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『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』/世文見聞録87【5部作映画談】
「世文見聞録」シーズン2。川口世文と木暮林太郎が「金曜ロードショー」の「インディ・ジョーンズ」シリーズ4作連続放送に気をよくして、第1弾から語っていきます。
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○『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』について
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川口世文:当時、前作と今作のどちらが面白いか無意味な議論をしたことがあってね(笑)。おれはそのころから一貫して『レイダース』派だった。
木暮林太郎:おまえはそうかもしれないけど、世間的な認知が高まったのはこの作品があったからだよな。“ジェットコースター・ムービー”なる言葉が生まれたのはこの作品からじゃなかったっけ?
川口:そうだったかもしれないなぁ……「スピルバーグ印」とか「スピルーカス」(!)なんて言葉もあって、1980年代前半の一面を象徴していたんだよな。
木暮:その流れの決定版が翌年1985年の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』というわけか。
川口:何とも“能天気な時代”だったんだ。同時にこの作品は「インディ・ジョーンズ」が最も「ジェームズ・ボンド」に近づいた時期でもあった。
木暮:本当は最初からそれがやりたかったんだよな?
川口:面白いことに前年の『オクトパシー』の前半の舞台がインドで、怪しげな宮殿とか、ゲテモノ料理なんかが出てくる。そして、この作品の翌年の『美しき獲物たち』のクライマックスの坑道シーンは「インディ」の真似だと評された。
木暮:なるほど「ジェームズ・ボンド」が最も「インディ・ジョーンズ」に近づいた時期でもあったわけだ。
川口:冒頭の上海の白いタキシード姿は『ゴールドフィンガー』っぽいし、無事、貨物便に逃げ込んだと思ったら操縦士が逃げ出して、飛行機ごと墜落させられるという“発想”は5年前の『ムーンレイカー』にそっくりだ。
木暮:寝ているインディたちを殺して捨てればいいわけだからな……わざわざ飛行機を無駄にすることはない。
川口:まあ、今回はそういうリアリティラインでいきますと、それ以前に明言しているから問題ないんだけど。
木暮:前作が“クリフハンガー”だったとすると、今回は“スクリューボール・コメディ”っぽい感じもある。過去の映画からの引用の“塊”であることは変わらないにしても“参照先”が微妙に違っているんだな。
川口:その結果なのか、前作に比べると最初の20分のつかみが大袈裟すぎる。おかげでインドの村に着いた時点でホッとしすぎちゃう印象がある。
木暮:様々な動物やゲテモノ料理の悪趣味な描写がつづいたあとで“恋の駆け引き”なんかもあって……とにかくいろいろやりたかったんだろうな(笑)
川口:前作より“やんちゃ”なインディを描くために、 “1年前の話”ってことにしたのは正解だった。
木暮:この2作だけで比べれば『レイダース』のほうがインディの冒険の“完結編”だったってことだ。
川口:だから、やっぱり今回の話はインディの動機付けが弱い。たとえシヴァ神の導きがあったにしても、所詮は偶然たどり着いた村の人たちの頼み事だからな。
木暮:サンカラ・ストーンを手に入れて博物館に売り込む気は最初からなかったみたいだしね。
川口:冒頭の取引で“ヌルハチの遺骨”の対価として要求した大きなダイヤモンド……あれもインディは本当はどうするつもりだったんだろう?
木暮:当然、売っぱらって今後の活動資金に充てるつもりだったんだろう。普通の映画だったら、あのダイヤの争奪戦で1本作れそうな大きさだったもんな。
川口:『ピンクパンサー』とかね。
木暮:そう。3作目は“スラップスティック”で行けばよかったんだ。どうしてすぐに作らなかったんだろう?
川口:やっぱり「スピルバーグ印」のブランドが大きくなりすぎたからじゃないか? ハリソン・フォードも大スターになっちゃったし……そこが誤算ではあったな。
木暮:それで、結局、あのダイヤってどうなったんだ?
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