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Outdoor Weekend ー河原で火を育てる孤独の時間ー

自分がいま熱中しているもの、それはキャンプだ。職場の先輩に誘われて何気なく参加したことをきっかけに、自然のなかで過ごす気持ち良さにハマってしまった。

そこから暇を見つけては職場の同僚や先輩たちを誘ってはフィールドに繰り出しているが、飽き性な自分をわかっているからこそ、どんどん新しいアウトドアの魅力を知っていきたいとも思っている。

毎回先輩に声をかけるのも気を遣うし、一人でゆっくりと静かに楽しめる遊びはないかなーと雑誌やインターネットを読み漁った結果、一から火を起こしてみるのはどうだろう。

自分だけのささやかなOutdoor Weekendがスタートした。

バスに揺られる休日も悪くない

向かう先は、自然豊かな飯能方面。都心から電車とバスで1時間強と、気軽に訪れることができるお気に入りエリアだ。実は一人で行くのは初めてで、ちょっとドキドキしている。

まるで時間が止まったかのような哀愁ある停車場を降りると、自分を待つフィールドまであと少しだ。

国道から少し外れた道を降っていく。だんだんと川の音が近づくにつれて、空気も澄んできた。気がつけば緑に囲まれた河原が目の前に広がっていた。

見渡す限りの杉木立は、この辺りの地場産業を支える貴重な資源でもある。いつか飯能の木材を使ったカヌーに乗ってみたいと妄想を膨らませるのも楽しいが、肝心な拠点探しへとスイッチを切り替えなければ。

良さそうな場所を見つけたらひとまず休憩としよう。

準備は入念に。でも手際良く。

TOKYO CRAFTS マクライト

後半でゆったりとした時間を楽しみたいからこそ、準備は淡々と段取り良く進めたい。

今日の課題は、普段使用しているガストーチやマッチなどの類に頼らず火を起こすこと。よく乾いていそうな枝や薪選びを入念にするかしないかで勝負が決まりそうだ。

先月から2回ほど使用している焚き火台「マクライト」は、設営30秒まで縮めることに成功。味も出てきたし、敢えて綺麗にしないほうがかっこいいかも。

成長するまで、無心で削る。

TOKYO CRAFTS マクライト フェザースティックを作る

枝や薪の先端を削って、火がつきやすいようにするナイフワーク「フェザースティック」と、マグネシウムやフェロセリウムなどの金属でできた棒とストライカーを使って火を起こす道具「ファイヤースターター」を使って、さっそく火を起こしてみる。

TOKYO CRAFTS マクライト 火起こし風景

だんだん慣れてきたら、大きな火花が出せるように。力もいらないし、面倒くさがりな自分でも意外と簡単にチャレンジできた。

煙が出てきたので、成功!と思ったら、一瞬で消えてしまい失敗・・・。焦ると良くないので、冷静に冷静に。

火を育てるということ

TOKYO CRAFTS マクライト 火を育てる

YouTubeで予習した甲斐があってか、なんとかクリア。数ミリ程度の火口に、火吹き棒で繊細に息を吹きかけて空気を送り込む。必死になりすぎて、煙を吸い込まないよう注意しなければ。

少し長いかなと心配していた薪も、火床が広い焚火台なのでしっかり乗る。あとは慎重に薪をくべながら、ランチの調理用に火力を調節。

調理風景

SNSで一度見かけたサンドウィッチのメニューを今回は参考に。苦戦すると思ったアボガドは家で事前に仕込み済。卵は火が通りやすいスキレットで調理。ベーコンは五徳に引っ掛けて火を通しながら燻すという技を編み出した。

出来上がりと同時に飲めるように、コーヒーの準備も。誰もいない河原に、ベーコンの油が火に滴り落ちる音やお湯がケトルの注ぎ口から噴き出している音が響き渡る。

得意のドリップを自分だけのために

河原でブレークタイム

毎朝必ず飲むほどコーヒーが好きだ。丁寧にハンドドリップした贅沢な一杯を独り占めできるのはソロの醍醐味かもしれない。お湯を注がれるコーヒー豆が毎回生き物に見えてしまうのは自分だけだろうか。

のんびりチルタイム

今日のランチは写真に収めたものの「ぼっちめしでアボガド食べるの意識高くない(笑)」と先輩から突っ込まれそうなので、SNSに載せるのはやめておこう。次はガッツリ男らしいメニューにもチャレンジしてみたい。

お腹も満たされたところで、何もしないチルタイムへ突入。少し夕陽が差した河原を見ながら、コーヒーの苦味が喉を通る。心の底から至福と言える時間が今だ。

立つ鳥跡を濁さずの精神

撤収開始

風が少し吹いてきたので、体が冷える前に後片付けスタート。キャンプ場ではないので、灰はアルミに包んで持ち帰ることに。よく肥えた紅葉樹の薪を綺麗に燃やしきった時の達成感たるや......。

一人だと寂しさを感じるだろうと予想していたが、自然と自分しか存在しない環境で過ごす時間はあっという間だった。

忘れ物なし。バスの時間もチェック済みだ。デイキャンプで少し物足りない気もするが、課題である火も無事に起こせたし、空腹も満たされて大満足の1日だった。

始めて2、3年の駆け出しキャンパーとはいえ、アウトドアの世界は奥深く、まだまだ自分が飽きることはないと感じた1日だった。

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