見出し画像

何を提供したいのか(バリューの話)

完全無料の移動型パソコン教室を開いて、そこに来た子どもたちに「コンピューターって面白い」と思ってもらいます。

年齢や家庭環境に関係なくITの知識を手に入れられる場。教える人と、教わる人の交わりで生まれる成長を喜び合う時間を作り出すことが目標です。

主催者である僕は先生役を務めるつもりなので、次の2つのバリューを提供できるように準備や教え方を工夫するつもりです。

1、デジタル・デバイドを乗り越える一歩を踏み出せること。
2、ローコンテクストな対話力を身につけること。

「デジタル・デバイド」
インターネット等の情報通信技術(ICT)を利用できる者と利用できない者との間にもたらされる格差のこと。(Wikipedia)

ITを使う術は、なくなるものでも、奪い合うものでもないのに、身につけることも、触れることもできないまま社会に放り出される子供達がこの地域にはまだまだ存在していると思うのです。

だから、できるだけ受け取りやすく、拡がりやすいパッケージにして、教室で「あー、そういうことね。完全に理解した。」と思う子を増やしたいと思います。触ったことがなくて、よく知らないから怖い、をこの地域から消していきます。

もう一つの「ローコンテクストな対話力」というのは、コンピュータを使う意欲が出てきたら教えてあげたいことです。

日本語は結論を最後に、場合によっては言わないという、世界でも有数の「ハイコンテクスト」言語です。忖度とか、阿吽の呼吸とかですね。長い付き合いとか、相手が同じバックグラウンドを持っていれば強力な言語ですが、異文化の人や始めて会う人と協力してなにかを達成する場合は、とても不便です。

グローバル化だけでなく、生まれた年が10年違うだけでも、価値観が変わってしまうこの時代では、ローコンテクストな対話力の重要性は高まるばかりです。つまり「相手が間違えないように一から十まで伝える練習」をしておくとこれから良いことあるよ、という僕の考えを押し付けることになるのですが、ローコンテクストなコミュニケーションが上手でないとコンピューターとも仲良くなれません。

スマホも、自動運転も、スマートスピーカーも、「言われたことだけ」をやっていて、「言われてないこと」はしません。勝手に動いて壊れることはなくて、”動けと言われたから動いている”ということを実感すれば、何を伝えれば自分の思ったとおりに動いてくれるのかを考え始めるようになります。

お金のかかっている「窓のOS」や、スマホアプリは「ユーザーに考えさせない」という、商業的には正しい設計ゆえに、ハイコンテクストなコミュニケーションを取ってくるので、訓練ができません。この教室では、できるだけローコンテクストな対話力を伸ばさないとうまく使えないようなコンピューターを使います。

そのコンピューターは「ラズパイ(RaspberryPi)」です。

つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?