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第1回東京デジタルサービス会議を開催!

東京都では、都政におけるDXの推進に向け、デジタルサービス局と各局が連携し、サービスの開発基盤を整備する取組を進めています。今回は、この取り組みの一つとして、11月9日に開催された「第1回 東京デジタルサービス会議」について、紹介します。

1 会議の目的

東京都が、全庁を挙げて都政のDXを進めるにあたり、都民誰しもが“使いやすく、満足度の高い”質の高いデジタルサービスの提供を目指し、デジタルサービスの開発・運用に係る指針や遵守すべき技術基準等を取りまとめていくため、東京都CIO(情報統括責任者)及び外部の有識者からなる「東京デジタルサービス会議」を設置し、11月9日に第一回会議を開催しました。

2 会議構成メンバー等

東京デジタルサービス会議は、次のメンバーで構成されています。

(敬称略)
慶応義塾大学教授
 村井 純【座長】
早稲田大学教授
 岩﨑 尚子
株式会社クレディセゾン取締役(兼)専務執行役員CTO(兼)CIO      小野 和俊                            東京大学大学院教授
 越塚 登 
東京都副知事・都CIO
 宮坂 学

この会議では、「行動指針」全体のご議論をいただくとともに、別途ワーキンググループを設置して議論する技術的テーマなどの選定を行うことを予定しています。

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3 行動指針とは

今回の「東京デジタルサービス会議」で検討を進めて行く「行動指針」は、価値観と技術ガイドラインの2つのパートで作り上げていきます。

① 価値観(行動規範)

まず、「価値観」の部分です。
現在、都庁では、様々なバックグラウンドを持つデジタル人材が集まり、デジタルサービスの構築を進めています。さらに、今後は、民間や学識経験者、さらには市民エンジニアにも参画いただき、オープンに作っていくことも必要になってきます。
一方で、オープンな構築体制となると、多様性は確保できますが、価値観がバラバラになってしまいます。
このため、サービスの質を確保するために、様々な作り手に対して、最低限ここだけは拘り守っていこうという、共通の価値観が必要です。
この共通の価値観を、「東京デジタルサービス行動規範(仮称)」として定めていきます。
このようなものについては、UKなどで、いろいろな組織では既に作られていますが、都庁にはまだありません。このため、今回、行動規範として定めるとともに、作られたデジタルサービスが、この行動規範に定める視点で作られているのかチェックしていくためのものとしても使っていきたいと考えています。
今回のサービス会議では、事務局案として、顧客視点でデザインしよう、シンプルなサービスを心がけようなどの10の視点を提案しました。

【行動規範・Code of Conduct】
1  顧客視点でデザインしよう
2  シンプルなサービスを心がけよう
3  誰ひとり取り残さないようにしよう
4  資源(データ)を最大限に活用しよう
5  安全安心なデジタル社会をつくろう
6  オール東京一丸となって取り組もう
7  都政の見える化をしよう
8  都民と共創しよう
9  つねに見直し、チャレンジし続けよう
10  ともに学びつづけよう

② 技術ガイドライン

次に技術ガイドラインです。
行動規範を実践し、品質の高いデジタルサービスを開発・運用していくためには、具体的な品質保持に向けた基準が必要です。このため、開発関係者(職員のほか、受託事業者やパートナー企業)が守るべき技術的(アクセシビリティ等)な基準を定めていきます。

また、技術ガイドラインについては、策定後、まずはデジタルサービス局がオーナーとなっているプロジェクトに適用のうえ、さらに各局が実施しているリーディングプロジェクト31のものへ拡大適用させ、実作業の中で本基準を検証・改善しつつ、新技術等にも対応しながら、全庁に適用させていくとともに、将来的には、外部にも公開し、政策連携団体や他の自治体にも使っていただくことを想定しています。

さらに、策定にあたっては、①正しい設計図をつくり、そのサービスの妥当性を含め確認し、また、②開発会社の選定にあたっては、プロジェクトに見合ったパートナーを選び③開発着手後も、より良いものをつくるべく、検収・テストしつつ、間違っているものはリリースしない。間違いは起こるものであり、プロセスの中で、修正したうえで自身をもってリリースする。④リリース後も修正すべき点は修正し、そこから得られる学びの点を活かしたうえで、次のサイクルに入っていくという、4つの視点を重視し、これらのナレッジがガイドラインに蓄えられていくようなものとして作っていきたいと考えています。

高品質のサービスを再生産していくためのガイドラインとしては、本来ではれば、沢山のことを決めて行かなければなりませんが、都民の方からすれば、まずは使いやすいということが大事なことであり、そのため、優先して取り組んでいくテーマとして、まずは、①UI/UXを選びました。
また、早めに対応すべきテーマとして②データ利活用を上げました。データ利活用については、国においても包括的データ戦略を策定するなど、国内で足並みを揃えていこうという大きな動きがあります。
このため、都庁においても早急にルールを決め、データを活用しやすい環境を整備しておく必要があると考えています。
もう一つが、③セキュリティです。東京都では行政手続のデジタル化を強力に推し進めています。これまでは、Webを情報発信の手段として使ってきましたが、行政手続のデジタル化に伴い、Webを窓口として使い、様々な情報を受け取ることとなります。このため最低限守るべきルールを決めておこうということから、優先テーマとしました。
この3点を、優先してガイドラインとして取りまとめていくテーマとして、事務局からサービス会議に提案しました。

事務局資料はこちらから

4 第1回会議での議論

① 行動規範の検討

今回の会議では、デジタルサービス局に所属する民間経験を有する職員を中心に、他団体の事例等を参考にしつつ、取りまとめた、行動規範案(10の観点)を提示し、「システム開発者にも求められる社会的な視点から、ほかに盛り込むべき観点はないか」を、会議メンバーで議論していただきました。
議論の中では、デジタルとグリーンといった観点や、東京は世界に肩を並べる都市であり、もっと自信をもって取り組んで行くべきなどの意見をいただきました。
あわせて、事務局の10箇条に違和感はないが、これを根付かせるためには、人材や風土が必要との意見もありました。

② 標準プロセスの考え方や優先すべきテーマの選定

質の高いデジタルサービスを開発・運用するにあたっての標準的なプロセスと、各プロセスで、遵守すべき技術的な事項や観点は何か、さらに、全プロセスを俯瞰し、重要なテーマは何か、更には、それらをわかりやすく職員等に伝えるにはどうすればよいのか。(事務局側からは「プロセス別チェックシート」という表現で説明しました。)
議論のなかでは、「ソフトウェアを開発するプロセスは作っている側からすると当たり前のこと。しかし行政は丸投げしている。開発プロセスに関わっていくことは非常に大事」や、「プロセスを決めても未体験のものは品質があがらない、そこが一番の懸念」などの、意見をいただきました。

③ 各構成メンバーからのプレゼンテーション

越塚教授、小野CTO及び岩﨑教授の3名に、今回の東京都の行動指針等に関連して、プレゼンテーションをしていただきました。

会議の様子については、後日、東京都デジタルサービス局HPで公開予定です。

5 今後の取組

今後の予定としては、年度末までに「行動規範」について決定するとともに、検討を優先すべき技術的テーマなどについて、ワーキンググループを開催し、検討に着手することとしています。検討の状況については、随時公開していきます。

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