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コラボ企画に参画すること:燕三条の町工場の一例

コラボ企画に参加することがあります。新商品の開発です。
それぞれの参加者・企業が自分たちの強みを活かしながら、プロジェクトに参加します。
トクニ工業は金属の板加工の製造業ですから、ものづくりの立場から参加することになります。
企画を練る段階からものづくりに携わるものが参加するメリットとしては、試作品・モックアップが迅速にできる事です。完成形ではなく、たたき台としての試作品。3Dプリンターが普及した今日、樹脂での試作品作りは容易になりました。形状を確認するだけなら、樹脂でも事足りるかもしれません。しかし、金属製品の場合、持った時の重さが圧倒的に変わってきます。金属の比重は水の約8倍になる為、大きくなったり、板厚が厚くなると違いが歴然としてきます。重さ・質感など金属製品の新商品を作る場合、やはり同じ材質を使った方が有益になります。

アウトドア用の斧の開発に参加した時のことです。
アウトドア用の斧は、キャンプの際、焚き火用の薪を割るために使います。既に多くのメーカーから発売されていました。既存の商品を比較検討しながら、市場投入の意義のある商品開発が求められます。
アウトドア用の斧は大きく2つの種類があります。
①刃の部分が金属でグリップ部分が木製のもの。
②刃の部分、グリップ部分が一体型の金属で、グリップ部分を握りやすく樹脂などでコーティングされたもの。
それぞれにメリットはあるものの、グリップが木製のものはすでに市場に多くの種類が出ていて、新規性を訴求することが難しそうです。その他、様々な要件を考慮した上で、今回はレーザーカットで一枚の板から形状を切り出して、製品にしようということになりました。
まずはプロダクトデザイナーさんが、3Dプリンターをつかい樹脂で試作品を作りました。3Dプリンターは、3DモデルをCADで作ると、そのデータを基に樹脂を焼結して3Dモデルを作ることが出来ます。使用する機械や素材によって仕上りは様々でしょうが、形状としてはリアルに確認することが出来ます。
形状確認が済んだうえで、実際にレーザーで金属板を切り出して試作品を作りました。刃の部分は専門の刃付け業者に依頼しなければなりませんが、重さや質感、重臣のバランスなどを確認することが出来ます。
その後、刃付けされた試作品で、実際に薪を割って実験します。
デザイン的に優れていても、本来の目的である薪を割れなければ本意をなしません。薪を割るためには、ただ鋭利な刃物で突けば良いというわけではありません。適した角度で刃付けをしないときれいに薪を割ることが出来ません。刃先を鋭くしすぎると、ただ刃が食い込んだだけで薪が割れにくくなってしまいます。そのような斧ですと、ユーザーの負担が増すばかりで使用感が悪くなってしまいます。また刃先を緩くしすぎると、斧が薪に食い込んでいきません。
薪割実験を繰り返し、形状に修正を加え試作品をブラッシュアップさせていきます。
グリップ部分にパラコートを巻き、他の製品とのビジュアル的な差別化も図っています。

ものづくり企業がコラボ企画に参加する意義は下記の通りです。
・開発段階からかかわることで、試作品を迅速に作ることが出来る。
・役割分担することで、自社の強みを活かすことに専念できる。
・販売やプロモーションなどの本業以外のところは、別の参加企業が担ってくれる。
・異業種の企業とプロジェクトを共有することで、次の案件につながる機会が増える。

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