お金に関する戦略的思考

お金に関する考え方。可燃性の高いテーマなのであくまでも一つの個人的な意見と思ってい読んで頂きたい。

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最近、昔からの知人や新たに知り合った人たち(概ね30代半ば以降の人)とプライベートで会うとかなり人間的に余裕を感じることが多くなった。しかしよくよく考えてみると結局のところ、彼ら・彼女らの余裕の大半は単純に経済的によるものが大きい可能性が高いことに気づいた。感覚的な分水嶺としてはフローで言えば5,000万円以上、ストックで言えば1億円以上のいずれかないしは両方があるとこの余裕が生まれているように思える。(もちろん彼ら・彼女らに余裕があるのはお金が全てであると言いたいわけではない。)

ただし額面で年収5,000万円であれば、税金をざっくりと40%とすると、実際の手取りは3,600万円であり、月に100万円を使うとすると年間2,400万円しか貯金できず、資産の利回りが消費額を上回っている状態と定義できる経済的自由を得るには程遠い。またそもそも、(あくまでも感覚的なものではあるが)額面5,000万円の年収ある人の多くは恐らくは月に100万円消費しているように思える。

そのため年収5,000万円は経済的自由からは程遠い状態であるとは言えるが、それでも30代でそれくらい稼居でいる人は概ね将来に対して金銭的な意味で明るい展望を持っている人が多い印象である。30代半ばでこの程度、稼げているなら、ビジネスパーソンとして脂の乗った40代・50代であればもっと収入は増えるだろう、と思っているのである。

仮にこの年収5,000万円あるいは貯蓄1億円が余裕の源泉の一つであったとすると、これを達成するには一定の戦略が必要であると考えられる。30代半ばで年収5,000万円を稼ぐ、もしくは1億円を貯めるためには勤め人であれば割と選択肢は多くないように思える。一部のプロフェッショナルファームで昇進する、あるいは外資系の大手IT業界などで幹部クラスになる、あるいは生命保険や不動産などのコミッション型の仕事で成果を上げる、といったものが代表的なものだろう。(起業の場合はフローというよりはストックで上記条件を達成することが多いため、フローとしては割愛する。)

ストックで1億円を稼ぐとするならば起業をするか、スタートアップの準創業メンバーでストックオプションと生株を入手するかし、それを上場させるか売却するかする、というのが多いように思える。もちろんこれは簡単なことではない。(ただし準創業メンバーだと案外ストックオプションの行使が厳しかったり、生株を取得しにくく、言われているほど簡単ではないように思える。)

投資で増やすということもあるが、投資で年5,000万円を稼ぐにせよ、1億円の貯蓄を増やすのも言うほど簡単ではないと考えられる。そもそも株式投資であればコーポレートファイナンスの観点では株式投資家が期待するリターンは7%前後であるとされているので、それ以上のリターンを出すことはあまり期待するべきではないし、出せるならば投資を生業とするべきだろう(実際にそのような人も多く存在する。)仮にベストケースで毎年7%のリターンを出せたとするならば(もっともこの前提はかなり楽観的ではあると個人的には思う)、毎年300万円を新たに貯金しそれを全て投資に回し、そのリターンが7%、税率20%として税引後で5.6%のリターンであったとすると、19年目に1億円になる。22歳からこれをできれば40歳で1億円は何とか達成できることになる。繰り返しにはなるが、この前提はかなり楽観的であるため、あくまでも「計算上は」達成できる、といった表現になるだろう。

なお投資であれば(筆者自身は明るくないが)不動産は勤め人でもレバレッジが効くために、もう少し目標は達成できるかもしれない。実際に知人で日系大手企業に勤めているものの、それは本人からすると「銀行の借り入れをする上でのクレジットのため」であり「本業」は不動産投資家、という人もいる。

つまり本エントリの定義の「余裕の源泉」を手に入れるためには代表的な手段は筆者が思いつく限り4つしかないのである。
①「稼げる会社」に勤めてそこで10-15年くらいかけて成果を上げて出世する
②起業して売却・IPOする(またはそれに準創業メンバーとして関わる)
③コツコツ貯金をしそれを全て株式投資に回し毎年7%程度のリターンを上げる
④レバレッジを最大限掛けて不動産投資をする
(なお、これらはあくまでも筆者の思いつく限りは、であり他にもあるかもしれない。あくまでも個人的な意見である。)

これは当たり前と言えば当たり前であるが、見方を変えると、逆にもしも上記の4つのいずれもしていないのであれば30代で年収5,000万円ないしは貯金1億円はかなり難しいと言えるだろう。少なくとも大手の東証1部上場企業に入社しても特殊なことが起きない限りは恐らくは達成は難しいはずである。つまりこの目標を達成するためには一定の戦略的判断を下して動く必要があると言える。キャリアを選択する際、あるいはお金を使う際に、漫然と考えているだけではこの目標は達成できないだろう。

たまに指摘されることではあるが、未だに印象論としては「お金は汚いもの」と位置付けられ、お金についてはあまり積極的に語るべきものではないし、あるいはお金のことを考えて仕事をするべきではない、といった価値観が日本社会全体にはあるように思える。もちろん個人のお金はかなりプライバシーが高いテーマであるので、積極的に話すべきではないが、一般論としてのお金の稼ぎ方、増やし方、使い方、そして何よりもお金の考え方といったことはもっと語られるべきであると思っている。

いうまでもなくお金は全てではないし、お金がなくても幸せな人はいるし、精神的余裕のある人もいるし、逆にお金があっても幸せでない人もいる。しかしある程度、お金があることは人生をほとんどの場合、快適にすることは間違いない。またお金と苦労は必ずしも相関に関係にあるとは限らない。一度しかない人生、どう過ごすかは人それぞれではあるが、個人的には一定の経済的なゆとりがあることは快適に過ごす上では大事であるし、またそれは結果的には幸福につながることも多いと思っている。もしもそのような考え方(価値観)を持っているのであれば、個人的にはお金についても戦略的に考えるべきだと思っている。

あくまでも個人的な意見ではあるが、彼らを見ていてそのようなことを考えた。

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