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笠井さんとヒカキンさんの「#うちで過ごそう」動画リレーに学ぶ、私たち1人1人が今できること

この週末、ヒカキンさんがアップした1つの動画が話題になりました。
その動画のタイトルは「若いみんなへ、ヒカキンより

この動画は現時点で440万再生を超えており、19万ものいいねがついています。
もちろん、YouTuberの第一人者として有名なヒカキンさんですから、440万再生というのは特に珍しい数字ではありません。
ただ、この動画は普段のヒカキンさんの明るく楽しい動画ではなく、若者に向けての外出自粛を静かに呼びかける動画でした。

この動画が公開された後、ツイート時についていたハッシュタグ「#うちで過ごそう」がツイッターのトレンド入りするなど、大きく話題になりましたので、ご存じの方も多いかもしれません。

実は、このハッシュタグ投稿を最初に始めたのは、元フジテレビアナウンサーの笠井信輔さんだったというのをご存じでしょうか。

3日間で「#うちで過ごそう」が大きな話題に

時系列で今回の流れを見てみましょう。

■3月27日早朝 笠井さんがインスタグラムとブログに、「#うちで過ごそう」写真を投稿、ツイッターでの拡散を促す


■3月27日午前中 笠井さんの呼びかけに応える形で、ツイッター上に笠井さんの「#うちで過ごそう」投稿が紹介され始める

■3月27日 複数のメディアが笠井さんの投稿を記事化

■3月27日 ツイッター上を中心に、様々な「#うちで過ごそう」投稿が増え始める

■3月28日12時 ヒカキンさんが「#うちで過ごそう」写真をツイート

■3月28日13時 ヒカキンさんが「#うちで過ごそう」をつけて動画をツイート

■3月28日午後 「#うちで過ごそう」がツイッターのトレンド1位に

■3月28日午後 並行してさらに多くのメディアが「#うちで過ごそう」を記事化


■3月29日 香取慎吾さんや、江頭2:50さん、小池都知事など、著名人も「#うちで過ごそう」をツイート


Yahooリアルタイムのツイート数の推移グラフを見ても、さすがに、この数日は投稿も落ち着いてきているようですが、週末に大きな話題になっていたことが良く分かります。

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Instagramにも、すでに1万件を超える写真が「#うちで過ごそう」のハッシュタグで投稿されているようです


バケツリレーのようにつながったポジティブな姿勢

今回の一連の流れから私たちが学ぶべきは、笠井さんやヒカキンさんの丁寧に伝えようとする姿勢でしょう。

現在の日本、特に東京を中心とした地域においては、明らかに「自粛疲れ」が見られます。
特に、新型コロナウイルスへの対応として、政府が外出自粛や一斉休校要請などを実施した際に「この2週間が瀬戸際」というような表現が多用された結果、まるで2週間で問題が終わるような印象を受けた人が少なくなかったようです。

その2週間が経過しても、状況の終わりが見えなくなってしまった現在、明らかに一部の人たちには政府や自治体からの「自粛要請」が狼少年化してしまい、聞く耳を持たなくなってしまっている人が増えている印象すらあります。

もはや毎日のように繰り返される「自粛要請」は、寓話「北風と太陽」の北風状態とも言えるかもしれません。

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東京の感染者数の増加ペースを見る限り、明らかに現在の東京は、2週間前のニューヨークと似たような危機的状況の入り口にある可能性が高いという警鐘をならす専門家も多いのですが、自粛疲れしてしまった人たちからすると、もう「自粛要請」という北風がいくら吹こうが、聞く耳を持てなくなっているわけです。


一方で、「#うちで過ごそう」の一連の流れは、「過ごそう」という言葉に表れているように、笠井さんの提案にこもった想いを、多くの人がバケツリレーのようにボトムアップでつなげた結果、大きなうねりになったわけです。

ある意味、北風に対する太陽のようなアプローチと言えるのではないでしょうか。

政府や自治体からの発信は、どうしても「国民」や「住人」全員が対象になるため、一方通行で伝わりづらいトーンになりがちです。

政治的分裂の構造もあるために、上から目線の発言に聞こえたり、政府側の不祥事や疑惑の影響で、信用できないと感じている人も少なくないでしょう。

それが笠井さんやヒカキンさんのような「個人」もしくは、友達からの提案であれば、世代や価値観が近い人からのメッセージになりますし、同じメッセージでも届き方が変わってくるはず。

特にヒカキンさんの動画で印象的なのは、家の中でポジティブに過ごすための気分転換方法を紹介していた点です。

自粛しろ自粛しろと、頭ごなしに言われれば、かえって反発して家から出たくなる人が増えてしまうのが人間心理というもの、そこをヒカキンさんは若者に届くように、ヒカキンさんならではの言葉でファンの人たちに、できるだけポジティブな姿勢で語りかけているわけです。

小さなポジティブな空気は、1人1人で作れるはず

実はこうした流れは、さまざまなところで生まれ始めています。

例えばツイッター上では、「不要不急の外出自粛」よりもポジティブなコピーで行動を変えよう。と、「#家にいるだけで世界は救える」というハッシュタグで、みる兄さんというユーザーが投稿したツイートが1.8万もリツイートされ、多くの人が大喜利のように投稿をする流れが生まれました。

インスタグラムでは、新型コロナ関連の情報検索機能と一緒に、ストーリーズのための「おうち時間」スタンプをリリース。
多くの芸能人も活用して話題になっており、「#おうち時間」の写真投稿も50万件を超えているようです。

こうしたソーシャルメディア上の一つ一つの投稿は、笠井さんやヒカキンさんのような大きな影響力はないかもしれませんが、その人の周辺の空気や姿勢を数人ぐらいは変えてくれるかもしれない、というのが1つのポイントです。

こうして1人1人から、まわりの数人に感染する行為こそ、新型コロナウイルスが私たちに実践している感染方法なのです。

小さなポジティブな空気は、1人1人で作れるはず

実は、ヒカキンさんが動画を投稿するきっかけの1つになったのが、志村けんさんの感染報道だったそうです。

その志村けんさんが亡くなられ、尊敬する先生や友人を亡くすようなショックを受けた方は少なくないと思います。

また、亡くなった志村けんさんのお兄さんが、入院中も亡くなられた後も、全く面会することが許されなかったというニュースを読まれて唖然とされた方も多いはずです。

亡くなられた方1人1人の家族、友人に、想像を絶する深い悲しみと後悔を残していくことになるのが、新型コロナウイルスの恐ろしいところです。


ただ、政府や自治体からの死亡者数の発表や、外出自粛要請の会見は、マスメディアを通じて毎日のように数百万人、数千万人の耳には届いているかもしれませんが、その人達の心に届いているかどうかは別問題。
もはや死の報道が、数値の報告になってしまったニュースに、私たちがマヒし始めてしまっている面もあるでしょう、

特に若い世代が、今でも外出自粛や、3密回避要請を無視して、友人との飲み会やカラオケを今まで通り継続してしまうのは、現在日本が直面している危機が実感できず、そうした呼びかけが自分に向けたものだとは思えないからでしょう。

高齢者が重症化する可能性が高いという初期の報道に、「若い自分は大丈夫」と思った若い世代も多かったでしょうし、逆に年配の世代の間では「俺は高齢者じゃないから大丈夫」と自分に言い聞かせるように、今までの行動を維持している人も少なくなかったように思います。

しかし残念ながら、新型コロナウイルスとの戦いは長期化することが確定してしまっています。
私たちが今行動を変えていかなければいけないのですが、政府や自治体からの依頼だけでは届いていない人が大勢いるのが現状です。

ただ、私たち一人一人が、笠井さんやヒカキンさんのように、丁寧に伝える姿勢を持って、ポジティブに今を乗り越える方法を伝えることができ、友人数人の考え方や姿勢を変えることができれば、きっとウイルスに負けずに多くの人に伝わる力になるのではないかと思います。

この記事は2020年4月1日にYahooニュース個人に寄稿した記事の全文転載です。


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