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4度目の緊急事態宣言。「人流」はどうだった?―西田先生と振り返ります。

こんにちは。東京iCDC事務局です。4度目の緊急事態宣言が解除され、2週間が経ちました。  

都内の主要繁華街にレジャー目的で出かける人々のデータを振り返ると、
みなさんがこの宣言中、夜間の外出自粛に辛抱強くご協力くださっていたことが分かりました。

今回は、人流の分析をされている西田先生(東京都医学総合研究所社会健康医学研究センター長・東京iCDC疫学公衆衛生チームメンバー)に、くわしくお聞きします。

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<西田先生の前回のインタビュー記事は、こちらから>

西田先生、よろしくお願いします。4度目の緊急事態宣言は、長かったですね。
はい。2度目の宣言が約7週間、3度目が約10週間だったのに対し、
今回の宣言は約11週間にわたるものでした。

4度目の宣言で、期間も長いとなると、「宣言慣れ」してしまって、人流もあまり減らなかったのではないでしょうか。
それが、必ずしもそうとは言えないことが、分かりました。以下のグラフをご覧ください。
私たちの調査では、GPSの移動パターンから、主要繁華街にレジャー目的で移動・滞留したデータを抽出しています。

そこで、今回の宣言中(7月12日~9月30日)の夜間(18時~24時)の人流について平均水準を出してみたところ、2度目・3度目の宣言の平均水準を下回っていたことが分かりました。

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「レジャー目的」で繁華街に夜出かけていた人は、むしろ、2度目・3度目の宣言中よりも少なかったということなのですね。
はい。度重なる宣言の発出や、宣言の長期化にもかかわらず、多くの都民、事業者のみなさんが引続きご協力くださっていたことが伺えます。
また、人流が低く抑えられたことと併せて、ワクチン接種が進んだことによる効果も、今回の感染者数の減少に繋がったと考えられます。

宣言が解除されて、2週間が経ちます。人流は今、どうなっているのでしょうか?

宣言解除後の人流は、急激に増加しています。以下のグラフをご覧ください。

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急激な増加ですね。感染のリバウンドが気になるところですが、いかがお考えでしょうか。
人流の急激な増加が、数週後にどう影響するか、注意してみておかなければいけません。

特に夜の繁華街のレジャー目的の人流は、感染状況との関連が深いことが、私たちの調査でわかっています。夜の人流を急激に増やさないよう、一人ひとりが注意する必要があります。

一人ひとりの注意が必要ということですね。西田先生、本日はありがとうございました。

<人流と感染状況の関連性について、さらに興味のある方は。>
西田先生のグループからは論文が発表され、都内主要繁華街の夜間滞留人口が、新型コロナウイルス感染症の拡大と関連することが明らかになっています。
この論文は、デジタルヘルスの医学専門誌『JMIR mHealth and uHealth』に掲載されました。

関連リンク
―「新型コロナウイルス感染症拡大時の東京都内の外食:携帯電話の位置情報を用いた時系列分析」https://mhealth.jmir.org/2021/5/e27342

公益財団法人東京都医学総合研究所HP
―中西三春客員研究員、山崎修道副参事研究員、西田淳志センター長らの「都内主要繁華街の夜間滞留人口が新型コロナウイルス感染症の拡大と関連することを解明」について、デジタルヘルスの医学専門誌『JMIR mHealth and uHealth』に掲載されました。
https://www.igakuken.or.jp/topics/2021/0511_2.html


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