刃牙シリーズに存在する強烈な快感の正体(漫画の話)

今現在板垣恵介さんの格闘漫画 刃牙の色々なシリーズが秋田書店が運営するチャンピオンクロスという漫画サイトで全話無料で読めるようになっている。
チケット回復式で期限も6/4までなので実際は全話読めるわけではなく、「途中まで読んで面白いと思ったらコミックを買ってください」という感じだ。

刃牙シリーズは人気がかなりある格闘漫画でコミックはシリーズ累計で1億部を突破(2024年5月のデータ)している。
個性的なキャラとかストーリーの面白さももちろんあるけど、何よりこの漫画は「格闘シーンでの攻撃の爽快感がずば抜けている」というのがある。

他の格闘漫画だったらフィニッシュブローとかで出てきそうな強烈な攻撃が、この刃牙シリーズでは当たり前のように通常の攻撃の時に頻繁に出てくる。
攻撃を受けた側は体が大きくひん曲がったり、周辺の物も盛大にぶっ壊れて、「もうこの一撃で死んでもおかしくない」みたいな強烈なヒット表現がこれでもかと出てきて、その爽快感が半端ない。

格闘表現がある漫画は色々読んできたものの、通常の攻撃の応酬でここまで強烈な打撃表現をする漫画というのは刃牙シリーズ以外ではあまり見かけないように思う。
たいていは留めの一撃とか、対戦中の強烈なヒットが出た時にこういう表現をするくらいだ。

もし他の漫画でも刃牙と同じように一撃一撃強烈な打撃表現をすると、今後その漫画は刃牙と同様に毎回「どうやって強烈な攻撃表現をするか?」という事でずっと悩まされる事にもなる。
何十年も個々の攻撃で爽快感が突き抜けた打撃表現をしてきた板垣恵介さんは本当にすごいと思う。

刃牙は過去にPS2とかでもゲームが出たが、打撃表現が元の漫画の良さを微塵もわかってないほど普通の格闘ゲームと同じになってしまっていて、板垣さんも内心では相当がっかりしたのではないだろうか。
自分の漫画作品がゲームになる喜びはあっても、「こうじゃないんだよなぁ」と出来上がった物を見て残念に思ったのでは。

爽快感が突き抜けた格闘シーンは読んでいる読者の脳をより強く気持ち良くさせて作品にはまらせる効果がある。
漫画を描く人は、もし自分の漫画の中で格闘や斬撃シーンなどがある場合、「もっとこうしたら爽快感が増すのでは?」という事をよく考えて作画していくべきだと思う。
日頃からもラフスケッチなどで「より爽快感があるヒット表現」というのを色々描いて研究しておくと良いだろう。

漫画だけでなくゲームを作っている人も「より爽快感がアップするようなエフェクトや効果音にしてみる」という事を意識すると、自分のゲームの魅力をそれでかなり向上させる事ができる。
気持ち良さが強いゲームほど売れ行きも伸びるので、この部分にはきちんと力を入れるべき。

刃牙シリーズを読んだ事がない人はこの機会にチャンピオンクロスでこの漫画を試し読みする事をおすすめしたい。
びっくりするくらい強烈な攻撃表現の気持ち良さと、個性的なキャラクター達やストーリーの魅力ですっかり虜になるだろう。