日本一周準備

 自慢にならないが、僕はまったくと言っていいほど準備だとか計画を立てるということができない人間である。いわゆるMBTIで◯N◯P型の人だったら理解してもらえると思う。
 それが楽しいことのためだったとしても、綿密な計画を立てることにはまったく気乗りしない。理由づけをしようと思えばいくらでもできるだろうが、最も大きいのは、計画を立てる時点と実行する時点で気分が変わっているケースが多いからである。計画に振り回されたくない、と言えばそれまでなのだが……。
 例えば、しっかりした人は一週間分の食材をまとめ買いして、場合によっては作り置きをしたりもするだろうが、僕にとってそれは異次元の奇行である。
 買ってしまった食材に支配されてその日食べたいものが食べられないというのに耐えられないし、作り置きをしようと思えば、その時の食欲に任せてほぼ食い尽くしてしまう。
 結局、計画を立てる時点の自分がまったく信用できないのである。

 こんな調子なので、日本一周の準備は最低限で行きたいのだが、とはいえバイクがボロボロで、前日にチャチャっと用意して出発というわけにはいかなかった。
 旅に使うバイクはヤマハのSRV250で、だいたい30年落ちだ。6年前に中古で14万円くらいで買って、そのときからフロントフォークは抜けていたのだが、ろくにメンテナンスもせず壊れたらどうしても走れない部分が壊れたら直すくらいの感じで乗ってきた。
 こんな化石予備軍のバイクが、ほぼノーメンテでなんとか自走できているのはすごいと思う。あの時代のバイクは、ちゃんと作られているのかもしれない。

 さしあたってここだけはやらないとまずいという部分だけ整備していたのだが、破れたシートの張り替えを自分でやったのは失敗だった。ネットで調べるといとも簡単にやりました的な記事がいろいろとヒットするが、あれを自分でまともにやるのは本当に難しい。ビフォーアフターを貼るので見てほしい。画像では分かりにくいが、ビフォーは応急処置のビニールテープだらけである。


 結果、シワだらけである。どうせ変えるなら、と思って、色を茶色にしたのも失敗だったかもしれない。元々のタンデムベルトと色が合わないし、シワも目立つ。
 行き当たりばったりで作業していたら、シワがどうしようもないレベルになって、ヤケクソでタッカーを外側から打ったりした。中途半端に刺さった針を指でどうにかしようとして流血するのもお約束である。
 この作業をしていて、僕は心底運転は好きだが、整備は不向きだと実感した。金で解決できるなら、このような作業はプロに任せたい。ここには書ききれなかった面倒も一つ二つではない。こんなレベルの出来だが、シートの取り外し、乾燥、貼り付けでほぼ3日かかっている。もう、破れが直って浸水はしないからいいだろうと思うしかない。

 というわけで、とてもバイクの調子は万全ではないが、事故に直結する可能性のある部分だけは点検をして、2月23日に出発する予定でいる。
 スタートが茨城県なので、季節的にまずは九州を目指そうと思う。沖縄はマイバイクをフェリーで運ぶのが高額なので、後で別枠で飛行機で行き、レンタルバイクで回る予定だ。
 条件としては、47都道府県の県庁を巡り、一般人の入れる東西南北の四極を踏破しようと考えている。あとは、好きな作家ゆかりの地を回ったり、各地の宗教施設、野湯、中央競馬場等を見ようと思っているが、細かな計画はやはり立てていない。
 ここは一点不本意なのだが、資金繰りと北海道へ向かう時期の関係上、一時帰宅はありとする。分割は甘えだと思うが、金と自然ばかりはどうしようもない。
 期間は一時帰宅を含めてだいたい9月くらいまでには終わらせようと考えているが、これもやはりどうなるかは分からない。道中でバイトでもする気になれば、いくらでも延びるかもしれない。


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