労働者派遣における指揮命令者とは

派遣労働をしていると指揮命令者という人がいて、この人の指示に従って仕事をするのがルールなんですが、ウェブで調べると「指揮命令者以外は派遣労働者に対して指示をする権限はない」という記事がそこそこ出て来るんです。一方、派遣会社の担当は「指揮命令者から直接ではなくても指示は受けられるので、指揮命令者の指揮下にある人からの指示には従ってください」というような説明を受けます。この2つの主張、はたしてどちらが正しいのだろうか、調べてみました。私は法律の素人ですし、正直そんなに入念に調べたわけではありません。さらっと調べ。

労働者派遣法を読むと、労働者派遣法26条1項で「次に掲げる事項を定めるとともに、その内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければならない。」と書いてあり、「次に掲げる事項」の3号に「労働者派遣の役務の提供を受ける者のために、就業中の派遣労働者を直接指揮命令する者に関する事項」と書いてある。

つまり、派遣契約では「労働者派遣の役務の提供を受ける者のために、就業中の派遣労働者を直接指揮命令する者に関する事項」を決めておかないといけない。ふむふむ、これがいわゆる「指揮命令者」なんでしょうきっと。

「指揮命令者」が「派遣労働者を直接指揮命令する者」であるならば、派遣会社の担当の主張である「指揮命令者から直接ではなくても指示は受けられるので、指揮命令者の指揮下にある人からの指示には従ってください」という主張は成立しないですね。「直接指揮命令する者」って書いてあるし。

まとめると、派遣契約では「就業中の派遣労働者を直接指揮命令する者」を決めておかなければならず、これが指揮命令者であるので、指揮命令者以外は契約上直接指揮命令を下すことが出来ないはずです。う~ん。

たぶん派遣会社の人は「いやあこの部分はグレーゾーンなんですよ~」とか言うと思いますが、「グレーゾーン」というのは「こう解釈すれば白、こう解釈すれば黒」みたいな状況の時に使う言葉であって、今回の件についてはどう解釈すれば白になるのかを教えてほしいところですね。「指揮命令者以外が指示をするのは単なる契約違反なだけで、違法なわけではない」とかですかね。でも「じゃあ契約違反の指示については拒みますね」とか言うとそれはダメとか言いそうですね。

もしくは「指揮命令は指揮命令者から直接でないといけないけど、仕事の指示は指揮命令者から直接ではなくてもいいんですよ」とかですかね。もはやなにがなんだかわからないですね。

「直接」とはなんなのか?ということになってくると、「メールや文章による指示だとコンピューターや紙を介しているから直接とは言えない」とかそういう理屈を並べることは出来そうですが、別の人間を通しているにも関わらず「これは直接ですよ」と主張するのはかなり厳しい気がします。100歩譲って「本人の主張を一言一句変えずに伝達した」とかならまだギリギリ「直接」といえなくもない気がしますが、あまりいい案にはならなさそうですね。

ごちゃごちゃ書きましたが、本当に指揮命令者以外から指示を受けることが出来ないとなったらかなり職場の人間関係は限定されますね。仕事は減りそうですし、能力をアピールして直接雇用とかも狙いにくそうですね。そもそもアピールしても直接雇用にはあまり繋がらなさそうではありますが。

いろんな人から仕事を頼まれて困ってる!という人は上記の理屈で仕事を断ってみてはいかがでしょうか。当方は責任は負いません。

サポートしていただいた方には、私の自宅での生活の様子を公開しています。