ります。アンプの音の設定は3300円のギターと100パーセント同じ設定ですが聴き比べてみてどうでしょうか?

そんなに変わらない、というのがもしかしたら率直なところかもしれません。

ツイッターにアップした際には恐縮なことに「腕が良いから」というお言葉を頂きましたが、そのメカニズムの本質は「普段のギターのイメージに腕と耳が“寄せている”」ということに他なりません。

それによって3,300円のギターの出ている音の差もそれなりに普段の様に出ていますが、実際には音程だったり発音だったり、普段のギターと比べて「甘い/鈍い」のでタッチの微調整をずっとしながら弾いているので、多少のストレスを感じながら弾いている、というのも実際のところです。よく言えば「弾きこなす」必要があります。

よく安いギターVS高いギターみたいな比較動画ではこの部分の視点が抜けているので(その方が面白いですよね。安いのが良かった方がウケるものです)、注意しながら見て欲しいなぁと思います。

もちろん高いギター=良いギターではありませんので、自分の基準になる様な
ストレスのないギターを探すのが一番良いと思うのですが。
基準があれば冒険も出来るし、いつでも“寄せられ”ます。

個人的にはきちんと手の入った調整の行き届いた楽器を知ることはとても大切なことだと思います。聴き方も変わるので、結果的に腕も楽になりますし。
人の工夫と手が行き届いたギター、というのはどうしても安くはありませんが
それを知るのは良いことだと思います。

ただ、安いギターだからといってダメってことはなくてそれにしかない
ファジーな部分が魅力だったりするのもギターの面白いところです。
そして、安いギターといえども使われている木材は樹齢何十年の立派な木です。
もしかしたら自分より年上の木が使われているかも、というくらい。

楽器に対してのリスペクトも大事にしたいなぁと思うのです。

------

長くなっちゃったけど、ちょっと感じたことをまとめてみました。
感想とかあったら教えてくださいね:-)

東京メタルシティより愛を込めて。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?