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決算書の向き合い方:燕三条の町工場の一例

事業を行っていくにあたり、一定の期間で区切ってその間の業績を確認します。トクニ工業の場合は、3月20日が決算日で、2か月後をめどに決算書が作成されます。
決算書は主に貸借対照表、損益計算書、販売費及び一般管理費、棚卸資産、製造原価報告書などから構成されます。

まず目が行くのは損益計算書
売上高
営業利益
経常利益
税引前当期純利益
当期純利益
といったところでしょうか。

売上高から製造原価、販売費及び一般管理費を引いたものが営業利益になります。
売上高 - 製造原価 - 販売費及び一般管理費 = 営業利益

営業利益から営業外収益を足して、営業外費用を引いたものが経常利益となります。
営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用 = 経常利益

経常利益から特別利益を足して、特別損失を引いたものが税引前当期純利益となります。
経常利益 + 特別利益 - 特別損失 = 税引前当期純利益

税引前当期純利益から法人税、住民税及び事業税を引いたものが当期純利益となります。
税引前当期純利益 - 法人税、住民税及び事業税 = 当期純利益

事業を営んでいるのだから、まずは営業利益を上げなければなりません。
本業で利益を上げることが出来なければ、早晩事業が成り立たなくなります。
利益目標をどのように設定するかにもよりますが、売上が仕入より高くなければ利益を出すことはできません。
極端に簡略化すると以下の通りです。
製造原価には材料費、労務費、経費の項目があります。
労働費の基本賃金の部分は毎月発生する固定費になります。基本賃金が高ければ損益分岐点も底上げされていきます。
材料費や外注加工費は売上高に応じて変動していきます。売上高が増えればそれに用いる材料費も増えていきますし、工程に外注加工が含まれる場合は外注加工費も増えていきます。
つまり、固定費と変動費を踏まえたうえで、損益分岐点を超える売上が求められるわけです。

営業利益を出すことが出来れば、事業継続の意義があります。

営業外収益は、雑収入や支払利息、支払手数料などになります。
金属加工業の場合、スクラップの売却費用が雑収入になります。
また銀行からの借り入れが多いと支払利息の額も多くなり、営業利益で黒字であっても経常利益で赤字になる事にもなりかねません。

特別収益は、補助金、固定資産の除去損、特別償却費などになります。
補助金は雑収入に入れる場合もありますが、本業とは切り離したところで処理されるのが一般的でしょうか。
近年様々な補助金があり、産業機械の購入にはものづくり補助金などの採択を待って行うことが増えてきました。
購入した産業機械は、既定の年数ごとに減価償却を行っていきます。それに対し特別償却費は、経営力向上計画の承認を受けた設備を単年度で減価償却することが出来ます。それにより利益を圧縮することが出来ます。

製造業は機械装置産業でもあり、ものづくりを効率化する為に定期的な設備投資を必要とします。特に複数の取引先企業から様々な仕事の依頼をいただく場合、専門の産業機械ではなく汎用性がありなおかつ一定の能力に特化した機械が求められます。

決算書は年度ごとに毎年作成されます。前年と比べてどのような変化があったかを数字として読み取ることが出来ます。
人が毎年行う健康診断の結果のようなものです。
判定結果が出るわけではありませんが、企業経営がどのような健康状態かを確認するためのバロメーターになります。
また銀行から資金融資と受けるためには重要な資料となります。
過去を踏まえ、現在を認識することで、未来への方向性を見出すことが出来るでしょう。


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