財務諸表論ノート(財務会計の概念フレームワーク・財務諸表における認識と測定)税理士試験 第69回

・本章では、資産や負債の様々な測定値を混在させている。そこでは、市場価額や利用価値を、すべてのケースにおいて優先的に適用すべ測定値とは考えていない。原始取得原価や未償却原価を、市場価額などによる測定が困難な場合に限って適用が許容される測定値として消極的に考えるのではなく、これらを積極的に並列させている。財務報告の目的を達成するためには、投資の状況に応じて多様な測定値が求められるからである

・利益の測定に際し、資産や負債の様々な測定値を混在させる方法は「混合属性会計」、資産と負債の測定値を時価又は公正価値で統一する方法は「全面公正価値会計」

・時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券のBSは、社債そのほかの債権のBS価額は、債券のBS価額に準じる。・・・以外の有価証券は、取得原価をもってBS価額とする

・個々の認識・測定方法の意味を記述するにあたり、本章では、企業の投資と会計上の測定値との関係に着目している。すなわち、それぞれの認識・測定方法はどのような状態の投資に適用し得るのか、またそれを適用した結果、各測定値にはどのような意味が与えられるかに着目している。投資家が会計情報から企業の将来CFを予測するには、会計数値は企業の投資活動と経験的に意味のある関連を持つ必要があるからである。その関連を記述しておけば、将来、新たな会計基準が対象とする投資活動を明確にすることを通して、適切な認識・測定方法を選択できるようになると期待される。

・運送業を営む企業が運送目的で利用している一般的な車両は、事業投資を目的に保有しているものである。企業は、当該車両にかかる営業活動を通じて成果を得ることを目的に保有しており、金融投資のように、時価の変動によって利益を獲得することを目的として保有するものではない。したがって、取得原価を基礎とした評価によってとらえることが適切であると考えられる

・引当金に関する論点の整理:生成しうる複数のCFをそれぞれの確率で加重平均した金額による方法は一般的に期待値方式、最も生成する可能性が高い単一の金額による方法は一般的に最頻値方式
IAS第37号においては、測定対象の引き当て金が母集団の大きな項目に関係している場合には、債務はすべての起こりうる結果をそれぞれの関連確率により、加重平均して見積るとし、このような場合には、期待値方式により、測定を行うものとされている。一方、単一の債務が測定される場合は、原則として見積もる個々の結果のうち、最頻値が負債に対する最善の見積もりとなるとされている


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