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映画「Winny」を観てあらためて考える、新しいものを叩いて壊してしまう日本の空気

先週、映画「Winny」を見てきたので、感想をメモしておきたいと思います。

実は私は、この映画「Winny」の主人公である金子勇さんと弁護士の壇俊光さんにお会いしたことがあります。

私が前々職ではいったアリエル・ネットワークは、P2P技術をビジネスに活用するというビジョンを掲げた会社で、私はそこでP2Pの啓発活動にいそしんでいたためです。

今考えると本当に恐れ多いんですが、金子さんとイベントでご一緒させて頂く機会もあったんですよね。

そんな私の目からすると、この映画で金子さんを演じた東出さんの役作りは本当に凄くて、プログラミングをしている後ろ姿なんかは本人そっくりだなと思ってしまうほどでした。

この役のために18キロ増量したと言いますし、ある意味不倫で炎上したことが、不当逮捕で非難の的となった金子勇さんの心境を理解するのに貢献したのかなと思ってしまうほど。

本当に、あらためていろいろと考えさせられる素晴らしい映画になっていました。
途中で、このカメラ時代に合ってなくないか?とか思ったシーンがあるのですが、実は金子勇さんの遺品を実際に使ったためということをパンフレットで知って、いろいろと感慨にふけってしまったり。

この映画自体、脚本開発費のクラウドファンディングから企画がスタートしているんですよね。
恥ずかしながら全く知らなかったのですが、本当に素晴らしい映画になっているので、是非多くの方に観てほしいと思います。

私はエンジニアではないので、P2Pという技術の可能性に魅せられて2002年にアリエル・ネットワークに入社したんですが。
正直な話で言うと、当時は「Winny」に対する風当たりがあまりに強かったので、一時期P2P技術をアピールすることをやめた方がいいのではないかという議論があったことも記憶してます。

アリエル・ネットワークは、その後ワークスアプリケーションズに買収され、業務系アプリを軸とすることでP2Pよりもサーバークライアント型のウェブサービスに転換していくことになるのですが、その前に私が初めての書籍として出版させて頂いたのが「P2Pビジネス」でした。

この書籍を出させて頂いたの2005年ですからね。

その後、金子さんと壇さんにお会いしたのは2006年でしたが、2006年12月にまさかの有罪判決が出てしまい、衝撃を受けたのを良く覚えています。

ただ、冷静に考えると、この映画で描かれている出る杭が打たれる日本社会、新しい技術を恐れる日本社会という基本構造は、いまもあまり変わっていないことに気がついてしまいます。

私自身はP2P技術自体からは縁遠い仕事に変わったものの、当時のP2P技術が成し遂げてくれる社会の分散化にはめちゃめちゃ未来を感じた人間でして。
今、noteとかSNS活用を啓発する仕事をし続けているのも、その時の中央集権から分散化への流れに自分が少しでも交換したいから何だろうなぁとあらためてシミジミとしてしまいました。

是非、この映画が多くの人に見てもらえると良いなと思います。


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