chipsynth OPS7とchipsynth MDのどちらを買うべきか?

DAWでの作曲用のFM音源系のソフト音源としてchipsynth OPS7とchipsynth MDというのが同じメーカーから各8000円くらいで出ている。
前者はYAMAHAのFMシンセサイザーDXシリーズの音源を再現した物で、後者はメガドライブなどに搭載された音源を再現した物。

この文章を読んでいるのが10月とか11月くらいならブラックフライデーで半額セールをやるだろうから少し待って両方買うのが良いと思うが、もし「今は予算の都合でどちらか片方しか買えない」という場合は一体どちらを買うべきか、を書いてみたい。
人によってはOPS7の方が良い事もあれば、MDの方が良い事もある。

まずFMシンセとしてのオペレーター数はOPS7の方は6オペ、MDの方は4オペとなっている。
だからOPS7の方がより複雑な音色を作り出す事が可能だけど、実はどちらも2レイヤー使用可能になっていて、MDの方も結局4オペX2レイヤーでかなり複雑な音色も作れたりする。

メーカーのサイトでダウンロードできる体験版でもチェックできるように、収録されているプリセットはMDの方がどちらかというとゲーム音楽に適したプリセットが多い。
OPS7の方はゲーム音楽というよりもっと一般的な音楽に適したプリセットが多いというか。
だからゲーム音楽をメインに作りたいならMDの方が良いのかもしれない。
OPS7でゲーム音楽を作る場合は自分であれこれ試行錯誤してゲームに適した音色のプリセットを作って増やす事に。
一応OPS7もMDもランダムで音色を作る機能があるので、適当にそのボタンを押していると勝手に色々な音色ができてしまえるが。

ベースの強さやベル系の音の高音具合はOPS7の方が良いのだけど、ゲーム音楽の場合はあえて低音や高音が弱い方がゲーム中の効果音の聞こえ方が良くなるので、MDの方がゲーム音楽制作に適しているとも言える。
OPS7でもイコライザーで低音や高音部を弱くするのもありだけど。
ゲーム音楽ではなく曲単体で聴く用の音楽を作る場合はベースやベルがより気持ち良いOPS7の方がやはり良い。

音質についてはMDの方は安価なゲーム機に搭載するためにコストを抑えたチップだったため、音質についてはやはりOPS7の方がより綺麗な音になっている。
ただ、ゲーム機で慣れ親しんだ人にとってはその綺麗な音が「音が綺麗すぎてゲーム音楽っぽくない」と感じてしまう事も。

MDの方はVGMファイルの再生が可能になっていて、ネットで配布されているメガドライブの音楽を再現したVGMファイルを読み込むと、単純に音楽が聴けるだけではなくその音楽で使われている各トラックの音色データもコピーしてプリセットを増やす事が可能に。

youtubeなどで音楽を投稿している人の場合、「メガドライブの音源で作りました」みたいな事を動画のタイトルなどに日本語や英語で入れるとわりと再生数が増えるという効果がある。
OPS7の方でも「FM音源」みたいなワードを動画タイトルに入れるとそれでも再生数は多少増えたりするけど。
同じようにアセットストアやboothなどで音楽を販売する人も「メガドライブの音源で制作(FM音源)」というのが商品名に入れておくとOPS7の「FM音源」だけより食いつきが良くなる。

オペレーターのADSRなどのパラメーターの調整はOPS7の方がよりADSR曲線を細かくコントロールできるし、その他の設定項目も多い。
しかしその細かさのせいでとっつきが悪く感じる事も。
逆にMDの方は各オペレーターの設定項目がシンプルなため、「もうちょっと細かく設定できたらなぁ」と思う人もいるかもしれない。
ツマミの細かさもMDはあまり細かくないという難点がある。

おおまかにまとめると「ゲーム音楽を作りたい」「メガドライブ音源で曲を作りたい」「動画投稿や音楽販売時に『メガドラ音源』というワードで再生数や売り上げを増やしたい」ならchipsynth MDの方がおすすめ。
メガドライブの音源はファンも多いし。

しかし「FM音源でより上質な音楽を作りたい」「ベースやベルなどの強さが欲しい」「DXシリーズのパッチデータを使いたい」みたいな場合はchipsynth OPS7の方がおすすめという感じ。