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『相棒』シーズン22-1「無敵の人〜特命係VS公安…失踪に潜む罠」/世文見聞録107

下手な予想も数撃ちゃ当たる──川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」であるドラマ『相棒』シリーズについて語ります。


○『相棒シーズン22』について

川口世文:観測史上もっとも暑い夏が終わったと思ったら、もう『相棒』の季節がはじまってしまった。

木暮林太郎:その2つって何か関係があるのか?

川口:あんなに暑いなかで撮影していたんだなと水谷豊やその他のスタッフ・キャストの苦労に思いを馳せた。

木暮:なるほど、そういうことね……で、当然のことのようにつづきをやろう、と。

川口:いかにも、そのとおり。

木暮:少なくとも今シーズンで終わりそうな気配微塵みじんも感じさせないね。

川口:何しろ第1話拡大スペシャルの脚本が輿水泰弘ではなくて神森万里江だからね。

木暮:だから何?……女性脚本家だってこと?

川口:もちろん女性が第1話を書くのも初めてなんだけど、おれがいいたいのはそういうことじゃなくて、ここ数シーズンはずっとシリーズの産みの親である輿水泰弘が書いていたってこと。

木暮:脚本家の世代交代か……。

川口:いや、違う。重要なポイントは今回は何も人事じんじが行われないってことだ。つまり、完全なる“通常営業”──新亀山シリーズは安定飛行に入った。

木暮:「安定飛行」はわかるけど「人事」って何だよ?

川口:新レギュラーの加入や、旧レギュラーの卒業を描くときはほぼ例外なく輿水泰弘が筆を執るんだ。もちろんそういうイベントがないときも書いているけど、他の脚本家はまず間違いなく「人事」には手を出さない。

木暮:なるほど「人事部長」ってことね。

川口:「人事担当取締役」ぐらいにはなっているぞ(笑)

木暮:しかし、そんなことで大丈夫なのか? 水曜21時のラインナップが強化されて、その“大トリ”なのに。

川口:まずそれを確かめていこうってことだよ。

○『相棒シーズン22』第1話(ネタバレ注意!)

<あらすじ>
ある夜、杉下右京(水谷豊)は小手鞠(森口瑤子)と共に、亀山薫(寺脇康文)と美和子(鈴木砂羽)のマンションを訪れる。料理教室に通い始めた美和子が、腕前を披露したいと招待したのだ。もう一人、招かれていたのは、料理教室で知り合った上原阿佐子(栗山千明)という女性。阿佐子は、その食事会のさなか、“和製ホームズ”と紹介された右京に、行方不明になっている婚約者・牧村克実(市川知宏)の捜索を頼む。
いっぽう、伊丹憲一(川原和久)たち捜査一課は、男性が自宅マンションから転落死した事件を捜査。男性は、『微笑みの楽園』という宗教団体の信奉者で、何者かに突き落とされた可能性が浮上していた。

公式サイトより

木暮林太郎:さて──「初回拡大SP」、どうだった?

川口世文:何だか「先週もやっていたっけ?」って感じだった。正確にいうと、先週までが通常回で、今回は「元日スペシャル」を半分だけ観た印象。

木暮:いきなり「元日」かよ?……確かに再放送を観ている人たちにとっては、新しいシーズンが開幕した雰囲気じゃなかったかもな──それだけ自然な導入だった。

川口:そこを狙っていたんだろうね。それこそが「安定飛行」ってことだ。

木暮:思えば前シーズンが“鳴り物入りすぎた”から、ちょっとやそっとでは対抗できない。むしろ当たり前のように再開させたほうがいい。

川口:おそらくこの話は「元日SP」用に書かれたプロットが面白かったので、初回に繰り上げようって話になったんだと思うね。

木暮:また出たな、“素人の浅墓あさはか予想”

川口:神森万里江は「元日SP」をすでに担当しているから、まったくありえない話じゃない。

木暮:そんな話はともかく……おまえが絶対にないっていっていた人事じんじが起きたんじゃないか?

川口:うん、あれには驚いた。よもやまさか“腕を上げて”しまったのかとドキドキしたよ。さすが女性脚本家らしい目のつけどころ。

木暮:何のこと?──“腹を撃たれた”の間違いじゃないの? おれは社美彌子が撃たれた話をしているんだ。

川口:ああ、そっちか。おれはてっきり“新・美和子スペシャル”の話かと思った。ひょっとすると「新」じゃなくて「シン」かもしれないけど。

木暮:まあ、見てくれはかなりよくなったけど、味は相変わらずだったようだし……それじゃあ、社美彌子の件はあまりドキッとしなかった?

川口:いや、ビックリはしたよ。でもまあ、“死んだ”ってわけじゃないからなぁ。それよりいよいよ衣笠きぬがさ副総監との最終対決に向けた布石が敷かれはじめたんじゃないかってワクワクしてきた。

木暮:そこまで読み取れた? むしろ今回は「公安部」が敵なんじゃないのか?

川口:もちろん来週の「後編」では「公安部部長」の御法川みのりかわに一泡吹かせて終わりだと思うよ。でも、今シーズンの終わりでいよいよ右京さんが副総監に牙をいて「つづく」ってことになる──。

木暮:“素人の当たらない予想”として受け止めよう。

川口:御法川部長をやった役者さん──新鮮だったな。

木暮:ああ、俳優座にいた人ね。

川口:あの人、ちょっと生瀬勝久に似ていないか?

木暮:うーん、というより「世界のナベアツ」?(笑)──それがどうかした?

川口:生瀬勝久といえばシーズン2に出てきた「平成の切り裂きジャック」こと「浅倉禄郎ろくろうだ。

木暮:ああ、なるほど「シン亀山薫」の“シーズン2”だから、よく似た役者をキャスティングしました、と。そんな意図はまったく感じなかったけどなあ……。

川口:じゃあ、オープニングテーマにシーズン2のテーマ曲のフレーズが使われていたことに気づいたか?──あそこが今回いちばんテンションが上がった。

木暮:そもそもシーズン2はテーマ曲が違ったの?

川口:今のメロディになったのはシーズン3から。

木暮:なるほどね。とにかく“シーズン2”であることを印象付けようとしているわけだ。

川口:そして、それはきっとカウントダウンなんだ。次のシーズンのオープニングはシーズン1のフレーズが使われていよいよ終わり──副総監と“最終決戦”になる。

木暮:予想しては外すのがおれたちの“芸”だもんな。

このあとどうやって脱出したんだろう?
新聞記事──最後まで読むと意外と詰めが甘いw


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