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街に優しい光を灯したい 福祉業の傍ら週1日のカフェ営業 石井町の奥山さん【my life-私はこの道を見つけた-】
徳島県石井町のカフェ&コミュニティスペース「ツクヨミカフェ」は、この夏に4周年を迎えた。店長の奥山史紹さん(43)と妻の由紀子さん=同町=が週1日だけ営業している地域の憩いの場だ。「人が集まり、つながれる地域のコミュニティーが少なくなっている」。普段は福祉関係の仕事をしている史紹さんが、そんな思いから始めた。
営業するのは主に金曜日か土曜日。15席の店内は終日、町内外から常連や知人らが訪れる。カフェの人気メニューは、ボリュームたっぷりのミックスブルーベリーパンケーキ。メレンゲでふんわり仕上げたパンケーキの上に、ヨーグルトを裏ごしして作った、酸味のきいたクリームと甘いバニラアイスがのる。料理は主に由紀子さんが腕を振るっているが、ナポリタンは史紹さん自信の一品。どこか懐かしさを感じる味わいだ。奥山さん夫妻とお客さんとの会話も弾む。
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カフェではいろんなイベントを企画している。ここ数年は新型コロナウイルス禍の影響で減っていたものの、音楽ライブや徳島ゆかりの映画の鑑賞会、婚活イベントなど、その内容は幅広い。史紹さんは「自分がやりたいこと、周りの人に知ってほしいことをやってきた」と話す。
史紹さんは、障害者の外出支援を行う合同会社「ムーンリバー」(同町)の代表を務める。勤めていた福祉関係の会社を独立し、2018年に起業。県から委託を受けて、福祉関係の研修会も定期的に実施している。ツクヨミカフェは、会社を起こした翌年の7月にオープンさせた。
「やりたいと思ったことは何でもやってみる」。史紹さんが10代後半から掲げている人生のテーマだという。高校時代は周りとうまくなじめず、音楽が好きだったことからライブハウスが居場所だった。ライブハウスで出会った人たちとは今もバンドを組んでライブをするなど、交流が続いている。「バンドは1人ではできないけど、数人が集まれば大きなことを成し遂げられる」。その経験が奥山さんの原動力となっている。
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地域のためにできることはないかと考える中、起業し、そして「地域にそんな(自分にとってのライブハウスのような)場所があれば、いろんな人とつながり、誰かの居場所になれるのでは」と、コミュニティースペースの開設を決めた。
史紹さんがパーソナリティーを務める「ツクヨミラヂヲ」も興味深い。一般の人にスポットを当てて、その生き方や働き方、人生哲学、社会で話題になっていることなどについて語り合う企画だ。自身のユーチューブチャンネルで随時更新しており、これまでに出演したのは、お気に入りのカフェのマスター、ベーカリーの店主、肥料や農薬を使わない「自然農」に挑戦する移住者、若者の活動支援に取り組んでいる起業家ら。ツクヨミカフェを始めてから、いろんな業種の人と出会い、「身近にもおもしろい人はたくさんいることに刺激を受けた」と言う。ツクヨミカフェで対談、収録し、そんな魅力を発信している。
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店名の「ツクヨミ」は、日本神話の月神「月読命(つくよみのみこと)」から名付けたのだそう。「月のように柔らかく、控えめな光でそっと照らすような、まちの居場所になってほしいから」とほほ笑む。
今後は、新型コロナウイルス禍でできなかったライブの再開も目指す。史紹さんは「多様な人とつながり、考え方を共有し合える場所としてあり続けたい」と力強く語った。
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