お濠の水をきれいにします! ~ 癒しの場や品格ある景観を創出 ~
総武線に乗ると、飯田橋駅と市ヶ谷駅の間に大きな水面があります。見たことのある方も多いのではないでしょうか。
ここはかつて江戸城外堀と呼ばれ、江戸時代に江戸城を守るために作られました。浅草橋から反時計回りに水道橋、四谷、虎ノ門を通り、内堀とともに江戸城を二重に守っていました。
現在、外濠の多くは埋め立てられ、西側は飯田橋駅から四ツ谷駅を通って赤坂見附までの間の牛込濠、新見附濠、市ヶ谷濠、弁慶濠のみが残っています。
昭和31年には国史跡に指定され、春は桜が美しく、都内の貴重な緑豊かなスポットになっています。
歴史があり、多くの人の憩いの場となっているお濠ですが、夏場を中心に水面が下記の写真のようなミドリ色となることがあります。
このミドリ色の正体は「アオコ」という植物プランクトンが大量発生したものです。外濠には流入する水が少なく、水が滞留しやすい「閉鎖性水域」という特性があります。水温が25℃を超え、かつ窒素・リンが豊富となった状況で水が5日を超えて滞留するとアオコが大量発生する恐れがあります。アオコが大量発生すると、悪臭が発生し、また景観上の問題が生じます。
そこで外濠の水質改善を進め、まちの人々に癒しの場を提供し、「水の都」東京を取り戻そうと、「外濠の水辺再生事業」が始まっています。対象は市ヶ谷濠、新見附濠、牛込濠の外濠3濠です。
具体的に何をするかというと、浄化用水を外濠へ導水し、これによって約5日で外濠の水を入れ替え、アオコの大量発生を抑制していきます。
外濠の水辺再生に向けて、関係機関と連携しながら、外濠に導水する浄化用水の水量・水源の確保や導水路の整備方法などの調査・検討を進め、下水再生水と荒川河川水を玉川上水路等を経由して導水する概略ルートなどを定めた基本計画を令和4年5月に公表しています。
この計画を踏まえ、2030 年代半ばの整備完了を目指し、令和4年度より導水に向け必要となる施設の基本設計を行うなど具体的な取組に着手しています。
また、整備完了までの対策として即効性のある水質改善処理剤の散布などにより 、アオコの発生を抑制していくこととしています。
あわせて、将来にわたり水と緑の空間を残していくため、地元の小学生を対象として、外濠の歴史的価値や維持管理の大切さを伝える、子供向け勉強会を令和4年(2022年)度から実施しています。
子供たちが大きくなる頃、きれいになったお濠が見られるのが楽しみです。