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『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』/世文見聞録93【5部作映画談】

「世文見聞録」シーズン2。川口世文と木暮林太郎が「金曜ロードショー」の「インディ・ジョーンズ」シリーズ4作連続放送に気をよくして、第1弾から語っていきます。

○『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』について

「最大の効用」?

川口世文:まさかこの期に及んで“村井國夫吹替バージョン”が観られるとは思わなかった。第5作が作られたことの最大の効用はそれだったのかもしれない(笑)

木暮林太郎:どうして別の声優に交代しちゃったんだ?

川口:「日テレ版」と「ソフト版」は別物だったし、当時はインディの“老い”を強調したくなかったのかも。

木暮:最新作じゃ、いよいよそれも隠しようがなくなったから、むしろ村井國夫のほうがしっくり来たのかな。

川口:「吹替版」というコンテンツの価値が以前より上がったせいもあるかもしれない。

木暮:第3作から19年後の1957年の話で、公開も19年後っていう律儀りちぎなところがいい。

川口:まだハン・ソロもデッカードも復活していない時期だったからね。「インディ復活」というだけで、どれだけ胸が騒いだことか……“キャラエイジング”なんて発想もこの作品を観て思いついたことなんだ。

木暮:とはいえ内容的にはかなりの“問題作”だった。

川口:お話として一線を“二回”超えているからね。一つ目は「核実験場」からの脱出──あれでいきなりリアリティラインがズレてしまって戸惑った。

木暮:「核」の扱いはハリウッドはいい加減だからな。

川口:それに比べたら二つ目の「宇宙人」の登場のほうが受けとめやすかったかもしれない。そもそも追いかけるのがクリスタル・スカルだったわけだから。

木暮:正確にいうと「次元を超越した生命体」だ。最後に出てくるのは、いわゆるUFOだけど(笑)

川口:敵がロシア人で、超能力の研究をしているというのは妙にリアリティがあった。それにしても最初にエリア51から盗んだエイリアンは何の意味があったんだ?

木暮:あれはある種の“救助隊”だったんじゃないか? 13人とは別人で助けに来たけど墜落しちゃった……。

川口:今一つ“生命体”が何をしたかったのかもわかりにくい。ラストでは「お礼がしたい」といっておきながら、スパルコ大佐を“破壊”しちゃうしね。

木暮:実は「人間に“お礼参り”したい」といっていたのを通訳ミスしたのかもな。

川口:前作で父親を登場させたんだから、今回は息子を出そうという発想は、個人的に“あり”だった。年齢的にもちょうどよかったし。

木暮:シャイア・ラブーフも当時はスピルバーグの“秘蔵っ子”だったし、インディとマリオンのあいだにできた息子だと思ってみると、本当にそんな感じがする。

川口:ラストシーンでインディのフェードラ帽を被ろうとして取られてしまう、あの一瞬が運命の別れ目だったな。大人しくしていれば“跡目相続”できたのに……。

木暮:そうかな? 名前はヘンリー三世でも、すでにマットという“犬みたいな名前”があるし、“インディ”を継げたとは思えない。やっぱりあの結婚式はすべての終止符だったんだよ。

川口:そうだな。父親が死に、家族同様のブロディが死んで、赤狩りなんかなくてもすでに彼には“生きにくい時代”になっていて、そこに妻と息子という二人の家族ができたわけだから、まさにハッピーエンド。少なくとも第3作より納得できる終わり方だった。

木暮:終盤のジャングルのなかの“追いかけっこ”はちょっと長くなかったか? 思えば『レイダース』ではインディ1人で追いかけていたのに、今回は味方だけで5人もいてさ、ずいぶん“インフレ”が進んでしまった。

川口:第2作では3人、第3作では4人、そして、ついにここでは5人か……こういうインフレの仕方は『スター・ウォーズ』もそうなんだよな。

木暮:なるほど“ルーカス印”というわけね(笑)

川口:最新作でそれがどうなったかも一つの見所だな。

結局今回も「父と子の大冒険」


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