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『相棒』シーズン22-4「天使の前髪」/世文見聞録112

下手な予想も数撃ちゃ当たる──川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」であるドラマ『相棒』シリーズについて語ります。

○『相棒22』第4話(ネタバレ注意!)

<あらすじ>
右京(水谷豊)と薫(寺脇康文)が連れ立ってクラシックコンサートに向かっていたところ、血まみれの女性に遭遇。部屋をあらためると、ナイフが胸に突き刺さった男性の遺体が。署で事情を聞くと、女性は小さな劇団を主宰する久保崎美怜(藤井美菜)という女優で、死亡した男性は数日前、オーディションで審査員を務めていた舞台演出家だという。美怜は、男性にしつこくつきまとわれた上、突然マンションに押し掛けられ、乱暴されそうになったと証言。無我夢中で抵抗するうち、ナイフが刺さってしまったという。薫は正当防衛だと直感するが、右京は状況に違和感を覚え、彼女が“女優”であることに引っ掛かっていた。美怜の周囲を調べると、主宰する劇団は活動休止状態で、金銭的に困窮していたことが判明。それでも活動は続けていたというが、関係者からは美怜が、「才能に悩んでいた」との証言も聞かれる。さらに、彼女の過去についても、驚くべき事実が明らかになる。

公式サイトより

川口世文:わりと直球のミステリー。“倒叙モノ”にしてもよかったぐらい、犯人に関してはストレートだった。

木暮林太郎:確かに“電卓”に隠された録音型盗聴器の音声を繰り返し聞き直すところなんか、ちょっと『刑事コロンボ』を思い出させたな。

川口:もうちょっと視聴者にじっくり聞かせて、ヒントをくれても良かった気がするけど。さすがにリバーブ残響が違っていたといわれてもわからない。

木暮:“犬のお巡りさん”と呼ばれた右京さん以外にはね(笑)。そこがコロンボと違うところだ。でも、話の流れから考えて、録音内容が何らかの“芝居”でありそうなことぐらいはわかっただろ?

川口:まあそうだな……“芝居”といえば、冒頭のオーディションシーンの演技をおまえがどんな風に見たか、専門家の意見を聞きたいね。

木暮:難しいこと聞くなあ……“オーディションを受けている女優の演技”を再現して、なおかつ審査員の一人に「独りよがり」だと指摘されても視聴者がそれを納得する程度の演技力じゃなきゃならない──そういう意味では合格なんじゃないか?

川口:あそこで圧倒的な名演技をされても困るわけだ。

木暮:とはいえ、残念ながら、あの「日米合作映画」のオーディションには落ちたんじゃないかな……。

川口:『劇団W』は劇団員が一人になって休止状態らしいけど、“全盛期”がどんな風だったのか知りたかった。

木暮:ちゃんと稽古場を借りて、ポスターを見るかぎり、結構な公演数をこなしてきたようにも見えるけど、右京さんがいった“呪縛”に囚われすぎていたのかもなぁ。

川口:それにしてもさ、死体はどうやって運んだんだ?

木暮:おれも不思議に思った。彼女が必死に死体を運ぶ姿まで描いていたら、もっと感情移入できた気がする。

芸が細かい作品内テキスト


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