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東京都OSS公開ガイドラインを発表!

東京都デジタルサービス局は、2021年10月27日、
「東京都オープンソースソフトウエア公開ガイドライン(β版(0.1.0版)」を発表しました!
今回は、そもそもオープンソースソフトウエア(OSS)とはなにか。また、東京都がこのガイドラインを作って公表した理由や、OSSに関する今後のイベントをお伝えしたいと思います。

東京都オープンソースソフトウエア公開ガイドライン(β版(0.1.0版)はこちら

オープンソースソフトウエア(OSS)とはなにか。

オープンソースソフトウェア(略称: OSS)は、「ソフトウェアのソースコードが一般に公開され、商用、非商用の目的を問わずソースコードを使用、調査、再利用、修正、拡張、再配布が可能なソフトウェアの総称」をいいます。
OSSは、広く一般に公開され、誰しもが使えるため、使おうと思った人や、貢献意識の高い有志の人が、使うときなどにソースコードのバグを探して修正したり、さらには、より良いものに改良してくれるなどのメリットがあります。
このメリットを活用するために、積極的に取り組んでいる国がアメリカ合衆国です。アメリカでは、2016年11月3日に”The People’s Code”という声明を発表し、Code.govを立上げ、オープンソースプロジェクトを推進しています。

都でも、OSSのメリットを活かして、新型コロナウイルス感染症が拡大の傾向を見せるなか、今までに経験したことのない状況下で、正確な情報を都民に迅速に届けるため、東京都新型コロナウイルス感染症対策サイトを開設し、このサイトのソースコードを、GitHubを活用してOSSとして公開しました。
その結果、世界中から大小合わせて2,000件以上の改善要求が寄せられ、それらに対応することで、使いやすさを高めることができました。ちなみに、この改善提案の中には台湾のデジタル担当大臣・唐鳳(オードリー・タン)氏からのものもありました。

東京都OSS公開ガイドラインとは。

東京都OSS公開ガイドラインは、今回の感染症対策の経験を踏まえつつ、OSS化がもたらす社会的効果を、

・都が保有する知的資産(ソースコード)を公共財として、都民や他の自治体と共有することで、国内外から幅広く意見(修正改善意見)を聞くことが可能となり、これによりOSS自体が自律的に発展し、都民にその利益を還元することが可能となる。
・この動きを全国に波及させることで、行政などが類似するシステムを構築する際の開発時間とコストの縮減にも寄与することができる。

と捉え、その効果を最大限に活かし、都政のQOS(クオリティ・オブ・サービス)の向上を推進していくため、このガイドラインを策定し、都全体でOSSに取り組んでいくために策定しました。
このガイドラインは、都庁内部向けのもので、OSSの定義や公開から廃棄までの手順、注意点などを明記しています。
 “庁内向けのガイドラインをなぜGitHubに載せ公表したの?”という疑問を感じる方がいるかもしれません。その答えは、このガイドラインを、多くのシビックテック・エンジニアの方々に見ていただき、改善点の把握に努めていくなどのフォローアップを実施し、継続的に必要な見直しを行っていきたいからです。(なお、ガイドラインの修正は、いただいたご意見にその都度対応するものではなく、定期的な修正の機会を設け、修正しバージョンアップしていきます。)
民間企業におけるOSSの活用は、新しい取り組みではなく、既に歴史のあるものとなっていますが、東京都が本格的にOSSに取り組み始めたのは、2020年からです。このため、OSSに対する知見も乏しく、シビックテックの皆さんの力を借りながら、行政も成長していければと思っています。

ガイドライン発表イベント

東京都OSS公開ガイドラインの公表に合わせて、2021年10月27日に“Tokyo OSS partyキックオフトークイベント”をオンラインで開催しました。
このイベントでは、デジタルサービス局デジタルサービス開発担当部長の荻原から、東京都OSS公開ガイドラインの概要を説明するとともに、ガイドラインのレビューなどでもご協力頂いたLinux Foundation Japan 代表の福安徳晃さんやCode for Japan代表理事の関治之さんのほか、同フェローの古川泰人さん、北海道総合政策部次世代社会戦略局DX推進課係長の喜多耕一さんにお集まりいただき、行政内部におけるOSSの認知度から、OSS活用にあたってのセキュリティ面での心配など、様々な角度から議論していただきました。

身近な地域課題をOSSで解決

先程のGitHub上で公開した東京都新型コロナウイルス感染症対策サイトのソースコードはOSSとすることで、他の自治体でも利活用され、各地域における独自のコロナ対策サイトの構築にも貢献することとなりました。令和3年4月20日現在、54の地域において本サイトのソースコードを活用したサイトが構築されており、その総数は63件となっています。
さらには、そのうち、13府県市が当該自治体の公式サイトとして運用するなど、日本全体の課題に対する地方自治体の連携強化にもつながりました。このようにOSSは、地域が抱える課題の解決策にもなりえます。
このため、都では、東京都OSS公開ガイドラインの公表を契機に、より多くの区市町村の担当者の方にOSSを知っていただくとともに、区市町村が抱える様々な地域課題をシビックテックのソースコードを書くという力を借りて解決に繋げ、そこから創出されるソースコードを、共通の課題を抱える他の自治体においても利活用していただくため、オープンソース化していくイベントを開催します。
このイベントでは、シビックテックと連携して地域課題の解決を目指す都内区市町村を募集しています。自治体の皆様からの身近な地域課題の提案をお待ちしております。詳しくはイベント募集ページへ。


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