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【アークナイツ】メインシナリオ9章『暴風眺望』の感想

アークナイツメインシナリオ9章の『暴風眺望』を読んだのでその感想を書いていこうと思う。

前回の8章でウルサス編は終わり今回からは舞台がヴィクトリアのヒロック郡に移る。9章はドクターやアーミヤも最後の方にちょっと出るだけなのでまだ導入という感じのシナリオだったが、導入とは言いつつもアークナイツらしい凄惨さとほんのりだけれど力強い希望が含まれた読み味のあるシナリオだったと思う。

ヴィクトリアはおそらくイギリス(イングランド)をモデルとした国で、舞台となるヒロック郡はダブリンという名にもある通りアイルランドがモデルであると思われる。ヒロック郡に住んでいる民は元々はターラー人と呼ばれる人種だったらしく、少なからずヴィクトリアからの自立意識を抱えており、対するヴィクトリアはヒロック郡を1つの郡として扱いそういった自立意識を軽んじむしろ見下しているという、現実でもありそうな支配民族・被支配民族の微妙な民族的精神性が対立させられている設定となっている。9章では紛争が始まる前からこのあたりの微妙な対立が精妙に描かれている。

9章の序盤から数話までは比較的穏やかな導入だったため、途中から一気に凄惨な状況となっていたのには驚いてしまった。どちらが悪いということも判断しづらいような状況の中、争いがどんどん悪化していく様子がリアルだし、そういった状況になる過程も丁寧だと思った。ターラー人側も同じターラー人の民間人を虐殺するし、ヴィクトリア側も駐屯軍が活性源石が含まれた榴弾砲で街中を襲うという地獄のような状況となっていく。暴力により憎しみが連鎖していく様子が本当に生々しいと思う。

個人的に面白いと思ったシーンは紛争がある程度進んでしまった後のホルンとハミルトン大佐の会話である(9-13)。このシーンにおいてホルンが自分の正当性を主張するためにアスラン王という過去のヴィクトリアの王らしい人の話を持ち出すのだが、ここでこういった歴史認識的な問題を元に説得するという仕方が面白いと思う。

結局ハミルトンよりも上の人物が今回の駐屯軍の一連の行動を決定したということをハミルトンがほのめかすので、ホルン-ハミルトン間のおける歴史認識の相違による対立という問題ではないのだが、こういった歴史認識による相違は現実においても判断や心理に大きな影響を及ぼす面は大いにありそうなので、一部にしてもその対立を創作物で描くニッチさが良いなと思った。

9章のシナリオにおいてはどちらの陣営も善か悪という風には判定できない状況となっていくが、そんな中でもどちらの陣営であるかに関わりなく病院に薬などを供給したり、負傷者を救っていくロドスの献身的な姿勢には心打たれる面がある。複雑な状況の中、それでもより良い選択を考えるという姿勢はやはり大事だと思わされる。善悪は人種や主義により決まるのではなく、結局は行為により決まるのだろう。自らのイデオロギーを絶対視するあまりにハミルトン大佐のように暴走してしまうこともある。常に思考を止めず、イデオロギーを絶対化したりせず、何が善であるかを考え続けなければならない、アークナイツをプレイしているとそういった姿勢の重要性を考えさせられる。

ある陣営を絶対善・絶対悪として描かず、俯瞰した見方でこのように紛争を描くのはアークナイツならではだと思う。戦争ものだとわかりやすく善陣営と悪陣営が対置されることが多いが、自分としてはやっぱりアークナイツのこの描き方が真摯で好きだし心に刺さるものがある。

個人的には9章は相当好きな部類の話だった。単純に対立構造が面白いという点もあるし描写の生々しさも良かった。ラストにはタルラが連れていかれたりロドスがヴィクトリアに向かったりするなど今後もより面白くなりそうな要素があるし単純に続きが楽しみである。

とりあえず今はシラクザーノを読んでいるのでそれと並行して10章も読んでいこうかなと思う。ちなみに最近は「google play games」を使用することによりPCでアークナイツを読むという選択肢ができた結果、読む時間が大幅に増えているというのがある。スマホだと目がすぐに疲れて読めなくなるがやはりPCで読むと快適なので今後はアークナイツの記事を投稿する頻度も増えそうな気がしている(ただ同じくPCでプレイするタイプのビジュアルノベルをたくさん読むかと言われると、そんなに読めてないので単にプレイ意欲が湧いてる時期というだけの可能性もある)。

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