財務諸表論ノート(資産除去債務の会計処理)税理士試験第70回

資産除去債務の会計処理

減価償却方式:固定資産の取得原価と残存価格について、「固定資産の取得原価から耐用年数到来時におけるその残存価格を控除した額が、各期間にわたって配分されるべき減価償却総額である。この場合、解体・撤去・処分等のために費用を要するときには、これを売却価額または利用価格から控除した額をもって残存価格とする」この方式による場合、除去に要する支出見込み額が使用期間にわたって期間配分されるという利点がある。しかし一方で、残存価額がマイナスになることがあり、またBSに資産除去債務が認識されるないという問題がある

引当金方式:有形固定資産の除去にかかる支出を、当該有形固定資産の使用に応じて各期間に費用として配分、それに対応する金額を引当金として認識することが考えられる。しかしながら、かかる引当金方式は、引当金を計上する必要があるかの判断基準や、将来において発生する金額の合理的な見積もり方法が必ずしも明確でなかった

資産負債の両建処理:有形固定資産の取得などに付随して不可避的に生じる除去サービスの債務を負債として計上するとともに、対応する除去費用をその取得原価に含める資産負債の両建て処理が採用されることになった。

資産負債の両建て処理と引当金方式とは異なる大きな特徴を①負債(資産除去債務)の測定値と②資産(有形固定資産)の取得原価とに分けて説明:資産除去債務はそれが発生したときに、有形固定資産の除去に要する割引前の将来CFを見積もり、割引後の金額(割引価値)で算定する。
資産除去債務を負債として計上する際に、当該除去債務に対応する除去費用をどのように会計処理するかという論点がある。本会計基準では、債務として負担している金額を負債計上し、同額を有形固定資産の取得原価に反映させる処理を行うこととした。このような会計処理は有形固定資産の取得に付随して生じる除去費用の未払いの債務を負債として計上すると同時に、対応する除去費用を当該有形固定資産の取得原価に含めることにより、当該資産への投資について回収すべき額を引き上げることを意味する

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