#005 ハムスターが1ぴき
こんにちは。
世界にとってはネズミが1ぴき死んだことはニュースにはならない。
だけど。
あの子にとって仲良しのハムスターが1ぴき死んだことは、世界が灰色になるくらいつらいことだった。
幸い、急死ではなかった。
心の準備は4回もした。
ゆっくりと年をとり、背が丸くなり、足どりがゆっくりになった。
最後の数日は体が左右に揺れるようになった。
何かをしようとするとガクガクと引っかかるような前後の動きがあった。
毛づくろいも亡くなる前の晩までしようとしていた。
前脚が充分に届かなくても、やろうとしていた。
お尻はきれいなままだった。
目は1週間くらい前から目やにっぽくパサパサしてあまり開けられなくなっていたけれど、時間が経つと右目は開いた。
記憶をたどると、ほおぶくろいっぱいに食べ物や巣材を詰め込んでもまだ探している姿は若々しかった。
トイレを教えたら、あっという間に覚えて毎回トイレでおしっこをした。
巣材は真っ白だからほかでするとすぐに人間の目にもわかる。
なにかの拍子に驚くとひっくり返ってしまった。
いつも眠る時は丸くなっていた。
背骨を天に向け、左右どちらにも傾くことはなく、まんまるだった。
昨夜は右に15〜30度くらい傾いていた。
何も食べる様子がなかったけれど一度顔をみせてくれた。
お腹はたぷっとしていて、水分が溜まっているようだった。
(今朝体重を測ったら元気な時の体重の10g前後増えていた。)
早朝に見ると左にほとんど寄りかかって、右の顔が見えていた。
聴診器で心音を聞こうとしたけれど毛がかさかさと触れる音だけだった。
そっと触れると、ふわふわとしていて、まだ暖かかった。
巣材ごとお皿にのせて、アルコールで目や口やおしりの付近を拭いた。
それぞれ少しだけなにか出たあとがあったけれど。