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町工場の生き残り戦略その1

規模拡大で生き残りを図る

「大きくなる戦略」
少子高齢化により日本市場は縮小化の一歩を進むでしょう。
市場が小さくなっていくということは、中小の町工場にも影響を与える要因です。
小さくなるパイをどう分け合うか?
その一つが規模を大きくして、生産能力・コストダウンなどを図り競争力を高めるというもの。
後継者の不在により、M&Aに応じる会社も今後増えていくことでしょう。

会社が大きくなるメリットとしては
・生産能力が上がり、大きな案件に対応することが出来る。
・社会での認知度が増す。
・信頼度が増し、資金調達が容易になる。
・雇用の創出。
・組織化される。

・生産能力が上がり、大きな案件に対応することが出来る。
会社の規模を大きくするということは、働く人を増やし、生産能力を上げ、売り上げを増やしていきます。生産能力を上げていけば、それまでは対応できなかった大きな案件に対応することが出来るようになります。

・社会での認知度が増す。
会社の規模が大きくなると、そこで働く人、その会社と係る企業が増えていくとことで認知度が高まっていきます。
企業広告を出す余裕が生まれれば、さらに認知度を高めることも出来るでしょう。

・信頼度が増し、資金調達が容易になる。
認知度が高まるということは、信頼度が増していくことにもつながります。
ただし関係者が不祥事を起こせば、せっかく築いた信頼度は地に落ちてしまいますが。
規模が大きくなると帝国データバンクなどの信用調査でも加点されるようで、規模の小さい同業他社より良い点数が表示されます。
金融機関からの資金調達も容易になる事でしょう。

・雇用の創出。
規模が大きくなるということは、そこで働く人が増えていくことですから、社会貢献にもつながっていきます。
規模の小さい会社に比べ、求人も容易となり人材を集めやすくなります。

・組織化される。
人事面で今まで曖昧でやっていたものも、人数が増えていくことで働いている人が理解できるよう組織化する必要が出てきます。
役割分担が必要になります。
誰がどの部分を担当するのか。
グループ分けして、責任者を決め、各責任者を束ねる一段上の責任者を定め。階層化した組織を作っていく必要が出てきます。

上記で挙げたメリットは順調にいっているときは好循環で会社の成長に繋がっていくのですが、一歩歯車が狂うと足かせになりかねません。

・生産能力が上がり、大きな案件に対応することが出来る。
生産能力が上がるということは、その分、損益分岐点も上がっていくことであり、損益分岐点を割り込まないようにするため、利益率の低い仕事をあえて受注しなければならないかもしれません。
大きな案件に対応するということは、間接業務が増える場合があります。
検査表の添付、工程写真の提出、材料品質保証書の添付、看板納品対応など。小さい案件がその様な間接業務を必要としないかといえば必ずしもそうではないのですが。公共事業などの案件では、そうした添付書類が多くなる傾向にあります。それらを踏まえて大きな案件を受注しようとすると、あらかじめ間接業務にあたる人材を確保しておくことが必要になります。

・社会での認知度が増す。
社会での認知度が増すということは、良く言われることと同じだけ悪く言われることも増えていくということになります。アンチはどの分野にもいるもので、単に口が悪いだけかもしれませんが、いわれなき言葉を浴びせられることもあるかもしれません。

・信頼度が増し、資金調達が容易になる。
資金調達が容易になることは良いことですが、能力を超えた資金調達は避けるべきです。
「低金利だから借りられるだけ借りた方が良い」といった意見もあるかもしれません。しかし、借りたものは返さなければなりません。
新型コロナ対策で、行政が金利分を負担してくれた政策もありましたが、返済期間が来れば返さなければなりません。返済計画を立てずして借り入れを起こし、事業を継続したのは良かったが、収益面での黒字化のめどが立たず、借入の返済をすることが出来ない、といった話も出てきています。
資金調達はシビアに考えるべき会社経営における重要な要素だと思います。

・雇用の創出。
人を雇うということは、人件費が増えていくことになります。
年間を通して仕事量の過多は、どの業界においてもあるでしょう。
その際、年間で最も忙しいときに合わせて人材をそろえるのか?最も暇なときに合わせて人材をそろえるのか?
最も暇なときに合わせてしまうと、機械喪失につながってしまうので、一定程度余裕をもって人材をそろえる必要があります。
かといって最も忙しいときに合わせてしまうと、人件費が原因で損益分岐点が上がってしまい、会社経営的にも好ましくありません。
また、急激に人材を増やしたからといって、一人一人の業務スキルが身についているとは限りません。内容にもよりますが、経験を積むことでスキルの習熟度は上がっていきます。経験が浅ければ習熟度は低く、出来ることは限られてしまいます。

・組織化される。
一定程度の縦割り、役割分担は必要ですが、度を越してしまうと硬直化した組織になりかねません。
会社全体で成果を出していくものなのですが、規模が大きくなってしまう事で、他のグループのことは無関係だと思うようになり、協力して物事を成し遂げようという気概が薄れてしまいかねません。
「対岸の火事」
関係ないと思っていても、時には会社に致命傷を与えるような事件が起きても、無関心を装い、挙句、火事に巻き込まれてしまうかもしれません。
一人一人のコミュニケーション、当事者意識が大切です。

一定程度の規模は必要だと思いますが、各業界・その会社のスタンスなどにもよると思いますが、どのくらいの規模感が適切なのか再考する機会があった方が良いと思います。
良いときばかりじゃないけど、悪いときばかりでもない。
物価高騰や円安、景気の変動などの外部要因。
町工場として事業を継続していく中で、一定の利益を出し続けていくための体型を常に模索しています。


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