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新型コロナの「抗体」、どれくらいの人が持っているのでしょうか?小原先生にお聞きしました。

こんにちは。東京iCDCの事務局です。抗体という言葉、ニュースなどで耳にしたことのある方も多いかもしれません。細菌やウイルスが人間の体に入ると、これに抵抗して体を守ろうとする働きがあります。このときに働くタンパク質のことを抗体と言います。
この度、新型コロナウイルスに対する抗体をどれくらいの人が獲得しているかの調査が実施されました。調査を担当された、東京iCDCの「微生物解析チーム」メンバーである、東京都医学総合研究所の小原先生にお聞きします。

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―小原先生、よろしくお願いします。今回の新型コロナの抗体調査について、教えてください

はい。今回は、抗体をお持ちの方がどれくらいなのか、都内の都立病院と公社病院の計14病院で、14,000人を対象として、調査を行いました。この方々は、新型コロナ感染症の疑いでなく、一般外来として、病院にお越しになった方です。
そしてこれが結果です。月別表にしてみましたので、ご覧下さい。

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直近の12月を見ると、陽性率が1.8となっています。この調査から、100人あたり約2人が抗体を持っていたことが分かりました。調査は、一部の病院の患者という限られた範囲を対象としており、この結果が、そのまま都内での感染割合を表すものではありません。ただし、9月と12月を比べると、陽性率が上がっていることから、都内でも感染が広がっていることが、推測できるかと思います。

―感染が広がっている事が、抗体を持つ人の割合からも、見えてくるのですね。

そうですね。そして、もう一点、注意していただきたいのが、この抗体保有者の方々の中には、もう一度、新型コロナ感染症にかかる方がいるかもしれないということです。
実は抗体には、種類がありまして、感染を防ぐ力がある抗体を「中和抗体」といいます。感染を防ぐためには、これが体内で作られ、維持していることが大事ですが、今回の調査で、抗体保有者でも中和抗体を保有していない方が一定数いることが分かりました。すなわち、一度感染した方の中にも、再感染する可能性があるということです。

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―そうすると、新型コロナ感染症にかかった経験があっても、基本的な感染予防を継続する必要がありますね。

その通りです。一度、新型コロナ感染症にかかった方でも、油断は禁物です。人と人との接触機会を減らすため、不要不急の外出を控えるとともに、マスクの着用や消毒など感染予防策を引き続き徹底していただきますようお願いします。

―小原先生、ありがとうございました。

(小原先生の発表については、第30回モニタリング会議の資料をご覧ください。)

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