新型コロナの「変異株」って?

こんにちは。東京iCDCの事務局です。
最近ニュースでよく聞く新型コロナウイルスの「変異株」。その未知さゆえに、なんだか得体の知れない敵が攻めてくるような不安や恐怖を感じる方も多くいらっしゃるかもしれません。

「変異株」については、以前、東京iCDCのnote記事でも取り上げましたが、ウイルスは人の体内に侵入して、増殖する際に遺伝情報をコピーします。そのタイミングでコピーミスが起こることがありますが、その結果、ウイルスの遺伝情報の一部に変化が生じたウイルスのことを「変異株」と言います。

ウイルスというのは、一定の割合で絶えず変異(コピーミス)するものであるため、それ自体は驚くものではありません。例えば、よく知られているインフルエンザウイルスも、同じように変異が生じています。そのため、「変異」というのは、ウイルスの特徴の1つとも言えるものなのです。

実は、新型コロナウイルスの変異株は、多数あることが分かっています。その中で、感染力が従来株よりも高いもの(イギリス由来の変異株など)やワクチンの効果を減弱させる可能性があるもの(南アフリカ由来の変異株など)が話題になっています。

国立感染症研究所の報告によると、東京を含む関東圏では、「E484K」単独変異と呼ばれる変異株が394例確認され、すでに都内では全体の約半数を占めている状況であると推察されています。「E484K」変異とは、コピーミスの結果、遺伝子情報が変わったことで、484番目のグルタミン酸(E)がリシン(K)に変化したことを表します。このE484K変異株については、従来の株と比較して感染力の違いは明らかになっていませんが、ワクチン効果が減弱する可能性が懸念されています。しかし、今後は関西圏で多数確認されている「N501Y」と呼ばれる変異株の拡大が懸念されます。N501Y変異株は、感染力や病原性が従来の株より高いと言われています。

「変異株」といっても感染対策は変わりません。手洗い、マスク着用、3密を避けるなど皆様がこれまで行ってきた基本的な感染症対策を徹底していくことで感染のリスクを確実に減らすことができます。

もちろん、東京都は先手を打って変異株の拡大防止に努めています。東京 i CDCでは、都内での変異株の発生状況を把握するため、昨年12月に「新型コロナウイルスのゲノム解析に関する検討チーム」を立ち上げ、東京都健康安全研究センターや民間検査機関等において、都内における遺伝子変異の有無のスクリーニング(変異株かどうかを確認するための検査)を進め、現在では、全国で最も多い4,000件を超えるスクリーニングを行っており、スクリーニング割合は20%を超えています。
そして、今後、都内でN501Y変異株による感染が広がってくる可能性も視野に入れ、新規陽性者数に対するスクリーニング検査の割合を40%まで引き上げることを目指して拡大し、感染対策に繋げていきます。

新型コロナに感染しないために、新型コロナを正しく知り、正しく恐れ、行動していきましょう。


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