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スケールしないことをしなさい

ポール・グレアム(Paul Graham)が執筆したエッセー「Do Things that Don't Scale」の日本語訳になります。

2013年7月

私たちがYコンビネーターで与える最も一般的なアドバイスの1つは「スケールしないことをしなさい」というものである。これから創業者になろうとしている多くの人がスタートアップはスケールするかどうかだと思っている。あなたが何かを作り、それを入手可能できるような状態にし、もしより良いネズミ捕りのようなものを用意すれば、人々は約束通り自ずとあなたのドアのところへやってくる。もしそうでなければ、マーケットが存在しないのだろうと。[1]

実を言うと、創業者がスタートアップをテイクオフするようにすれば、スタートアップはテイクオフするのだ。会社自体だけで成長するのは一握りかもしれないが、通常、何かの押しがあればスタートアップは飛び立つ。良いたとえは、車エンジンのクランクかもしれない。エンジンが一度かかれば、それ以降はエンジンは動き続ける。しかし、そうするためには別々で、骨の折れるプロセスがある。

ユーザー集め

創業者がしなければならないスケールをしない最も一般的なことは手動でユーザーを集めることである。ほとんど全てのスタートアップがしなければならない。あなたはユーザーが来るのを待ってはいけない。あなたは外に行き、ユーザーを捕まえなければならない。

Stripe はYコンビネーターで最も成功したスタートアップの1つである。そして、彼らが解決した問題は緊急性のあるものだった。もし深く腰掛け、ユーザーが来るのを待っていたスタートアップがあるのだとすれば、それは Stripe だ。しかし、実際は彼らは初期ユーザーの獲得に奔走していたことはYコンビネーター内では有名だ。

他のスタートアップ会社に役立つためのものを作ったスタートアップは、Yコンビネーターで資金供給された数々の会社でも役立つ潜在的可能性を大きくもつ。そして、Stripe ほどそれを利用した会社はいない。YコンビネーターではStripeの創業者コリソン兄弟が発明したテクニックを「コリソン・インスタレーション(Collison Installation)」という専門用語として使う。遠慮がちな創業者たちは「私たちのベータ版を使ってみないか?」と聞くと、「いいよ。リンクを送ってくれ」という YES な回答を得る。しかし、コリソン兄弟はベータ版が使われるまで待つつもりはない。誰かが Stripe を使うことに同意すれば、「じゃあ、君のラップトップを貸して」と言い、その場で Stripe を組み込んでしまうのである。

創業者たちが外に出かけ、ユーザーを一人一人集めるのにためらう理由が2つある。1つは、シャイと怠けの組み合わせだ。創業者たちは、外に出かけ、見ず知らずの人たちに話しかけ、彼ら全員に拒絶されうるよりも、家で椅子に坐りコードを書くのを好む。しかし、スタートアップが成功するには、少なくとも1人の創業者(たいていはCEO)が、多くの時間をセールスとマーケティングに使わなければならない。[2]

創業者がこの道すじを無視する他の理由として、最初は絶対的な数があまりに少なく思えるからである。大きくて、有名なスタートアップ企業はこのような始め方をしてるはずがないと彼らは思うのである。

彼らが犯すミスは成長率の力を過小評価することだ。私たちはどのスタートアップにも彼らの進捗状況を週間成長レートで計測するように促している。もし今100ユーザーいれば、次の週にユーザー数を10増やすには一週間で10%成長する必要がある。100から110への変化はあまり良くないかもしれないが、もし1週間で10%成長したとすれば、あなたはなんて大きな数字だと驚くだろう。1年後には14000ユーザー、2年後には200万ユーザーとなるだろう。

一度に1000ユーザー獲得していたら、あなたは違ったことをしているかもしれないし、最終的には成長も鈍化していく。しかし、もしマーケットが存在し、ユーザーを手動で獲得することができれば、次第に手動的な方法をしないように切り替えることができる。[3]

Airbnb がこのテクニックを使った最高の事例である。マーケットプレイス(市場)が動き始めるのは困難なので、あなたは最初に大胆な方法を取らなければならないことを予期しなければならない。Airbnb の場合、ニューヨークにある家を一軒ずつ周り、新規ユーザーを集め、既存ユーザーのリスティングページの編集を手伝う方法を取った。Yコンビネーター期間中の Airbnb を思い出すと、彼らがスーツケースと一緒にいる姿を思い描く。なぜなら、彼らはいつもどこかから飛び戻って、火曜日のディナーに現れるからだ。

もろい

Airbnb は今や止まることのない絶対的な存在に思えるが、初期の頃の Airbnb はもろく、外へ出向いてユーザーと直接関わりを持った約30日間が成功と失敗の違いを生んだ。

あの最初のもろさというのは Airbnb だけの特徴ではない。ほとんど全てのスタートアップは最初もろいものである。そして、これは未熟な創業者や投資家(記者、利口ぶったフォーラム)がスタートアップについて間違える大きなことの1つである。彼らは無意識のうちに確立された基準をもって、幼いスタートアップを判断している。彼らはまるで新生児を見て、「この小さな生き物が何かを達成する方法はない」と結論づけているような人である。

もし記者や利口ぶった人たちがあなたのスタートアップを無視しても、それは無害である。彼らはいつも間違える。もし投資家があなたのスタートアップを無視しても、それは良いのだ。彼らは成長を目にすれば、心変わりするだろう。大きな危険はあなたが自分のスタートアップ自体を無視することだ。私はそれを目にしてきた。私はよく自分たちが作っているものがどれほどの可能性を秘めているのか見えない創業者たちを励まさなければならない。ビル・ゲイツ(Bill Gates)さえ間違えをする。彼はマイクロソフトを始めた後、秋学期のためにハーバード大学に戻っている。彼は長く滞在しなかったが、もし彼がマイクロソフトは破片に等しいものになるのだと気づいていたら、彼は全く戻らなかっただろう。[4]

初期段階にいるスタートアップについて聞く質問は、「この会社は世界を牛耳るのか?」ではなく、「もし創業者が正しいことをすれば、この会社はどれだけ大きくなれるのだろうか?」というものだ。そして、正しいことはそのときに骨が折れ重要性の低いものであるように思えることが多い。アルバカーキにいる数人が、数百人いる愛好家(マイクロソフトでは彼らのことを hobbyist と呼んでいた。)の市場のために Basic インタープリターを書いていたとき、マイクロソフトは非常に印象的なようには思えなかった。しかし、振り返ってみると、それはマイクロコンピュータソフトウェアを支配するのに最適な道筋だった。Airbnb のブライアン・チェスキー(Brian Chesky)とジョー・ゲビア(Joe Gebbia)は、最初のホストのアパートのプロフェッショナルな写真を彼らが撮っているとき、それが大成功への道筋だと思わなかったことを私は知っている。彼らはただ生き延びようとしていた。しかし、振り返ってみると、それも大きな市場を支配するのに最適な道筋だった。

ユーザーを手動で集めるために、あなたはユーザーをどう見つけるのだろうか? もし自分自身の問題を解決するものを作るなら、あなたはあなたと同じような人さえ見つければよく、これは通常簡単である。もしそうでなければ、有望なユーザーの鉱脈を見つけるため、より計画的な努力をしなければならないだろう。これを行うための通常の方法は、比較的に的を絞らないローンチをすることで、初めのユーザー設定を取得し、どの種類が最も熱心にみえるかを観察して、それらのようなものをたくさん探すことである。たとえば、ベン・シルバーマン(Ben Silbermann)は初期の多くの Pinterest ユーザーがデザインに興味があるのに気づき、彼はユーザーを集めるため、デザインブロガーのカンファレンスに行き、うまくいった。[5]

喜ばせる

あなたはユーザーを獲得するためだけでなく、彼らをハッピーにするために、とっぴな手段を取らなければならない。Wufoo は可能なかぎり長く(驚くほど長いことが判明した)、新規ユーザーに手書きのサンキューノートを送っていた。あなたの初期ユーザーたちは、あなたのサービスにサインアップしたことは彼らが選んだ最高の選択肢の1つと思ってもらうべきだ。そして、あなたは彼らを喜ばせるために、今度は頭を悩ませるだろう。

なぜ私たちはスタートアップにこのことを教えなければならないのか? なぜ創業者にとっては反直感的なのか? 私は3つの理由があると考える。

1つは多くのスタートアップ創業者がエンジニアとしてトレーニングされ、カスタマーサービスはエンジニアのトレーニングの中に含まれていないからである。あなたはしっかりと機能するエレガントなものを作ることになっており、セールスマンのような卑屈な態度で気を配るようにはなっていない。皮肉なことに、エンジニアが伝統的に称賛されない一部の理由は、エンジニアが事全体を営むよりも、与えられた狭い範囲の中でものを作る役割だけを任されるような、力をあまり持たない時代からずっと続いている。あなたはスタートレックの敏腕エンジニアであるスコッティ(Scotty)のようなときは強情になれるが、船長カーク(Kirk)のようなときはそうはなれないのだ。

2つ目の理由は、創業者が個々のカスタマーに十分に集中しないのは、彼らがスケールしないかもしれないと心配しているからである。しかし、幼いスタートアップの創業者がこのことを心配すれば、あなたの今の状態では、あなたが失うものは何もないと私は指摘する。もし既存のユーザーをスーパーハッピーにする道からそれると、創業者たちはいつしかそのためにたくさんのことをしなければならなくなる。それは大きな問題となるだろう。あなたがユーザーをハッピーにすることができるか確かめてみてほしい。ちなみに、ユーザーをハッピーにすることができれば、あなたはそれに伴って喜ぶカスタマーが自分が期待するよりもスケールしていくのを見い出すだろう。あなたが予測していた以上に何かをスケールする方法を見つけることができたのと、喜んでいるカスタマーはそれまでにあなたのカルチャーに浸透していたのが一部分的な理由である。

私はスタートアップが初期のユーザーをハッピーにしようとしすぎて、見えない小道に誘い込むようなことを一度も見たことがない。

しかし、もしかすると創業者がどのくらいユーザーに対して気を配れば良いのか理解するのを妨げる最も大きなものは、そのような気遣い自体を創業者自身が今まで経験したことがないことだ。彼らのカスタマーサービスに対する基準は彼らがお客として利用する会社、たいていは大企業が定めたものである。あなたがラップトップを買った後、Apple の CEO であるティム・クック(Tim Cook)は手書きのノートをあなたに送らない。彼はできないが、あなたはできる。それは、小さいことである利点の1つで、あなたは大企業ができないような様々なレベルのサービスを与えることができる。[6]

既存の慣習がユーザー体験の上限ではないことを理解すれば、ユーザーを喜ばすためにあなたがどこまでいくことができるか考えるのはいい意味で面白い。

体験

私は、ユーザーへのあなたの関心がいかに極端であるべきかを伝えるフレーズを考えようとしてた。そして、スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)が、「insanely great(とんでもなくすごい)」というフレーズで既にそれをやっていたことに気づいた。スティーブは「insanely」というフレーズをただ単に「very」の同義語として使っていなかった。人は実行の質を日常生活において病的に思えるくらいまで注力すべきだというように、彼はもっと文字通りのことを意味していた。

私たちが資金提供して成功したスタートアップのすべてがとんでもなくすごいという考えを持っている。そして、それは創業者志望の人たちをおそらく驚かさない。未熟な創業者が理解しないのは、とんでもなくすごいというものが幼いスタートアップにも持ち込むことができることだ。スティーブ・ジョブズがこのフレーズを使い始めたとき、Apple は既に設立された会社であった。彼はMac(そして、Mac の製品説明書やパッキングでさえ、そのような執念の本質である)は、とんでもなくすごく上手にデザインされ、そして生産されるべきだと意味していた。エンジニアにとって理解することは困難ではない。しっかりと機能し、エレガントなプロダクトをデザインする極端な説明である。

創業者たちが理解できない(スティーブ自身も理解できなかっただろう)のは、とんでもなくすごいということがスタートアップ人生の最初の数ヶ月へタイムスライダーを押し戻すように変形することだ。プロダクトではなく、ユーザーでいることの体験がとんでもなくすごいのである。プロダクトはその体験のためのただ1つの要素だ。大企業にとって、市場を支配することは必要不可欠である。しかし、もしユーザーに記憶に残るような違いを作りたければ、あなたは初期で不完全でバギーなプロダクトとともに、ユーザーにとんでもなくすごい体験を与えることができるし与えるべきである。

たぶんできる、でも、するべき? もちろん。初期ユーザーとの直接の触れ合いを過度にすることは、成長し始めるためのただの許容可能なテクニックではない。多くの成功するスタートアップにとって、プロダクトを良くするフィードバックのループ部分は必要不可欠だ。より良いネズミ捕りを作ることは不可分操作(=操作がそれぞれ独立する。)ではない。たとえ、自分のニーズのために何かを作るという、ほとんどの成功するスタートアップがするやり方をあなたが始めたとしても、最初に作ったものは決して全く正しいものではない。そして、間違いをすると大きな罰則がある領域を除いて、最初はたいてい完璧主義を目指さないほうが良い。特にソフトウェアでは、効用の量があればすぐにユーザーの前で手を打ち、彼らがそれで何をするのか見るのがたいてい最も上手くいく。完璧主義はしばしば先延ばしの言い訳で、いずれにしても、ユーザーの最初のモデルは、たとえそのユーザーの1人があなたであっても、常に不正確である。[7]

最も初期のユーザーと直接触れ合うことで得られるフィードバックはあなたが得るもので最高なものになるだろう。あなたの会社が大きく、グループに集中する手段しかないとき、手中に収まるくらいのユーザー数のときにやったように、ユーザーの家や会社へ行き、彼らがどのようにあなたのプロダクトを使うか見たいと願うだろう。

時には、正しいスケールしないトリックは故意に狭い市場に集中することである。多くの木材を投入する前に、本当に火が熱くなるように、火を最初に保つようなものだ。

これは Facebook がやった。最初、Facebook はハーバード大学の学生のためのものだった。この形では潜在的なマーケットは数百人だけだが、本当に自分たちのために作られたものだと感じたため、必要十分以上の人がサインアップした。Facebook がハーバード大学の学生のためだけのものを辞めた後、かなり長い間、特定の大学の学生が取り残されていた。私がスタートアップスクールでマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)にインタビューをしたとき、コースのリストを学校ごとに作る作業は大変だったが、そうすることで学生がサイトを自分たちの自然な家だと感じてくれた、と彼は言った。

マーケットプレイスと呼ばれるどのスタートアップもたいてい全体集合の中の部分集合の中で始めるべきだが、これは他のスタートアップでも同様に機能する。マーケットに必要十分なユーザーを速く得ることができる部分集合があるかどうか問いかけることはいつも価値がある。[8]

ほとんどのスタートアップが火を保つ戦略を無意識にやっている。彼らは図らずもアーリアダプターとなる自分たちや友人のために何かを作り、後になって広いマーケットでも提供できることに気づく。あなたが無意識でやれば、同様にその戦略は機能する。このパターンを意識的に認識しない最大の危険は、そのパターンの一部分を単純に捨てる人たちである。たとえば、もし自分や友人のための何かを作らないとして、または仮に作ったとして、市場の世界から来たあなたや友人がアーリーアダプターでなければ、あなたはあなたに手渡された大皿にある完璧な初期マーケットをもはや持てなくなる。

会社の中で、最もアーリーアダプターなものは通常他のスタートアップ企業である。彼らは本質的に、そしてまだスタートしたばかりですべての選択肢を決定していないため、新しいことによりオープンだ。加えて、彼らが成功し速く成長すれば、あなたは彼らと共にある。Yコンビネーターモデルで(そして、特にYコンビネーターを大きくするために)、数ある意外な利点の1つは、今、B2B のスタートアップが、何百もいる他のスタートアップ企業からなるインスタント・マーケットを手の届く距離に持っていることだ。

メラキ(Meraki)

ハードウェアのスタートアップにとって、スケールしないことをするのに異なりがあり、私たちは「pulling a Meraki」と呼んでいる。私たちは Meraki に資金提供しなかったが、創業者は Robert Morris の大学院生だったので、私たちは彼らの歴史を知っている。彼らは、ルーターを自分たちで組み立て、本当にスケールしないことから始めた。

ハードウェアのスタートアップはソフトウェアのスタートアップにはない障害にぶつかる。工場で生産稼働するための最低注文は通常700,000ドルである。これはどうもがいても解決策が見つからないジレンマにあなたを陥らせる。製品がなければ、製品を生産するためのお金を得るために必要な成長を生み出すことができない。ハードウェアのスタートアップはお金のために投資家に頼るしかなく、あなたはこれに打ち勝つための説得をかなりしなければならない。クラウドファンディング(厳密に言えば、事前注文)の出現により大きく助けられるようになった。しかし、そうだとしても、私は可能であれば、スタートアップに「pull a Meraki」をすることを助言する。Pebble は次のことをした。まず最初の数百の時計はPebble自身が組み立てた。もし彼らがこの段階を切り抜けなければ、彼らはおそらく Kickstarter に行っても、1000万ドル相当分の時計を売れていなかっただろう。

早期のカスタマーに過度の注意を払うように、自身でものを組み立てることはハードウェアのスタートアップにとって価値あるものである。工場にいれば、デザインを微調整することも速くなり、それ以外の方法では知らなかったことを学ぶことができる。Pebble の Eric Migicovsky は、彼が学んだ1つのことは「良いねじを供給することがどれほど価値があったか」と言った。意外だよね。

コンサルタント

私たちは B2B のスタートアップ創業者に過度のエンゲージメントを取り、ユーザーを1人選んで、そのユーザーのために何かを作るコンサルタントのように行動するようにときどき助言している。最初のユーザーはあなたのプロダクトの型のために形に従うが、あなたは彼らのニーズが完璧に合うまで微調整し続け、あなたは通常他のユーザーも欲しいものを作っていたことを発見する。たとえそういう人たちが多くないとして、おそらくその隣接した領域にはたくさんの人たちがいるかもしれない。ただ1人でも何かが本当に欲しいユーザーがいて、そのニーズを元に行動することができるかぎり、人々が欲しがるものを作る足がかりを得られ、それはどのスタートアップでも最初に必要なものである。[9]

コンサルティングはスケールしない仕事の標準的な例である。しかし、(自由に親切な行為をする他の方法と同様に)あなたに支払われないかぎりするのが安全だ。そこは会社が線を超えるところである。あなたが単にカスタマーに多めに気をつかうプロダクト会社であるかぎり、たとえあなたが彼らの問題をすべて解決しなくても、彼らはとても感謝する。けれども、彼らが特にあなたの気づかいに支払い始めたら、彼らが時給であなたに支払い始めたら、彼らはあなたに何でもやってもらうことを期待する。

不熱心なユーザーを最初に集めるコンサルティングのようなもう1つのテクニックは、あなたのソフトウェアを彼らの代わりに使うことである。私たちはそれを Viaweb でやった。私たちがオンラインストアを作るためのソフトウェアを使いたくないか業者に聞くアプローチをしたとき、何人かはダメだと言ったが、私たちが彼らの代わりに作るのはやらせてくれた。私たちはユーザーを得るために何でもやろうとしていたので、私たちはそれをやった。私たちは当時は時代遅れだと感じた。大きな戦略的なEコマースのパートナーシップを計画する代わりに、私たちは旅行かばん、ペン、男性用のシャツを売ろうとしていた。しかし、振り返ってみると、業者がソフトウェアを使うことをどう感じるか私たちに教えてくれたため、それはとても正しいことだった。時々、フィードバックのループはほぼ間合いがなかった。ある業者のサイトを作っている途中、私たちが持っていなかった機能が必要と気づき、数時間それを実装するのに使い、その後サイトをまた作り始めた。

手動

極めて変なものはあなたがソフトウェアを使うところだけでなく、あなたのソフトウェアにもある。ユーザーの数が少ないとき、後に自動化する計画のある変なものをあなたは時々手動で取り出すことができる。こうすることでローンチが速くなり、あなたが最後にループから抜け出し自分自身を自動化することができたとき、自分自身でやることから筋肉の記憶を持つことになる理由から、あなたは何を作れば良いかしっかりと知るだろう。

手動部分がユーザーにとってソフトウェアのように見えた時、このテクニックは実際に役立つジョークの様相を持ち始める。例えば、Stripe が最初のユーザーに「Instant」業者アカウントをすぐさま与えた方法は、創業者が裏で従来の業者アカウントに彼らのものを手動でサインアップしていた。

スタートアップの中には最初から完全に手動かもしれない。もし解決して欲しい問題がある誰かをあなたが見つけ、あなたが手動で解決することができるなら、あなたはできる限り率先してやったほうが良い。そして、少しずつボトルネックを自動化すれば良い。まだ自動化してないユーザーの問題を解決することは少しゾッとするかもしれないが、まだ誰の問題も解決していない何か自動化したものを持つよくあることよりかは怖くない。

ビッグ

たいてい上手くいかない最初の戦略の1つが大きなローンチであることを私は言及すべきだ。私はたまにスタートアップは動力のある飛行機よりもロケットのような発射物だと信じ、十分な初速度さえあればスタートアップを大きくすることができるという創業者に会う。彼らは8つの異なる媒体に制限をかけて、同時にローンチしたい。そして、火曜日、当然、ユーザーがどこかで記事を読むのだから、何かローンチするのに最適な日だと。

小さなローンチがいかに重要かは簡単に分かる。成功したスタートアップを考えてみて。あなたが覚えている彼らのローンチはいくつある? ローンチであなたが必要な全てはいくつかの初期の核となるユーザーだ。あなたが数ヶ月後にどれだけよくやっているかはユーザーがどれだけいるかよりも、どのようにして核となるユーザーをハッピーにするかにかかっている。[10]

だから、なぜ創業者たちはローンチを重要だと思っているのだろうか? 自己中心主義と怠惰の組み合わせだ。彼らは自分たちが作ったものが良くて、それについて聞いた人は皆すぐにサインアップすると思っている。加えて、1度に1人ずつ手動でユーザーを集めるよりも、自分たちの存在を広めるだけでユーザーを得られるほうが、かなり労力がより少ないだろうと。

パートナーシップも通常上手くいかない。彼らは通常スタートアップのために働かないし、特に成長し始めるやり方として上手くいかない。大企業とパートナーシップを組むことが大きなチャンスとなると考えるのは未熟な創業者たちの間では共通のミスだ。6ヶ月後、私たちが予想していたよりもかなりの労力だけれども、実際には何も得られなかった、と彼らは皆同じことを言う。[11]

最初に何か特別なことをするだけでは十分ではない。あなたは最初に桁外れな努力をしなければならない。ユーザーを得るための大きなローンチや大きなパートナーシップを問わず、努力のない戦略はどれも事実上疑わしいものだ。

ベクトル

始めるために、スケールせず、骨の折れるような何かをする必要性はほぼ普遍的なので、スタートアップのアイデアを大きさ(スカラー)として考えないのは良いアイデアかもしれない。その代わり、あなたが何を作ろうとしているのか、会社を大きくするために最初にあなたがしようとするスケールしないことは何かを私たちは考えようとすべきだ。

このようにスタートアップのアイデアを見始めるのは興味深い。なぜなら2つの要素があり、あなたは1つ目の要素と同様に、2つ目の要素について想像力に富むことができる。しかし、たいていの場合、2つ目の要素は、手動でユーザーを集め、彼らに圧倒的に良い体験を与えるという普通のことになる。そして、スタートアップをベクトルとして扱う主な恩恵は、創業者に2つの次元で一生懸命働かねばならないことを気づかせてくれることだ。[12]

最高の場合、2つの要素のベクトルがあなたの会社の DNA に貢献してくれる。あなたが始めるためにしなければならないスケールしないことは単に必要不可欠な悪魔だけではなく、会社を永遠に良くしていくための変化でもある。もしあなたが小さいときにユーザーを獲得するのに積極的であれば、大きいときはおそらくまだ積極的だろう。もし自身でハードウェアを生産しなければならない、ユーザーの代わりにあなたがソフトウェアを使わなければならない場合、あなたは他の方法では学べなかったことを学ぶことができる。そして、最も重要なのだが、もし手に握るほどのユーザーしかいないときにユーザーを喜ばすために一生懸命にあなたが働かなければならないなら、あなたはユーザーがたくさんになったとき、それをやり続けるだろう。

注釈

[1]実は Emerson は明確にネズミ捕り(マウストラップ)に言及していない。彼は「もし人が売るための良い穀物、木、板、豚を持っていれば、または椅子、ナイフ、坩堝、協会のオルガンを誰よりも上手に作ることができれば、その人は森にいても、その人の家までの広く激しく叩きつけられた道をあなたは見つけることができるだろう」と書いた。

[2]Sam Altman の提案のおかげで、私はこのことについて明白にすることができる。答えはノーだ。あなたのために、代わりとなる誰かを雇い、セールスをすることは避けられない。あなたは最初自身でセールスをする必要がある。その後、あなたに代わる本当のセールスマンをあなたは雇うことができる。

[3]これが上手くいく理由はあなたが大きくなるにつれ、あなたの大きさがあなたの成長を助けるためである。Patrick Collison は「ある時点で、Stripe がどのように感じたかに、非常に目立った変化があった。最初この丸石を押さなければならない状態から、自身の推進力で進む電車へと傾いていった」と書いた。

[4]Yコンビネーターが創業者を助けることができる捉えがたい方法の1つが創業者の野心をカリブレーションすることである。なぜなら、私たちは多くの成功したスタートアップが、ちょうど初めた当初に、どのように見ていたか正確に知っているからだ。

[5]もし観察のための少数のユーザーを簡単に獲得することができないもの、例えば、企業向けのソフトウェアを作っている場合、そして、ドメイン領域にコネクションが全くない場合、あなたは電話営業(コールドコール)や紹介に頼るしかない。けれども、そのようなアイデアにあなたは取り組み続けさえするだろうか?

[6]Garry Tan は創業者が最初に陥る興味深いトラップを指摘した。彼らはとても大きく見えたいがため、個々のユーザーに無関心するような大企業の欠陥を真似しようとする。彼らにとってはこれが「プロフェッショナル」に思えるようだ。実を言うと、小さいことであることの事実を取り入れ、それがもたらす利点を何でも使うほうが良い。

[7]あなたのユーザーモデルはほとんど完全で正確でないだろう。なぜなら、あなたが彼らのために作ったものによって、ユーザーのニーズがよく変わるからだ。彼らのためにマイクロコンピューターを作ると、突如コンピューター上で動くスプレッドシートが必要になる。あなたのマイクロコンピューターの登場が誰かがスプレッドシートを発明する起因となるのだ。

[8]もしあなたがサインアップするのが最速な部分集合と最も多くの金額を支払う部分集合のどちらかを選ばなければならない場合、たいてい前者を選ぶのが最善だ。なぜなら彼らはアーリーアダプターだからだ。彼らはあなたのプロダクトに良い影響を持ち、あなたにセールスの努力をたくさんさせない。そして、彼らがあまりお金を持っていなくても、初期の目標成長レートを維持するのに多くのことをしなくて済む。

[9]もちろん、本当に1人のユーザーにのみ役立つ何かを作って終わったケースを私は想像することができる。しかし、そういうのは未熟な創業者にとっても、たいてい明白なことだ。もし1人のマーケットのために何かを作っているのが明白でないのであれば、その危険性は心配しなくてもよい。

[10]ローンチ規模と成功には逆相関があるかもしれない。私が覚えているもので、失敗に終わった有名なローンチは Segway と Google Wave だ。Wave は特に警鐘を鳴らす例で、私はすごく実に良いアイデアだと思ったが、ローンチのやりすぎが一部理由で潰された。

[11]Google は Yahoo の背後で大きく成長した。しかし、パートナーシップではなかった。Yahoo は Google の顧客だった。

[12]2つ目の要素が空のアイデア(例えば、あなたは手動で集めるためのユーザーを見つけることができないから、前進するために、あなたができることが何もないアイデア。)は、少なくとも創業者にとって、おそらく悪いアイデアだということを創業者に気づかせてくれるだろう。

このエッセーの下書きを読んでくれた Sam Altman、ポール・ブックハイト、パトリック・コリソン、Kevin Hale、スティーブン・レヴィ、 ジェシカ・リビングストン、ジェフ・ラルストン、ガリー・タンに感謝する。


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