介護保険制度 2005~2014年

東京のカフェで朝活!

本日はスターバックスコーヒー豊島園駅前で社会福祉士のお勉強をしていました。

本日は介護保険制度の歴史について更に進めていきたいと思います。

介護保険制度と老人福祉法

2000年に介護保険制度が制定されましたが、老人福祉法は今も存在しています。

老人福祉法は経済的貧困に陥っている高齢者を支援する法律で、対象となった方は行政が指定したサービスを受ける事になります。財源は税金です。

一方、介護保険制度は自身でサービスを選択する事が可能です。2000年までは等しく行政が指定したサービスしか受けれなかったので、「措置制度」から「契約制度」へ変わったことは大きな前進といえます。

介護保険制度の財源は公費が50%(国25%、都道府県12.5%、市町村12.5)、保険料が50%(65歳以上の保険者20%、40~65歳未満の保険者30%)となっています。

実際、給与からいくらひかれているかは給与明細の「介護保険料」を見れば分かります。

尚、65歳以上で働いていない方は年金から天引きされます。

2005年 1回目の改正

介護保険制度は2000年に制定されてから何度も改定されています。

2005年の改定では、予防重視型のシステムへ転換することや施設給付の見直しに関する内容が盛り込まれました。

予防重視型のシステムへ転換は、要介護者への介護給付だけではなく、要支援者に対する予防給付を新しく創設しました。さらに、要支援者に対するケアマネジメントを地域包括支援センターで実施し、市町村が介護予防事業や包括的支援事業がおこなう地域支援事業を実施することも2005年の改定で盛り込まれました。

また、介護保険施設など施設等の食費・居住費を保険給付の対象外(全額自己負担)にしました。一方、所得の低い利用者への補足給付を設けました。

と、つらつら書きましたが、いきなり小難しい単語がいくつか出てきたので調べてみます。

地域包括支援センターとは

2005年の改定でいきなり登場したのが「地域包括支援センター」です。

あまりに自然に登場したので、2000年の介護保険制度制定時からあったのかと思いましたが、2005年の改定時、初めて誕生したそうです。

2025年には、団塊の世代全員が後期高齢者である75歳以上になります。 医療や介護のニーズは今後さらに高まると予想されており、厚生労働省はそれに向けて高齢者の自立支援を目的とした「地域包括ケアシステム」の構築を開始しました。

システム構築のためには中核機関となる施設が必要です。そこで「地域包括支援センター」が設置されるようになったというわけです。

地域包括支援センターは市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員(主任ケアマネージャー)を配置。

・総合的な相談支援業務(住民の各種相談を幅広く受付て、制度横断的な支援を実施)
・介護予防支援(要支援者に対するケアプラン作成)
・権利擁護業務(成年後見制度の活用促進、高齢者虐待への対応)
・包括的/継続的ケアマネジメント支援業務(地域ケア会議を通じた自立支援型ケアマネジメントの支援)

などの業務を行っているそうです。

社会福祉士の就職先の1つです。

意外というか、これで良いのかと思ったのが委託率。何と地域包括支援センターの70%が委託されています。委託先のメインは社会福祉法人のようですが、自法人へ有利なサービスを紹介する事が目に見えています。(これを是正する為、報酬の減算とかあった気がしますが、今後調べようと思います)

2008年 2回目の改正

2008年の改定では、介護サービスを提供する事業者の不正事案の再発防止や介護事業の運営を適正化する内容に変更されました。一体何の不正があったのか調べたら「コムスン事件」というのが検索で引っかかりました。

コムスン事件とは… 全国に介護事業を展開する株式会社コムスンが、訪問介護事業所を開設する際、実態のないヘルパーの名前を届け出るなど虚偽申請をした事件。 同社はこれらの 事業所が行政から指定を取り消される前に、廃止届けを出し、責任逃れをしようとした。 介護報酬の不正請求も発覚。

2011年 3回目の改正

施行後10年が経過し、サービスの利用者数が、制度創設当初の約3倍になるとともに、重度の要介護者や医療ニーズの高い高齢者の増加、介護力の弱い単身世帯や高齢者のみ世帯の増加などへの対応と、これを支える介護人材の確保等が緊急の課題となりました。

そこで、高齢者が地域で自立した生活を営むことができるようにするために、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを切れ目なく提供する「地域包括ケアシステム」の実現を図ることとなりました。

余談

2011年の改定は「地域包括ケアシステム」の重要性を説く文章が多く掲載されていますが、なんとなく釈然としない…違和感を覚えます。

・高齢者が急増、更には重度の要介護者や医療ニーズの高い高齢者が増加している
・それを支える介護人材の確保が緊急の課題(つまりは人手不足)

ここまでは分かります。

分かりますが、なぜここで「地域包括ケアシステム」の実現が必要なのでしょうか。
高齢になって病気や障害を負って介護が必要になっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最期まで続けることができるようにするという理念は分かりますし、高齢になってからの引っ越しが現実的でないのも分かります。

しかし、人手不足という状況下において、住み慣れた地域で暮らし続けるという設計こそ現実的でないように感じます。

どちらかといえば、高齢になっても自分らしい暮らしができる地域を作り、早めに移住してもらうようにした方が良いのではないかと。

1人暮らしの時は都心で。
家族が出来たら郊外へ。
テレワークで勤務するなら避暑地へ。

という風に、状況が変われば、人は自由意志で移住します。
昔からずっと同じ地域で暮らし続ける人の方が稀です。

保険者が市町村だからなのか知りませんが、この仕組みのせいで余計人手不足に陥っているのではないかと感じました。

2011年 3回目の改正内容

「医療と介護の連携強化」⇒ 定期巡回・随時対応型訪問介護看護や複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)の創設。また、予防給付と生活支援サービスの総合的な取り組みである「介護予防・常生活支援総合事業」を、地域支援事業の一環として、市町村の判断で実施可能になりました。

「介護人材の確保とサービスの質の向上」⇒介護福祉士や一定の教育を受けた介護職員等による痰の吸引等の実施を可能としました。

「高齢者の住まいの整備等」⇒サービス付き高齢者向け住宅の供給を促進。

「認知症対策の推進」⇒市民後見人の育成及び活用

等々、色々と改定されています。全体的にプラス改定ですが、その分、財源が心配になります。

余談2

私がいる練馬区だけでなく全国的な問題のようですが、実は高齢者施設を作りすぎて利用者が集まらないという問題が多発していると聞きます。

単純に利用者が集まらないという課題が1つ。もうひとつは居室はあるのだけれども職員が集まらないという課題が1つ。

この高齢社会において、利用者が集まらないということが起こりえるのか?

疑問でしたが、「地域包括ケアシステム」の考え方と実情を踏まえれば納得できます。

2014年 4回目の改定

2011年の改定は利用者にとってプラスの改定が多かった印象ですが、2014年の改定は一転して財源不足の深刻さが反映されたかのような改定です。

まず、新たに「医療介護総合確保推進法」という法案が制定されました。(内容はよく分かりませんが、持続可能な社会保障制度の確立を図るとともに、「地域包括ケアシステム」を構築することで、2025年の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になる「大介護時代」を乗り切るためと書かれていたので、たぶんマイナス改定です)

ポイント1:
所得が一定以上だと利用者の自己負担は2割になりました。
年金収入280万円以上は自己負担が2割になります。

ポイント2:
高額介護サービス費の上限引き上げ
所得に応じた1か月の自己負担限度額が引き上げられました。

ポイント3:
低所得者は保険料の軽減拡大
一方で、低所得者は保険料がより軽減されるようになりました。

ポイント4:
「要支援」サポートが市町村へ
2015年4月より3年かけて「医療介護総合確保推進法」を基に、「市区町村が取り組む地域支援事業」に移されることになりました。

ポイント5:
「特別養護老人ホーム」入所は要介護3以上に

ポイント6:
施設の食費や部屋代の補助認定も厳格化
これまでは所得だけで補助判定していましたが、預貯金が多い場合、補助対象から外れるようになりました。

介護保険制度の歴史を勉強していますが、建前と本音と言いますか、なぜ、こうなったのか理解するのに時間がかかります。どんどん複雑になっていくとケアマネさんが嘆いていましたが、本当に複雑な制度になっていってると思います。

疲れたので、今日はここまで。
ありがとうございます。

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