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NewJeansとHYBEの契約問題において、スポンサー企業は立場を明確にするのか

この問題は本当に残念ですよね。

ADORのミンヒジン代表が親会社であるHYBEと対立し、4月に記者会見まで行った騒動ですが、その後5月末に裁判所の介入で代表解任が阻止されたかと思いきや、ほとぼりがさめた8月末のタイミングでHYBEがミンヒジン氏を代表から解任。

その段階では、ミンヒジン氏は理事として引き続きNewJeansのプロデュースに当たるとのことだったので合意の上かと思いきや、どうも違うらしく。
9月11日にNewJeansのメンバーが5人の判断で独自のYouTubeアカウントをつくってライブ配信を実施し、HYBE側や新ADORの経営陣の姿勢について問題提起を行い、9月25日までに元の体制に戻すよう要求したのです。

私も、NewJeansのライブ配信のコピー動画を拝見しましたが、まぁ本当に重苦しくて見ていられないほど悲痛な印象のライブ配信でした。

一方で、NewJeansの公式アカウントは、そうした事実がまるでなかったかのように、淡々と通常通りのコンテンツを投稿してくるのが、なんとも逆にモヤモヤした気分を加速します。

おそらくは9月11日以前に収録したものが公開されてきているという話だと思いますが、ファンとしても複雑ですよね。


正直、この問題に関しては、「資本」の論理からすれば親会社のHYBEが最終的に勝利するのは自明で、日本人の特にビジネスマンのコメントは、この視点からミンヒジン氏やNewJeansに対して批判的なコメントが多い印象もあります。

一方で、「クリエイターの権利」の視点から見ると、いくらなんでもやり過ぎではないかという話も多々あるのも事実。

ただ、「喧嘩両成敗」とは良くいったもので、ここまでこじれてしまうと、どちらにもポジティブな話もネガティブな話もある構造になってしまうんですよね。
BTSの一部ファンは、ミンヒジン氏の復帰に反対を表明していたりと、韓国でも世論を二分した争いになってしまっているようです。


ミンヒジン氏は再び司法の判断を仰ぐべく、ADOR社内取締役再選任のための仮処分申請をしたとのこと。

企業内部の経営判断に対して、ここまで裁判所の判断を仰ぐケースというのは日本では珍しい印象もありますが、現実問題としてミンヒジン氏側はこの選択肢しか残されていないという面もありそうです。

正直、ここまでお互いに感情のもつれが発生してしまっている以上、同じ組織でこれまで通りやっていくのは難しいんではないかなと思ってしまいますが。

ミン・ヒジン氏とNewJeansのメンバーで独立するという選択肢は、少なくとも短期的には巨額の違約金が発生する契約になっており難しいので、専属契約の効力停止の申し立てなどの方提起手続きに入る可能性が高い、というのが業界の見方のようです。

HYBEが25日までにミン前代表を復帰させない方向で結論を出す場合、NewJeansは、専属契約の効力停止の仮処分申立てなどの法的手続きに入るか、巨額の違約金を支払い契約を解除するか、そのままADORに残留するかの3つの選択肢の前に立つことになる。
音楽業界では、法的手続きに入る可能性が高いとみている。

別のメディアによると、「NewJeansのメンバーが会社側との専属契約に関する紛争に突入した場合、最低でも3000億ウォン(約300億円)以上の違約金が発生する可能性がある。」と報道されています。

日本であまりこう言う話聞かないですけど、この辺は日本と韓国の契約の違いということなんでしょうか。

まぁ、日本でも能年玲奈さんが実名を使えなくなるというビックリな事例もありましたから、芸能界ってこういうものという話でもあるんですかね。

HYBEも、これ以上のブランドイメージの低下をさけるために、素直にミンヒジン氏とNewJeansを卒業させるという選択肢もある気がしますが、それはそれで株主訴訟のリスクがあって選べない感じでしょうか。



で、前段が異様に長くなりましたが(汗)
今回、個人的に注目しているのが、NewJeansのスポンサー企業はこのまま立場を明確にしないままでいくのかどうかという点。

ジャニー氏の性加害問題の際にも、旧ジャニーズ事務所の会見をトリガーとして広告主が一斉にスポンサーから引き上げたことが、世論の大きな分岐点になったのは記憶に新しいところです。

一方、今回のNewJeansの問題についてはスポンサー企業は、どちらを支持するのか今のところ1社も明確にしていないように見えます。

当然企業サイドからすると、企業の論理としてはHYBE側の論理の方が理解できるでしょうが、そもそもNewJeansのファンに自社商品を好きになってもらおうとしていたことを考えると、NewJeans側の論理に理解を示さないと、ファンからの反発を受ける可能性も高いため、静観するしかない状況になっているのかもしれません。

ただ、NewJeansのスポンサー企業は、グローバル企業が多いんですよね。

彼らが最終的に韓国の芸能界の論理と、グローバルに活躍するアーティストの論理と、どちらを支持するのかは注目点と言えます。

なにしろ、NewJeansは上にも貼ったようにマクドナルドとか、花王のCMにも出てますし、コカコーラとは楽曲も作っている関係。
さらに、グローバルファッションブランド系とか総なめじゃないかぐらい、いろんなアンバサダーになってますからね。

ここで1社でも立場を明確にするスポンサー企業が出てくると、それが今回の問題の流れを変えるキーマンになる可能性もある気がします。

旧ジャニーズ事務所の際にも、P&Gがタレントと直契約を発表したのが記憶に新しい方も多いはず。

韓国は日本のような曖昧な契約ではなく、かなり具体的に契約書を結んでいるように、同様なことが簡単に実現可能とは思えませんが、ここまで話題になっている騒動に対してスポンサー企業がいつまで無言を貫いていられるのかも気になるところです。

ということで、金曜日21時の雑談部屋「ミライカフェ」では、この辺の雑談も皆さんとできればと思っています。
タイミングが合う方は是非ご参加下さい。


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徳力基彦(tokuriki)
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