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『相棒』シーズン22-10「サイレント・タトゥ」/世文見聞録119

シーズン22も後半戦。下手な予想も数撃ちゃ当たる──川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」であるドラマ『相棒』シリーズについて語ります。

○『相棒22』第10話(ネタバレ注意!)

木暮林太郎:新年早々、こんなにも落ち着かない状況で観ることになるとは思わなかったよ。

川口世文:「東日本大震災」のときは2日前に無事シーズン9を終えた『相棒』も、今回の「能登半島地震」は直撃を受けた。ぎりぎりまで放送されるかどうかわからなかったからね。

木暮:あのタイミングで放送してくれたのは英断だったと思う。被災地の方々は心からお気の毒だと思うけど、あのまま地震報道を見続けているのは正直キツかった。

川口:事前情報からも、かなり重要なエピソードであることがわかっていたから、なおさらね。

木暮:おまえがいう“人事案件”ってやつだな。三代目相棒の甲斐亨こそ登場しなかったけど、その家族構成を一気に膨らませてきて驚いたよ。

川口:例によって“邪推”だけど、本来このエピソードはシーズン22の第1・2話として前後編で放送される予定だったんじゃないかな?

木暮:何となくおれもそんな気がしたんだ。前半と後半で明らかに雰囲気が変わるし、「南北小学校」の舞台上演中の殺人事件の犯人は途中であっさりわかるからね。

川口:後半は舞台が「東亜民主共和国」に移って、シーズン21の「サルウィン」のときと雰囲気が似ている。シーズン開始時の“鳴り物感”にはもってこいだ。一方で昨年の元日に比べると、単独で楽しめる話じゃない。

木暮:だとしたらなぜ第1話に持ってこなかったんだ?

川口:これまた勝手な推測だけど、成宮寛貴さん──今は本名の平宮博重なりみやひろしげで呼んだほうがいいのかな?──の活動再開が“正月に正式アナウンスされる”ことに決まったからじゃないかな。

木暮:そのために“シリーズ構成”を変えたってこと?……そこまでやるかな?

川口:いくらシリーズに貢献してくれた役者だとしても普通はそこまでしない。この話を第1話に持ってくればもっと視聴率が稼げたはずだしね。だけど、もし最終回に甲斐亨が再登場するとなると話は別だ──。

木暮:うわぁ、新年早々そんな予想しちゃうんだ(笑)

川口:新年なんだから。それぐらいの希望を持とうよ。

木暮:前シーズンに2代目、今シーズンが3代目、そして来年4代目が再登場すれば、ドラマチックではある。

川口:前回の内村部長の軌道修正と同様、甲斐亨の“ダークナイト事件”「相棒の七不思議」の一つだから、この際、それにもきちんと決着つけたいはずだ。

木暮:それはそうなんだろう。それに今回はうまいこと社美彌子やしろみやこの文脈に話を絡ませることができたしね。

川口:娘のマリアが実にいい感じに成長して、しかも亨の息子の結平きっぺいと境遇が類似しているということによく気がついたもんだ。

木暮:そりゃ気がつくだろう──産みの親なんだから。とはいえ『相棒』がこれだけ長くつづいていなければ起きなかった偶然ではあるよな。

川口:美和子と比べて笛吹悦子うすいえつこがCAであることもこれまで十分活用されてきたとはいえないが、その設定がここで生きてきた。

木暮:終盤の“イリーガルな展開”は巷《ちまた》でもいわれているとおり、『VIVANT』の影響がなきしもあらずだけどなぁ。

川口:それはまあ“元日スペシャル”なんだから……。

木暮:例の怪しい検事は再登場するし、刑事部長は“復活祭”だし、“参事官の陰謀”もつづいているし、美村里江が演じた強烈な犯人も全然反省しているように見えない。シーズン最終回に向かって着実に伏線が張られて期待が大きい──新年の予想はそういうことでいいな?

ハングルっぽい謎の文字は解読できるらしい
親バカならぬ祖父バカ


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