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中野区新庁舎整備に合わせたオフィス改革

中野区副区長と宮坂副知事によるCIO座談会でも話題になったオフィスの整備。(座談会の模様は後日紹介いたします。)

現在中野区では、令和6年5月の移転を目指して新庁舎の整備が進められています。
庁舎をただ新しく建て替えるだけではなく、区民の方にとって便利な区役所とし、さらには中野区職員の働き方改革を実施し、区政に還元すべく取り組まれています。

今回は、新庁舎整備に向け、オフィス改革に取り組んでいる中野区の取組について見学に行きましたので、共有させていただきます。

1.中野区の新庁舎整備

新庁舎が整備されると、業務改革との相乗効果により、大きく下記の点で区民の方に便利な区役所となります。

・1階にイベントスペースや食堂等をつくり、区民が集い交流できる場所となる
・来庁者専用の通路やエレベーターを整備し、混雑を緩和する
・来庁者数の多い窓口は、2階と3階に集約し、他の窓口とも連動させて「書かせない」「待たせない」窓口の実現を目指している
・マイナンバー等の活用により、区民が区役所に来なくても手続きできる環境を拡充する

区役所の前に広場があり、イベント等開催される予定です。多くの区民の方が集まる場所となりそうですね。

中野区では、新庁舎整備のタイミングにあわせて、区民の利便性を上げていくため、手続きのデジタル化や押印廃止等、強力に行政のデジタル化・ペーパレス化を推進しています。
また、職員の働き方改革についても推進しており、オフィスのレイアウトや使い方ルールの見直しを進めています。
具体的な取り組みとしては、セキュリティ強化に向けて、区民と職員が交差することを減らすため、動線の分離を進めているとのことです。また、各フロアにセキュリティラインを設定し、従来、課毎に設置していた来庁者対応の窓口を1か所に集約します。
次に、スペースを有効に活用していくため、机の配置も標準化し、組織改編や職員数の増減に伴ってレイアウト変更することなく対応できるよう、ユニバーサルレイアウト*にしていきます。
(*組織変更があっても基本的にレイアウト変更をせずに「人」の移動のみで対応可能なワークプレイスのこと。)
さらに、創造性、生産性を向上させていくため、現在、各課で専用の打ち合わせスペースを確保しているものを、集約し共有化していくとともに、打ち合わせの目的にあった様々な什器を入れていくことを予定しています。
また、職員が日常的に使用する端末にコミュニケーションツールを入れ、職員が今、どんな状況(会議中なのか、電話してもよいのか。など)にあるのかが確認てきるようにしていくほか、固定電話に縛られずに柔軟に働けるよう端末にインカム等を使った電話機能を充実させていくとのことでした。
このような、新しい働き方を職員のみなさんが体感し、より良いものにしていくため、中野区では、現在の庁舎内に新庁舎モデルオフィスを開設していました。

2.新庁舎モデルオフィスの見学

新庁舎モデルオフィスでは、現15名程の部署(2つの組織)でどのようなスペースの使い方とするか、どのような什器をいれるか、試行を行っています。
今回は副知事の宮坂をはじめとする都庁のメンバーで新区役所整備課内にある、新庁舎モデルオフィスを見学させていただきました。

天井から下がっているオレンジの吹き出し型のポップで課を示す予定だそうです。明るい色で目立ちますね。

モデルオフィスでは、執務スペースはユニバーサルレイアウトとなっています。

職員はオフィスへ来たら好きな席を選び、持ち運び容易なタブレット型の端末をモニターに繋ぎ、業務を行います。袖机は廃止し、個人の紙資料は20cmのファイルBOXに入る量まで減らすよう、ペーパーレスに取り組んでいます。

机の上がスッキリしています。

将来的には、ユニファイドコミュニケーション(外部ネットワークを使ったコミュニケーション環境)の整備も視野に入れているとのことです。

新しい椅子を試す宮坂副知事。
中野区では、什器についての職員の不満が大きかったのは椅子であったため、椅子の試行も行っているそうです。
個人が袖机の中にいれて管理していた備品・文房具類も集約化。
キャビネットは立ちながらの打合せスペースとしても活用可能となります。立ちながらだと打合せもさっと終わりよいですね。

その他にも新庁舎整備に向け、ペーパーレスで打合せをできるようなスペースの整備、打合せスペースのデュアルモニターの設置等も行い、どのような使い方が職員に合っているかを試行しています。

意見交換にて、白土副区長からも中野区の取り組みについてご説明いただきました。

モデルオフィスを見学した後の意見交換では、宮坂副知事より、「都では行動指針の策定も行っているところではあるが、行動指針は文字で組織の理念を表すものである一方で、オフィスは組織がどのような組織でありたいかを空間にデザインして示したものであり、社員が毎日目にするものであるので、一番理念を伝えやすい」とコメントを。

白土副区長からは「今回、中野区は新庁舎整備を契機にDX推進と働き方改革を一体的に進めているので、様々な形で都にも支援をお願いしたい。今後は、庁舎の更新時期を迎える自治体が多いと思うので、そういった自治体のモデルケースになることができればよいと思っている。新庁舎整備というような機会がない自治体では、DXと働き方改革を一挙に進めていくのはハードルが高いのではないかと思うので、都の支援が必要ではないか。」との意見が交わされました。

3.中野区職員の想い

中野区総務部新区役所整備課の皆様に区役所整備にかける熱い想いをインタビューしました。

●新庁舎整備にあたり、一番期待していることは何ですか。

区民のみなさまにとって便利で使いやすい庁舎とすることは大前提ですが、職員にとっても働きやすい庁舎とすることで、より丁寧な窓口サービスの提供、より良い政策の立案検討など、継続的に質の高い区民サービスを提供できる庁舎を目指していきたいと考えています。

●区民の方にとって、新庁舎がどのような存在になればよいと考えていますか。

区民の皆様にとって、自治体庁舎は「手続きや相談のために行く施設」といった、少し固いイメージがあるかもしれませんが、新庁舎はもっと親しみやすく、身近な存在でありたいですね。
例えば、隣接する中野四季の森公園を訪れた方に、庁舎の食堂を利用していただいたり、1階でやっているイベントにふらっと立ち寄っていただいたけるような仕掛けを考えていきたいです。

●今後さらに本格化していく新庁舎整備の取組へ一言お願いします!

新庁舎への移転まで、残り約2年半となりました。ハードの検討は概ね終わり、今後はソフトの検討に注力することになります。新庁舎で職員がどう働き、どう区民サービスを提供していくのか。新庁舎移転事業は、区役所の業務を大きく改革する、またとないチャンスです。職員一丸となって、全力で取り組んでまいります!

中野区職員には、東京都の未来型オフィスに見学にも視察に訪れていただきました。都と区で業務の違いはありますが、抱えている悩みは共通しているものがあると感じました。

引き続き、オフィスを通じた働き方改革において、運用方法の意見交換等行い、中野区・東京都、それぞれのオフィス環境の検討・検証を進めていきたいと思います。

<東京都>
執筆:後藤 ありさ(デジタルサービス局戦略部戦略課)
編集:小澤 洋之(同上)

<中野区>
執筆:小川 大介(総務部新区役所整備課)

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